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雨に流されて… 8《完結》(限定)

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雨に流されて… 7(限定)

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雨に流されて… 6

雨に流されて… 6


山で採れたという山菜を使った料理が所狭しと小さな食卓に二人分並んでいた。

「わぁ!おいしそうですね!」

「張り切りすぎたかねぇ。久しぶりのお客さんで、嬉しくてねぇ。お代わりもあるから遠慮なく食べてねぇ。」

「ありがとうございます!あ、コーン!どうでしたか?」

キョーコが料理に感動していると、電話を借りていた蓮が戻ってきた。

「…うん。とりあえず社長に二人とも無事だと報告したよ。ただ、この雨だから迎えはやっぱり明日になるみたいだ。」

「そうですか…」

「あ、おばあさん電話貸していただき、ありがとうございました。それとすみません。当日で恐縮なのですが、今夜はやはり泊めていただいても…」

「えぇ、えぇ、構いませんよぉ。ここは民宿ですからねぇ。」

「助かります。」

「よろしくお願いします。」

「ただ…ちょっと…困ったことがあってねぇ…。」

「…困ったこと…ですか?」

「なんでしょう?私たちで何か力になれることがあれば手伝いますよ!」

「そうだねぇ…………。」

老婆は遠くを見るように、二人の姿をその澄んだ目に写し、暫し考え込むように沈黙した。

「おばあちゃん?」

「あの…何か…?」

じっと見つめられ、居心地が悪くなりながら二人は尋ねた。

「あぁ、いや……。うん…そうだねぇ。ご飯食べたら部屋に案内するから、話はその時でいいかねぇ。」

蓮とキョーコは顔を見合わせ、互いにアイコンタクトをとると、不思議に思いながらも蓮が答えた。

「…ええ、まぁ、おばあさんの話したいタイミングで構いませんが…。」

「ええ、えぇ、じゃあ、冷める前にご飯にしようかねぇ。」

「そうですね。お心遣いありがとうございます。じゃあキョーコちゃん、早速頂こうか?」

「はい!そうですね。おばあちゃん頂きます。」

「頂きます。」

「はいはい、召し上がれ。」

二人は老婆の言葉を少し気にかけながらも、手を合わせて食べ始めた。

「わぁ。このお味噌汁、美味しいです!」

「この筍も柔らかいよ。」

「本当だ!んー!美味しい〜!!」

老婆は二人が美味しそうに食べる姿をニコニコと嬉しそうに見つめると、まだ何か作るつもりなのかキッチンへと引っ込んで行った。

お腹も満腹になったところで、老婆はデザートを持ってきた。

「食後にどうかねぇ?」

「わぁ!シャーベットですか?」

「死んだ爺さんがよく食べてたんだよ。まだ冷凍庫に残ってたから久しぶりに作ってみたんだけど…お口に合うかねぇ。」

「美味しそう。いただきます!」

「あ、俺は…もうお腹いっぱいで…」

「そうかい。残念だねぇ。」

「ん〜!冷たくてさっぱりしてておいひいです。初めて食べる味〜!!」

キョーコが嬉しそうにシャリシャリ食べ進めるのを蓮はニコニコと笑顔で見守った。

「くす。美味しそうに食べるね。」

「ん…だって、おいひいんですもん。」

頬を赤らめて、ホクホク笑うキョーコが可愛くて抱き締めたくて堪らない。

ーーーあぁ、本当に…。美味しそうだよね…?別の意味で…。

チラリと思わず目がいってしまう胸元…。
思わず、ゴクリと蓮の喉がなった。

「ふぁ。ご馳走様でした!…美味しかったぁ。コーンも食べたら良かったのにぃ。」

「ん。でも流石にお腹いっぱいでね。」

「コーンは、見かけによらず少食だもんね〜」

ケラケラと機嫌よく笑うキョーコに、蓮は少し違和感を覚えた。

「…キョーコちゃん?」

「はーい?なんれすかぁ〜?」

キョーコの返答に蓮は嫌な予感がした。

「もしかして、それ…ちょっとゴメンね?」

蓮はそう断ると、キョーコの先ほど食べていたシャーベットのスプーンを口に運んだ。
キョーコはそれを見て、「あっ!」と驚いた顔をした後、カァッと顔を赤らめて顔を覆った。
恥ずかしがるキョーコの口から「間接キス…」と聞こえた気がしたが、焦っていてそれどころではなかった。

