なくした記憶 48

なくした記憶 48


「はぁぁぁ?!敦賀さんと付き合うことになったぁぁぁ?!」

「ちょ、も、モー子さんっ!声大きいからっ!!」

ここはLME芸能プロダクションのラブミー部のラブミー部室。

ラブミー部員1号のキョーコと、2号の奏江は久しぶりに顔を合わせていた。

「もー!!ちょっと会わない間になんでそんなことになってんのよ?!馬鹿じゃないの?!ってかアンタ、敦賀さんにこの間襲われかけたこと忘れたの?!」

「アレは…私が悪かったのよ!」

「例えアンタが悪かったとしても、女相手にいきなりあんなことする奴、最低よ?!」

奏江が言っているのは、蓮が記憶をなくす直前の出来事のことだ。
このラブミー部室で、泣きながら嫌がるキョーコを強引に襲っている蓮の姿。それが奏江の蓮を見た1番新しい記憶の中の姿だった。
それから忙しくてなかなかキョーコにも会えてなかった奏江だったが、久しぶりに会って、幸せそうに報告された言葉に驚きよりも怒りの方が強くて思わず怒鳴りつけてしまったのだ。

「それは…そうなんだけど、あの件に関しては敦賀さんも凄く反省してくれてて…」

「はぁぁ…アンタねぇ…もう、本当…つくづく馬鹿なんだから…」

はぁぁぁぁと深いため息を吐き出した奏江にキョーコは居心地悪そうに座り直した。

「で?何があったのよ?どうして付き合うなんてことになったわけ?」

奏江の目が鋭くキョーコを捉える。

「えっとね…敦賀さんがあの後すぐ事故に遭って病院に運ばれたのは知ってるわよね?」

「えぇ。いい気味だと思ったわ。」

ツンとした冷たい声が奏江から発せられる。

「それを聞いていても立ってもいられなくて慌てて病院に行ったの。」

奏江は心底呆れた目をキョーコに向けた。

「あんた本当にバカね?!あんな事があった後に病院に駆け付けるなんてっ!」

「だって、心配で…。それに私、その時には敦賀さんのこと本当の本当は…好きだったのっ!!」

ラブミー部員のキョーコにとってかなりの勇気を振り絞ったであろう告白に、奏江は目を見開き、あっけに取られた顔をした。

「はぁ?」

「だから事故に遭ったなんて聞いて、敦賀さんの無事を確かめられるまでは安心なんて出来なくて病院の場所を無理やり聞き出して押し掛けたの…」

溜息を吐き出し、キョーコの言葉に奏江は静かに耳を傾けた。

「…ふぅん。それで?」

「敦賀さんは何時間も目を覚まさず意識不明だったんだけど、漸く目を開けたと思ったら…」

そこでキョーコは迷うように言葉を切った。
奏江の頭に疑問符が浮かぶ。

「…思ったら?」

奏江の顔を上目遣いで覗き込んだキョーコが言いにくそうに言葉を発した。

「これは、あの…絶対誰にも言わないって約束してくれる?」

「…わかったわ。言わないわよ。」

「ありがとう。…実はね、トップシークレットで、敦賀さんにモー子さんには話していいと了承もらったから話せるんだけど…」

「だからなんなのよ?」

「実は、敦賀さん目が覚めた時、16歳からの芸能界での活動の記憶を全て失ってたの。」

キョーコの言葉に奏江は目を丸くし、そして一拍置いてから、ガタンとパイプ椅子から立ち上がった。

「はぁ?!はぁぁぁぁぁぁ?!」

それからキョーコはその事故からの経緯を話した。
蓮の記憶を思い出すまで世話係をすることになったということ、実は蓮と過去に出会ったことがあったと明らかになったこと、自分にだけは心を開いてくれたこと、一週間で20歳の敦賀蓮を把握して違和感のないように作り上げたが本当は子供っぽい言動もキョーコの前では多かったこと、その記憶をなくしてる蓮から愛の告白をされたこと、蓮には好きな人がいると誤解をしていたから、その想いを受け止めることが出来なかったが蓮への思いを抑えられなくなったこと、そしてショータローから襲われそうになった時に、蓮が助けてくれ、そこでまた奪うようなキスをされ、蓮が気を失い、その後無事に記憶を取り戻したこと。
そして記憶をなくしてる間の出来事を覚えてなかったことも、蓮があの事故の直前の出来事で消えてしまいたいというくらい深く傷付いていたことも、その後蓮の好きな相手が自分だったと知って、両想いになれたことなどを包み隠さず全て話した。

