恋の季節は…10《冬の寒さが戻ってくるでしょう》

恋の季節は…10
《冬の寒さが戻ってくるでしょう》


翌朝、キョーコが教室に入ると相変わらず蓮は、社と共に女の子の集団に囲まれていた。

キョーコが登校してきたことに気付いた蓮は、女生徒達を社に預けると、キョーコに近付いた。

「やぁ、最上さん。おはよう。昨日は大丈夫だった?」

「敦賀君。おはよう。その節はとんだご迷惑を掛けちゃってごめんね!まさか敦賀君に対してショーちゃんがあそこまで暴言吐くなんて思わなくて…。本当にごめんなさい。」

「いや、いいんだよ。君は悪くないから…ね?」

蓮がキョーコに話しかける。
それを面白くない顔で見つめるのは女生徒ばかりだが、その中には当然ながら瑠璃子の顔もあった。

蓮は自分の物だと主張する様に、瑠璃子はあからさまに蓮の腕にしがみつきながら声を掛けた。

「ねぇ、蓮?最上さんと何の話??瑠璃子の前で分からない話なんてしないで。」

キョーコの目の前で色目を遣い擦り寄ってくる瑠璃子。蓮は初めて付き合ってる女の子に対して嫌悪感を抱いた。

「瑠璃子…。俺は、ベタベタするの好きじゃないって言っただろ?」

蓮はそう冷たく言いながら瑠璃子を睨んだ。瑠璃子は蓮の腕を離しながらぷぅと膨れて見せる。

そんな二人のやり取りをキョーコは少しだけ羨ましそうにぼぅっと見つめていた。

それに蓮が気付き声をかける。

「最上さん?どうかした?」

優しく心配そうに顔を覗き込む蓮との距離がとても近くて驚いたキョーコは、顔を真っ赤に染め上げて一気に後ずさりした。

「ななな、何でもない!!なんでもない!!何でもないよ!!」

ーーードン

キョーコは、勢いよく後ずさった為、後ろにいたクラスメートにぶつかると、その相手は勢いに押されて前のめりに倒れこんだ。

「もー!!痛いわね!!ちょっと!!貴方!!気を付けなさいよ!!」

キッ!と、物凄い形相で睨まれて縮こまるキョーコ。

「ご、ごめんなさい。」

「あー!もー!!本当にこのクラスは騒がしいったら。じゃれ合いなら教室の外でやんなさい!!」

「ご、ごめんなさい…えーっと…モー…子さん…?」

すると、その女性は綺麗な顔を般若のように歪めて恐ろしい形相でキョーコを怒鳴りつけた。

「ちょっと!!もー!!名前分からないからって変なあだ名付けるんじゃないわよ!!」

「ご、ごめんなさい。」

「ごめんね。琴南さん、最上さんが君にぶつかったのは、俺が原因だから、最上さんをそんなに怒らないでやって。」

蓮がキョーコを背後に隠すようにしながら立つと、琴南と呼ばれた女生徒は蓮に一瞬視線を送ると興味なさげに顔を背けて、蓮にだけ聞こえるようにポツリと言った。

「貴方、自分の言動に気をつけるのね。敦賀君が最上さんを守ることで、クラスの女の子達の最上さんを見る目は益々厳しくなってるわよ。」

助言のようなその言葉を残して、琴南は自分の席に向かった。

それを蓮は呆然と見つめ、周りを見回すと、そこにはキョーコを鋭い目で睨む女生徒が沢山いたのだった。



その日の昼休みを終えた休み時間。
移動教室の為、教室内から移動しようと準備をして歩き始めたキョーコだったが、不意に足元に足が差し出され、それに思いっきりつまづいてしまった。

その姿が小気味好いのか、クスクスと笑い出す女生徒達。
中にはそれに興じて、楽しそうに暴言を吐く生徒もいた。

蓮が助けようと近寄る前に、キョーコはあっという間に起き上がると、申し訳なさそうに頭を下げて、その場から駆け出していた。

その姿を見て、蓮は遣る瀬無い思いを抱えて立ち尽くすのだった。



キョーコが移動教室で1人向かっていると、何処からか松太郎の声が聞こえた気がして周りを見回す。

それはひと気のない目立たないとこから聞こえて来たので、松太郎が授業をサボる気なのかな?と気になり、キョーコは声のする方に近付いた。

そこで見た光景に、キョーコは一瞬息を呑み、パッとその身を建物に隠した。
松太郎が知らない女の人を抱き締めてキスをしていたのだ。

ーーーきゃー!ショーちゃん!!ここは学校よぉ!!何て破廉恥なことしてるのぉ!!!!

キョーコは真っ赤になりながら、両頬を抑えた。

ーーーバレたら停学?!?!いいえ、もしかしたら退学かもしれないわ!!どうしよう!!見つかったら忙しい女将さんまで学校に呼び出されることになるんじゃ?!

キョーコがそんな心配をしてるとは思ってもない二人はコソコソと内緒話をするように囁きあう。

「祥子さんの唇甘いね。」

「ショーったら、本当に口が上手いのね。皆にも言ってる癖に、聞いたわよ。春樹先輩にも手を出したんですって?」

「でも、本命は祥子さんだよ。」

「ふふ。嘘ばっかり。そんなこと言っても騙されないんだから。でも、今は私だけを見てくれたら許してあげる。」

そうしてまたキスをする気配して、キョーコはドクドクと激しくなる鼓動を抑え、その場から駆け出した。

ーーーショーちゃんのエッチい!!皆にあんなことしてるの?!信じらんない!!私はされたことない…って、されても困るけど!!!だって、だって!!ファーストキスは結婚式の時にしたいんだもん!!

キョーコは真っ赤になって、息を切らしながらひたすら走った。逃げるように走ってたどり着いたのは、屋上だった。
壁に背中を預けてズルズルとしゃがみこむ。

ーーーあぁぁ、私は次にショーちゃんと会う時、どんな顔して会えばいいの?!あんなとこ目撃したなんて言えないし…。女将さんにも言えないよぉ!!

しばらくは松太郎のキスのことで頭がいっぱいでただただ狼狽えて真っ赤になっていたキョーコだが、不意に蓮と瑠璃子の今朝のやりとりのことを思い出した。

何故か分からないが胸の奥がズキズキと痛む。

ーーー敦賀君と、松内さんは恋人同士…だったら、キスだって…。

キョーコは急に苦しくなってしまった心臓を抑えて、その場で膝を抱えて涙を流したのだった。


(続く)

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*****


モー子さん初登場です!

そして、松太郎のこのシーンは本当は二話目か三話目で入れる予定だったのに、ここにきてようやく入れることが出来ました(笑)

※Amebaで2012/02/17に投稿した記事に加筆訂正を加えたものです。
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