「やっぱり…!おばあさん、これ…もしかしてお酒じゃ…」

「ええ、ええ。よぉくわかったねぇ。日本酒のシャーベットに桃のジュースを掛けたものでなぁ。死んだ爺様も疲れた時よく飲んでたよ。ぐっすり安眠間違いなしだねぇ。」

山旅で疲れているからよく眠れるようにという老婆の心遣いだったのかもしれないが、蓮は思わず遠い目をしてしまった。

「ふわふわする。うふふ。えへへ。いい気持ちぃ〜。」

キョーコは立ち上がってフラフラし始めたので、蓮は慌ててキョーコの腕を掴んで捕まえた。

「あぁ、危ないからキョーコちゃん。」

細い腕を掴むとものすごくひんやりと冷たくなっていて驚いた。

「わぁ〜コーンあったかーい!」

シャーベットで冷えてしまった身体は温もりを求めていたのか、キョーコが突然蓮にギューっと抱きついてきた。
老婆はそれを見ながら、「若いっていいねぇ。」なんてのほほんと呑気に笑っているが、蓮は一人理性総動員に大忙しだった。

「わっ!ちょ…キョーコちゃ…」

真っ赤になる蓮に構わず、キョーコは蓮の広い胸板に頬を摺り寄せていた。

「んー。敦賀しぇらぴー。」

「おやおや。仲良しさんだねぇ。良かった良かった。それなら問題なさそうだねぇ。さぁさ、じゃあ部屋に案内しようかねぇ。着いておいで。」

「あ、ちょ!!部屋に行くって。大丈夫?キョーコちゃん。歩ける?」

「んー。はぁい。」

元気よく挨拶して体から離れてくれたと思ったが、キョーコはそのまま蓮の腕に絡みついて離れなくなった。
その胸が先ほどから腕に押し付けられて、蓮はもう流石に理性の限界を感じていた。

「くッ…耐えろ…俺…後少し…後少しだから…」

思わず口に出してしまった自分に言い聞かせるための呟きも、今のキョーコには聞こえていても聞こえていないも同然だろう。
不思議そうに見上げてきたかと思ったら、目が合うと無邪気な笑顔でへにゃりと笑われ、蓮の顔から完全に表情が消えた。

「さぁさ、着きましたよ。二人でこのお部屋を使っとくれ。」

「え…あの…二人でって、まさか…」

「ボロ屋でねぇ、他の部屋は雨漏りがひどくて…。困ったことにねぇ、使えそうなのがこの部屋だけなんだ…」

「…ほ、他にないんですか?」

蓮は縋るような目で老婆を見たが、老婆はゴメンねぇと謝った。

「それと、わたしゃ腰がこの通り悪いから、布団は自分たちで敷いておくれ。あの押入れに入ってるの適当に使っていいからねぇ。」

「……わかりました。」

蓮は諦めたように返事をした。

「じゃあ、何かあったら、呼んでくれていいからねぇ。でもま、私もそろそろ…ふぁ…眠ろうかねぇ。」

「すみません。何から何まで、ありがとうございます。」

「ありがとうございましゅー!」

老婆はにこにこと嬉しそうに笑って、腰をトントン叩きながら、のんびりと歩き去った。

「…………」

蓮はその後ろ姿を暫し呆然と眺めていたが、直ぐにクイッと袖を引っ張られて現実に戻ってきた。

恐る恐るチラッと目線をやると、眠そうに目をこする凶悪的に可愛いキョーコがいた。

「こぉん…寝ないのぉ?」

「ーーあぁ…寝ようか…。一緒に…。」

蓮の理性はもうギリギリのところまで来ていた。
アリの子が一匹、チョンと体を突いただけで一気に崩れ去ってしまうのではないかというほど、ギリギリの限界だった。

狭い部屋に二人きり。嵐の夜。愛しい少女はアルコールで可愛さ百倍。冷えた身体。色違いの夫婦浴衣(…しかも中身は下着なし。)
先ほどは一緒に裸でお風呂にも浸かった仲なのだ。

身体の関係があったところで、何の問題があるというのだろう?
寧ろ、ここまで条件が揃っていて、身体の関係がないことの方が問題ではないのか?

ーーー…ここで手を出したとして、誰が俺を責められるというのだろう?


「こぉんと一緒ぉ。」

きゃっきゃっとはしゃぐキョーコを蓮は後ろから抱き締めていた。

「キョーコちゃん。」

耳元で名前を呼べば、振り返る無邪気な顔。
その唇に、蓮はとうとう口付けたのだった。


(続く)


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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

雨に流されて… 5

雨に流されて… 5


ーーー危なかった…!!