全てを聞き終えた奏江は疲れたような顔で頭を抱えていた。

「はぁぁぁ…何だか、アンタ達って…」

チラリとキョーコに一瞬だけ視線をやった奏江は、すぐにプイッと顔を逸らした。

「いえ、なんでもないわ。」

「え?!なによぉぉ〜モー子さん!言いかけて辞めるなんて気になるじゃなぁぁい!」

「あーもー!鬱陶しい!とにかく、良かったじゃない!記憶も戻って敦賀さんの気持ちもちゃんとわかって、付き合うことになったんでしょう?!」

「うん…。」

ほんのりと頬を染めて、ほにゃりと顔を崩した笑みを見せる親友に何となく苦い思いを抱きながらも、取り敢えず見守ることに決めた。

「まぁ、何か困ることでもあったらいつでも相談に乗るわよ。惚気話だけは勘弁だけど。」

そんな奏江の言葉を聞いてキョーコの顔にパァァァーと花が咲いたような笑みが広がった。

「ありがとう!モー子さん!!大好きぃぃぃぃ!!」

「あーはいはい。わかったから離れなさい。」

「良かったー!良かったよぉ〜。モー子さんに認めてもらえてぇ〜。」

「ったく。で?付き合うことになったって社長には報告したの?」

「う、それは、まだ…」

「まぁ、知らせたらとんでも無いことになりそうよねぇ〜。」

「えぇ、そこなのよねぇ…。考えるだけで恐ろしいわ。」

「当分は黙ってた方がいいんじゃ無い?」

「そうね。絶対遊ばれるもの…。」

そうヒソヒソとしたやり取りをしていたところで、バーンと大きな音を立ててラブミー部室のドアが開いた。

目を丸くして驚いて2人がそちらを見る。

「話は聞かせてもらったぞ!」

「「しゃ、社長!!」」

黒いマントに身を包み、ドラキュラの格好をしているローリィがマントでにんまり顔を隠した。

「そうか!漸く蓮が最上くんを捕まえたか!そうかそうか!」

恐ろしいことになると顔を真っ青にして両手を頬に当てて固まったキョーコと、同じく言葉もなく突っ立ってる奏江の前で、ローリィは少しだけ拗ねた口調になった。

「それにしてもアイツ、報告もしてこんとは!恩知らずめ!」

ブツブツと文句を言っていたかと思ったら、その顔はパアッと輝いた。

「そぉぉぉだ!いーいこと思いついたぞ。」

何を思いついてしまったのか、ローリィは今までに見たことがないほどニンマリと顔を歪ませて気色悪く笑った。
その顔を見て、キョーコはヒィと小さく悲鳴をあげ、奏江は残念そうに首を振って、諦めなさいとでも言うように、キョーコの肩をポンと叩いたのだった。


(続く)

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*****

うーむ…ここからどうするつもりなのか。
ローリィ…ローリィ…ローリィ…
暴走するだけ暴走して去っていくぅ。

ここからどんな展開に転がるのか?
風月にもわかりません(遠い目)
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

ぽかぽか幸せ

この間、大雪が降った時に浮かんでたお話。
なくした記憶終わったらアップしようと放置してたのですが、たまたま発見し、なくした記憶終わるの待ってたら春になっちゃうかも?!と思って発掘しちゃったので先にアップしておきます。

風月にしては珍しく蓮キョがくっつくまで行かないお話。
日常の一コマ…的な?
物足りないって言われちゃうかなー?でもたまにはこういうのもいいかな??と思いながらもアップです。

お楽しみ頂けたら幸いです。

*****


ぽかぽか幸せ



「わぁっ…!凄い…」

「最上さんこういうの好きかと思ってね。作って持って来たんだ。」

得意げに語る蓮の手の上には大きな雪の塊が乗っかっていた。

「…作って…?」

キョーコは蓮の両手のひらからはみ出すほどの雪の塊をマジマジと見つめた。
ただの雪の塊に見える物体は、一体何をかたどったと言うのだろう?