蓮は後ろ手で戸を閉めると、その場にズルズルとしゃがみ込み、赤くなった顔を片手で隠した。

全てを話した後、キョーコが見せた花のような笑顔に思考を全部持って行かれた。

ダメだと思っていたのに手が伸びた。
思わず抱きしめていた。

「ハァァァァァァ〜」

ーーーアレでよく我慢したよ、俺…ッ!

蓮はキョーコを後ろから抱きしめた時、跡が付くほど強く己の腕を掴んで、イタズラを仕掛けたがる手を何とか留めてキョーコを抱き締めるだけで耐え抜いたのだ。

闇へと沈め封印していた素性を明かして、それでもキョーコはそんな蓮を受け入れてくれた。

ーーー折角、信頼を失わずに済んだんだ。…もし、気持ちをぶつけて暴走して嫌われでもしたら本末転倒だろう…。

「ふぅぅぅ〜…」

髪をかきあげつつ、先程抱きしめたキョーコの温もりを無表情のまましばらく反芻し、ハッとした。

ーーーダメだ…ここにいたら最上さんが出てくるかもしれない…。

ずっとその場にしゃがみこんでおくわけにはいかないと気づいた蓮は、先ほどから存在を主張している己を鎮めるべく、目的地をトイレに定めた。

ーーーそれにしても…電気消えてて助かった…。こんな状態のを見られた時にはあの純情乙女な最上さんのことだから全力で逃げ出すか、何かの病気と勘違いするか、気を失うかしそうだ…。

そして無意識に、トイレの電気のスイッチを手で探し、スイッチを入れたところで、停電していたことに気付いたのだがーー。

ーーーあ…れ…?

使用出来ないと思っていた電気が、何故かパチっと音を立て明々とついたのだ。
脱衣場だけでなく、浴槽にも電気が回復していた。

ーーーえ?!何でだ?停電してたんじゃ…。

そして、蓮はハッとして脱衣籠を慌てて覗き込んだ。
そこには入る時にはなかった着替えらしき浴衣が用意されており、濡れた衣服は片付けられていた。

ーーーもしかして…。

蓮の顔が引きつった。
老婆はお風呂に入ってる間に、着替えを用意しておくと言っていた。
つまり、こういうことだろうか?
着替えを用意した老婆は着替えを置いて満足して、雷が落ちた絶妙なタイミングで電気を消して出ていってしまったのだ。

「おばあさん……」

蓮はガクウッと思わず、その場で脱力してしまった。

ーーー嘘だろ?アレで俺がどれだけテンパったと…。

そして、蓮は停電中に想像してしまったあれやこれやを思い出してしまって顔を覆った。

ーーゴホッ。

蓮は一瞬、固まったのち、咳払いで顔の赤みを誤魔化しながら、タオルと着替えを手にすごすごとトイレに籠るのだった。



蓮がいないのを確かめてキョーコが脱衣所に戻ってきた。

「ふぁぁ〜。気持ちよかったぁ〜〜!!」

久しぶりの温泉に心も体もホコホコと温まったキョーコは満足げに言いながら、脱衣所へ場所を移した。

「それにしても、停電した時は驚いたけど、復旧してよかったぁ。」

水分を吸って重くなったバスタオルを体から取ると、新しいタオルを手に取り体の水滴を拭っていく。

そうしながら、先ほど置いたはずの自分の衣服がないことに気付いた。

「あれ…私の服と…下着は…?!」

置いていたはずの場所にはキチンと畳まれたピンクの優しい色の浴衣。

「わ。綺麗…そっか、おばあちゃんが用意するって言ってた着替えってこれのことね。」

それを胸にかかえて籠を覗き込むも、浴衣と帯しか見つけられなかった。
周りを見回しても洗濯機は見当たらない。
恐らく居住スペースにあるのだろう。

「えっと…下着…ドライヤーで乾かせばなんとかなるかもって思ってたけど、おばあさん持って行っちゃったのかしら…?」

キョーコはしばしの間どうしたらいいのかと思案していたが、ないものは仕方がない。

「うぅ…恥ずかしいけど、これをこのまま着るしかないわよね…。」

キョーコは頬を染めながら素肌の上に直接薄手の浴衣を羽織ったのだった。

蓮が脱衣所の外で待っていると言っていたので、急いで衣服を整えて簡単にドライヤーをかけて飛び出した。

「コーン!お待たせッ!!」

「クス。慌てなくても良かったのに…。ちゃんと温まってきた?」

「はい!」

蓮の浴衣は紺色で、その滴るような色気にドキリと心臓が跳ねた。

蓮も湯上りのキョーコに見惚れ、気がつけば無意識のままキョーコの髪に手を伸ばし、その手がつぃっとキョーコの髪を一房を持ち上げていた。

キョーコの心臓がまたもや大きくドキンと跳ねる。

「こ、コーン?」

ーーーハッ?!俺は…何を?!

またもや理性のブレーキをかけ忘れそうになっていたことに気づいたが、内心の動揺を見せず、それらしいことを口にした。

「髪…まだ濡れてる。」

「そ、それは…コーンだって。」

「俺はいいの。男だから。」

「えぇ?!」

「おいで。ちゃんと乾かしていこう。」

「わっ。もう…コーン!って、きゃ!」

蓮に手を引かれ、脱衣所へ回れ右をしたキョーコは足がもつれて、蓮の腕にぶつかってしまった。

ーームニュ…

「…ッ?!」

「わっ!ご、ごめんなさいっ!!」

胸を押し付けるような形になってしまったキョーコは真っ赤になりながら慌てて離れようとしたのだが、蓮に強く掴まれた手はそのまま離されなかった。

「…あの?」

固まっていた蓮がキョーコに声をかけられてハッとする。

「……いや…。俺も急に引っ張ってごめん…」

「いえっ、そんな…っ!!」

蓮もキョーコもお互い心臓の動きがドクドクと激しくなっていた。

「………」

「………」

蓮に掴まれた腕が熱くて、居た堪れなくなったキョーコが声を掛ける。

「コーン…?」

「…あ、あぁ…ごめん。行こうか…。」

蓮はそう言うと、キョーコを促して脱衣所へ再び入った。

キョーコが髪を乾かす間、蓮はジッとドアに背を預け、ガッチリと腕組みをして無表情で立っている。

ーーー怒ってる…訳では、ないわよね?

キョーコはそんな蓮の様子をチラリと窺い見ながら、ドライヤーをかけていた。
蓮が何か怒っていればいつもニョキっと喜び勇んで出てくるはずの怨キョレーダーが今は反応していない。

ーーーそういえば、さっきお風呂の中でもあんな顔してたような…。

蓮の素性を聞く前に蓮が何か思い悩んでいるかのように心ここに在らずだった時のことを思い出して、キョーコは心配になった。

ーーーもしかして何かあったのかな?…大丈夫かしら…?

「コーン?」

ドライヤーをかけ終わり、スイッチを切って呼びかければ、蓮はハッとして顔を上げると、一瞬キョーコを見て、直ぐに目を逸らした。

「あ、あぁ、終わった?」

「はい。あの、コーンも…」

「俺はいいから…」

「良くないです!いいからここに座ってください。」

蓮は一つ大きなため息を吐くと、諦めたようにキョーコが示した椅子に腰掛けた。

「自分で…」

「いえ、やらせてください!」

スイッチを入れるとブォーっという音とともに、暖かい風が蓮の髪を弄ぶ、キョーコの細い指がそんな蓮の髪を優しく梳く。

鏡の中のキョーコをチラッと見た蓮はまた一つ深く息を吐き出し、ぐっと堪えるように目を瞑り、唇を噛み締めると、固く腕組みをした。

ーーーわっ。やっぱり敦賀さんの髪の毛ってサラサラ…。

キョーコは蓮の心情など知らぬまま、ドキドキしながら、蓮の髪を乾かす。

ーーーふふ。何だか和むのよねぇ。この感触。

そんなことを思いながら、キョーコは蓮に問いかけた。

「何かあったんですか?」

「…何が?」

「いえ、さっきから凄く深刻そうな顔をしてるので…。」

「…?!…いや…」

キョーコ相手に不埒な妄想をして己の感情を抑え込むのに必死だったなど口が裂けても言えるはずがなく、蓮は平常心を装い否定した。
でも、キョーコは納得出来なかったようで尚も食いさがる。

「まだ何か言い残したことがあるんじゃないですか?」

「…別に、大したことじゃ…」

「何ですか?言ってください。何でも言いたいことがあったら遠慮なく言ってくださいっていったじゃないですか!」

「………」

蓮はそれでもだんまりを決め込むので、キョーコは先ほど言われた二人の時はコーンへの口調でいいと言われたことを思い出して言い方を改めた。

「コーン?言って?」

「ッ?!」

蓮はそのキョーコの言い方に、ドキリとする。

「ねぇ、コーンってば!」

顔を後ろから覗き込まれて、蓮は観念して諦めたようにボソリと呟いた。

「…つけてないの?」

「…え?」

キョーコが不思議そうに首をかしげる。

「だから、その…ゴホッ…あー、下着…?」

蓮に言われてキョーコはカァッと真っ赤になって、ドライヤーを持っていない方の手で慌てて前を掻き合わせた。

「だ、だって!おばあさんが持ってっちゃったみたいで…下着が無くなってて…」

「……やっぱり…」

「…って、もしかして…敦賀さんも…?」

「……うん。」

「じゃあ、あの、浴衣の下は…」

「うん。君と一緒…かな?」

キョーコは思わず、蓮の浴衣の下を想像してしまい、ボンッと真っ赤になった。
互いにぎこちない空気が何となく流れる。

「そ、そろそろ行きましょうか!」

「あぁ…。」

ドライヤーをかけ終えたので、ドライヤーを仕舞い、二人で脱衣所を出る。

蓮からあからさまに距離を空けて前をズンズン進んでいくキョーコを後ろから見ながら、蓮はこっそりため息を吐いた。

ーーーやっぱり…そうなるよな。

引き離される距離を見て、それがキョーコとの想いの距離に感じた。

ーーーもしここで好きだなんて言ったら、絶対に避けられて逃げられて、もう二度と手に入らない場所に行ってしまいそうだ…。

蓮は後ろからキョーコを見つめた。

ーーー本当は気持ちを伝えて抱き締めて…最上さんの全てを手に入れて、俺だけのものに出来たらって思うけど…

蓮はふるふると首を振って頭の中に湧き上がる思考を振り払う。
ラブミー部員のキョーコには、一緒にお風呂に入っても何もされない安全な先輩だと認識されてるのだ。
恋や愛など語ってもバッサリ切られてしまうことは目に見えている。

ーーー全く。危なっかしい。相手が俺じゃなければ、とっくの昔に襲われてるぞ。

そう思って見つめれば、キョーコの浴衣の中身をぼんやり想像してしまって、蓮は慌てて頭を振る。

ーーーとにかく、この場を乗り切れれば、後はご飯を食べて寝るだけだ。

蓮は、己の理性を信じてこれ以上何も起こらないことを祈るのだった。


(続く)

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*****


中々進んでくれない…!(>_<)
何故まだここなんだ…。
迷走気味になってしまいました。

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雨に流されて… 4

前回の感じを期待された方はすみません。
蓮様の妄想大爆発の回はとりあえず3で出し切っちゃったはず。
これなら通常公開大丈夫かな??とドキドキアップです。


*****


雨に流されて… 4


「なかなか、戻りませんね…」

キョーコは停電してしまった浴室を見回して心細そうに呟いた。

「………」

「あのおばあちゃん一人で大丈夫でしょうか?」

「………」

「…でも、敦賀さんが一緒にいてくれて、良かったです。」

暗闇の中で、キョーコは頬を染めて言った。

「こんな急に停電なんて…一人じゃきっとテンパってました。」

キョーコはえへへ。と冗談っぽく言いながらも、内心心臓が飛び出しそうなほどドキドキしていて、停電してもそれどころではなかった。

同じ湯船の中に蓮がいる。それだけで恥ずかしさで茹で上がってしまいそうだ。
何でもいいから何か話をしていないと緊張で心臓が飛び出してしまいそうで、キョーコは何か話題をと色々思考を巡らせていた。

「ううん。今だけじゃないです。今日1日でも、私ーーー。」

そう口にして、漸く今日1日のことを振り返ることができた。
蓮が助けに来てくれなかったら、あの心細い森の中を一人っきりで歩かなければいけなかったかもしれないのだ。
いくら自然が好きとはいえ、土砂降りの雨の中、一人だけだったら心が折れていたかもしれない。
滑り落ちる時に抱き締められた腕の力強さも、水中で絶対に離さないとばかりに抱き締められたことも、山道を歩く時に握られた手の温かさも全部覚えている。

それに…もしかして…だけど…

ーーーキス…された…?

心臓も呼吸も止まっていたというその時間、目覚めた時に何となく唇に残っていた感触がキョーコの心をざわめかせた。

ーーーた、多分、人命救助という名の人口呼吸で仕方なくだろうってことはわかってるけど…でも…。

キョーコはそっと唇に手をやり頬を染めた。
しかも、その蓮と破廉恥にも今お互い何も身につけず、同じ湯船に浸かっているのだ。
ドキドキしない方がおかしいだろう。

ーーーでも、本当に良かった…。一緒に川に落ちたのが敦賀さんで…。

蓮は特別だ。他の男の人とは全然違う。勿論一緒にいてドキドキもするが、一緒にいることで物凄く安心もするのだ。
相手が蓮以外の男性だったら、一緒にお風呂なんて提案しようとも思わなかっただろう。
蓮が相手だからこその恥ずかしさはあるが、蓮が相手だからこそ大丈夫という確信もあった。

「だって、私、敦賀さん相手だったら…何されてもいいもの…」

キョーコはポロリと零れた己の本音が耳から入ってきてハッとした。

ーーーい、今私、とんでもないことを!!どうしよう?!気持ちがばれちゃったんじゃ…!!呆れられた?!嫌われた?!

カァァッと真っ赤になって、慌てて後ろにいる蓮へ弁解を始めた。

「い、今のはっ!!あのっ違っ…あの、な、なんというか…あの…その…!」

焦れば焦るほど言葉は出てこなくて、キョーコはなんと弁明すれば良いのかわからず真っ赤になって途方にくれた。

結局良い言葉が何も浮かばず、言い訳できなくなって、もう一生顔向けできないっ!!と心の中で身悶え、私はこれからどんな仕打ちを?!と身構えて体を硬くしていたが、暫くしてもシーンと静かで何の反応もなくて、キョーコは内心動揺しながらも、恐る恐る目を開いて蓮を振り返り様子を窺った。

「敦賀さん…?」

呼びかけてみるが返事がない。

ーーーえ?何?だって今すぐ後ろにいるわよね?

背後には蓮の気配が確かにある。
そういえば先ほどから話しかけても一言も返されてない気がする。
暗闇だから大丈夫なはずと言い聞かせながら、蓮の様子が気になって、身体の向きを変え蓮に呼びかけた。

「敦賀さん…?どうかしたんですか?」

目は開いてるようだが、ただ無表情で湯船をボーッと見つめていて返事がないので、キョーコは心配になった。

ーーーもしかして、敦賀さん気分悪くなったんじゃ…っ!!

「敦賀さん?!敦賀さん!!」

繰り返し呼びかけて、蓮はやっとビクッと体を震わせて反応した。

「……ッえ?!な、なに?!」

蓮が返事を返してくれたことでホッと安堵する。

「気分でも悪いですか?もしかしてのぼせちゃいましたか?」

キョーコは蓮の様子を確かめるため、少し近づき蓮の顔を覗き込んで窺った。
二の腕が軽くぶつかって、アッと思ったと同時に蓮の身体が思いの外大きく跳ねてキョーコは少しばかり驚いた。

「いや、…あぁ、うん、そうかも…ちょっと浸かりすぎて逆上せたかもね。ハ、ハハハハ…。」

普段なかなか目にすることのない蓮のぎこちない様子にキョーコは首をかしげる。
そしてチラッと視線が合いそうになって慌てて逸らす蓮の様子を見て、漸くピンときた。

「…もしかして、あのことですか?」

「……?あ、あのこと…?」

「あのっ!私、無理に聞き出そうなんて思ってないですからっ!敦賀さんが話したいと思った時に話してくれれば…」

「え?な、何が?」

蓮は相変わらずドギマギと答えており、キョーコは内心で、首をかしげながら、言いにくそうに口にした。
暗闇の中でもだいぶ目は慣れてきたので、近くにいる蓮の姿はぼんやりとだが見えるようになっていた。

「あの…ですから、敦賀さんのその目の色のことです!」

「…あ……。」

蓮はキョーコに指摘されて、とても大事な話をしてなかったことに漸く気付いた。
川に落ちた拍子にコンタクトが片方取れ、今は残っていた方も外して、完全に本来の目の色に戻っているのだ。

ーーーそうだった…俺っ…!

みなまでは言わないが、キョーコがこの目の色を見て、コーンと敦賀蓮がイコールで繋がりつつあることも気づいている。

ーーー何てことだ…俺としたことが最上さんとの妄想に夢中になるあまり、こんな大事なことを忘れてたなんて…ッ!!

蓮は己のありえない失態に鈍器で頭を殴られてるようなショックを受けた。

チラリとキョーコを横目で窺いみれば、真剣な目がまっすぐ蓮を見つめていた。
温泉で温まっているからか、頰が赤く染まっていて、思わずドキリとしてすぐに視線をそらす。

ーーー話さないと…だよな。最上さんには…

正直、裸のキョーコが目の前にいてそれどころではないという思いもあることはあるが、変に隠してたり誤魔化したりして、下手に誤解されるより、他の誰でもないキョーコには、ここできちんと全てを話してしまったほうがいいだろう。

想い人であるキョーコとの混浴に気をとられ過ぎて、大事なことを指摘されるまで話し忘れていたことに蓮は罰が悪い思いを抱いた。

「そうか…いや、そうだよね。ゴメン。君にはきちんと話すべきだった。」

蓮に謝られて、キョーコはブンブンと首を振った。

「そ、そんなっ!!敦賀さんが謝られることは何も…!」

「聞いて欲しいんだ。最上さんに…いや、キョーコちゃんに…聞いてくれる?俺の長い長い…昔話…。」

蓮の真剣な目が、暗闇の中で宝石のように光ってキョーコの目をとらえた。
熱くて大きな手がキョーコの手をそっと握りしめる。

キョーコはその蓮の真剣な眼差しと握られた手の力強さにドキリと胸を高鳴らせながらも、コクンとしっかり頷いた。

「はい。是非、聞かせてください。敦賀さん、あなたのことを。」

キョーコの真剣な様子に蓮は頷き返し、暗闇に目を向けると、独り言を言うようにポツリポツリと己の素性と生い立ちについて洗いざらい語り始めた。
両親のこと、子役時代のこと、いじめの事、キョーコと初めて出会う前の話で、すでに感情豊かなキョーコは涙ぐんでいた。

「そんな酷い人達が周りにいたなんて…コーン可哀想ぉぉ…」

エグエグと泣くキョーコに苦笑しながら、蓮はキョーコに断りを入れて温泉から上がり、タオルを腰に巻いて温泉の淵に腰掛けると足湯をしながら話を続けた。
キョーコも逆上せそうだったので、蓮を追うようにタオルを体に巻きなおして、蓮の隣に腰掛け話の続きを真剣に聞いた。

ここが、人に聞かれる心配のない暗闇の中だからか…はたまた心も体も温めてくれる温泉だからか…。
それとも話す相手が誰よりも愛しいキョーコだからか…。

蓮は自分でも驚くほど、穏やかな気持ちですんなりと過去の話を語ることが出来た。

「ーーーつまり俺はハリウッドで成功して認められるまで、自分の出生を明かす気はないんだ。だから、勝手に話してしまったのに申し訳ないけど、このこと他の人には…」

「はいっ!!不肖、最上キョーコ!コーンの極秘事項は誰にも絶対に話さないと誓います!!」

「ありがとう。俺も話したことで、少し気が楽になったように思うよ。でも、やっぱり俺のこと怖いと思っただろう?話を聞いて後悔してない?」

蓮の不安気な言葉に、キョーコはふわっと微笑んだ。

「セツカとして、カインを演じる敦賀さんの側にいた時、時々敦賀さんでもカインでもない知らない男の人が敦賀さんの中にいるって思ってたんです。それが少し怖かった…。敦賀さんは、きっと人に言えない深い深いところに闇を抱えてるって。誰かが手を伸ばしたくても決して届かない暗くて深い場所に何かを閉じ込めてるって…」

蓮はキョーコの言葉に目を見開いた。

「だけど、その知らないと思ってた男の人がまさかコーンだったなんて…!!驚きましたけど、でも私、ずっとコーンに恩返ししたかったから…だから、話してくださって…こんな私でも話を聞くことで少しでも力になることが出来たのかな?って思うと、凄く凄く嬉しいです。」

「最上さん…」

「私にとって、敦賀さんもコーンもかけがえのない大切な人です。過去にどんなことがあったとしても、コーンはコーンで、敦賀さんです!!コーンを敦賀さんの中の闇から救い上げるためだったら、私にできることなら何だって惜しみなく協力しますから、だからこれからは遠慮せず私に何でも仰ってください!私はどんなことがあっても、敦賀さんの…コーンの味方ですっ!!」

力強く誇らしげに言い切られて、全てを話したら嫌われたり怖れられたりされるかもしれないと危惧していた蓮は、邪な気持ちは一切なく、キョーコを感動のあまり力強く抱き締めていた。

「ありがとう。キョーコちゃん…。本当にありがとう!!」

「きゃ!ちょ、こ、コーンッ!」

裸の蓮に抱き締められてキョーコはアワアワと慌てながら真っ赤になった。
触れるつもりのなかった蓮の厚い胸板。耳に直接響く声に、キョーコの心臓が飛び出そうなくらい激しくなる。
そういえば今裸にタオルを巻いてるだけなんだったと今更ながらに思い出した。
キョーコの驚いた声にハッとして、蓮もうっかり今の互いの格好を失念して抱き締めてしまった自分の行動に恥じて赤くなりながら慌ててキョーコを解放した。

「あぁゴメン…つい…」

「いえ、あの…スミマセン。」

「何でキョーコちゃんが謝るの?」

「だって、何だか…そんなつもり敦賀さんにはないってわかってるのに…ごにょごにょ…」

「ん?」

「いえ!!何でもありません!!だいぶ温まりましたし、そろそろ上がりましょう!!」

「そうだね。でも、暫く足湯してたからもう一回くらいちゃんと浸かった方がいいんじゃない?」

「そ、そうですね。ではそうさせて頂きますっ!!」

そういって、キョーコは蓮に背を向けて恥ずかしさを紛らわすようにその身をザバリと勢い良く肩まで温泉に沈めた。その後ろに蓮もゆっくり浸かる気配がしたかと思えば、キョーコは蓮に後ろからそっと肩を抱き寄せられていた。

「きゃ!!つ、敦賀さん?!」

ぎゅっと抱き着かれて、タオルに隠れていない肌と肌が密着する。
蓮の腕の温もりと胸板の熱を直に感じてキョーコは真っ赤になった。
そんなキョーコの耳元に蓮は低い声で囁いた。

「二人っきりの時は、コーンでいい…。コーンって呼んで?口調も敦賀蓮に対するものじゃなくてコーンに対する時のままでいい。」

「わ、わかった。わかったから離して…コーンっ!!」

「ん…もう少しだけ。このままで…お願い…」

蓮に抱き締められたまま懇願されてしまっては、逆らえなくてキョーコは動悸が激しくなりながらも目を瞑って耐えるようにして大人しくなった。

キョーコの少し早い鼓動が蓮の肌に直接響いてくる。
肌に直接感じるキョーコの温もりで、分厚い氷のように張られていた蓮の心のバリアがゆっくりと溶けていく。

「…ねぇ、キョーコちゃん、この先もずっと、俺の味方でいてくれる?」

「勿論!!この先ずっとずぅぅっと、コーンの味方よっ!!」

「それは頼もしいな。」

くすぐったそうに蓮はクスクスと笑った。

「じゃあ、これからもよろしくね。キョーコちゃん。」

言いながら、ちゅっとキョーコのつむじにキスを一つ落として、蓮はキョーコを解放して立ち上がった。

「え…今…」

キョーコは目を見開く。

「じゃ、俺は先に上がってるから、もう少し温まってから出ておいで。暗いから気をつけて。脱衣所出たとこで待ってるから。」

「は…は、い…」

キョーコはキスを落とされたつむじを片手で抑えて、頬を染めぼんやりと蓮を見送った。

ドッドッドッドと心臓がまたもや速く動き出す。

ーーーキ、キス…されたよね?何で?!何で…!!

動揺を隠せず、キャーキャーと心の中は大暴れしてしまう。

とにかく落ち着こうと、顔を半分まで湯に沈め、ぶくぶくと息を吐き出しているとあることを思い出してハッとした。

ーーーえ…?ちょっと待って…私、グアムでコーンに会った時………?!!!!!

自分からコーンにキスをしたことと、去り際にコーンからキスされたことを思い出して、真っ赤になった。

ーーーアレってつまり、私気付かない内に敦賀さんと、キスしてたってことーーーーッ?!?!?!

衝撃の事実に、一瞬意識が飛びそうになって、慌てて温泉の淵にしがみ付いた。

ーーー嘘?!何で?!何であの時敦賀さんはあんなこと…っ!!

ーーパッ

「ふぇ?!あ、電気が…良かった…」

復旧した電気にほぉっと胸を撫で下ろして、先程の暗闇の中での出来事をボンッと思い出し、破廉恥な行いにまた羞恥心が湧き上がった。

ーーー私、私…一体貴方に、どんな顔して会えば良いんですか?!敦賀さぁぁぁん!!


(続く)

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*****


まじーん様の始められた缶蹴りゲーム!
申し訳ないですが、ここでは何とか死守して切り抜けました!!

でも、まだ終われないので、もう少し続きます♡

実はこの先の先ぐらいが書きたかった本命なのです☆
蓮様にはもっと試練を用意させて頂きますことよ?(笑)←どうやら楽しくなってきた模様。

このままもっと突き進んで続けて良いよ!って方は応援拍手をポチッとして頂けたら嬉しいです☆

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