「雪ウサギだよ。今日一緒に共演した子役の子から作り方教えてもらったんだ。」

「え?!」

キョーコは目を見開いた。
言われてみれば確かに、大きさがバラバラの歪な形の石が顔と思しき場所の左右に…。
頭には本体の大きさの割には小さな葉っぱが申し訳程度に刺さっていた。

「ふふ…ふふふ。」

それを見て敦賀蓮渾身の雪ウサギなのだと漸く認識できたキョーコはこみ上げる笑いを抑えきれずに、肩を震わせた。

「え?…最上さん?」

蓮はキョーコの反応に狼狽えている。

「敦賀っさんっが…雪ウサギッ!ふふ。もしかしてマンションの下で作ってきたんですか?」

「そうだけど…何かな?その反応は…。」

若干面白くなさそうな顔でふて腐れる蓮に、キョーコは目元に浮かんだ涙を拭いながら言った。

「す、すみません。ちょっとマンションの前でせっせと雪ウサギ作ってる敦賀さん想像しちゃって…それに、その雪ウサギ大き過ぎですっ!」

「あ、やっぱり?少し大きいかな?とは思ったんだけど…」

「もう…ふふ。あ、ちょっと写メ撮ってもいいでしょうか?」

キョーコはエプロンのポケットから携帯電話を取り出した。

「え?…あぁ別にいいけど…。」

蓮の了承を得て、カメラを構える。

「そのまま持っててくださいね?いきますよー!」

「ん…」

ーーカシャ

「ふふ。撮れました。」

「どれどれ?」

キョーコの携帯画面を覗き込むため、蓮が少しだけ屈んだ。
ふわっと蓮の香りがして、キョーコはドキンと胸を高鳴らせた。

「確かに、これは大きすぎだね。」

蓮が写真を見て同意を示し、近い距離のまま、キョーコの顔を覗き込んだ。
キョーコの顔が一瞬にして真っ赤になったのを蓮は驚いた顔で見つめた。
その視線に耐えきれず、キョーコは慌てて蓮から顔をそらして、急に無理やり思い出したように意識をキッチンの料理に向けた。

「あ、やだ。火付けっぱなしかも!」

「最上さん…」

「敦賀さん、もう少しでご依頼の晩御飯出来ますから、その雪ウサギは…家の中だと溶けちゃいますから玄関の外に置いておきませんか?」

「…そうだね。もうだいぶ溶けてきたよ。」

水滴がポタポタと落ちだしたのを見て、キョーコは慌てた。

「きゃぁぁ!大変っ!敦賀さん!早くこの子を出してあげてください!」

「うん。そうだね。」

蓮の手からポタポタ落ちる水滴を気にしながら、キョーコは扉を開けられない蓮の代わりに玄関のドアを開けた。

「ありがとう。」

蓮がふわりと笑って玄関から少し離れた場所に雪ウサギを置く。

マンションの共有廊下にも雪はたくさん積もっていた。

「ここで雪遊び出来ちゃいそうですね。」

「そうだね。ご飯食べたら一緒に遊ぼうか?」

蓮が無邪気な顔で提案してきた内容にキョーコは目を見開く。

「え?敦賀さんと雪遊び…ですか?」

「うん。嫌?」

「い、嫌なんかじゃ…!!」

慌ててブンブンと真っ赤な顔のまま首を振ると、蓮は嬉しそうに笑った。

「じゃ、後で雪遊び。決定。」

「ふふ。楽しみです。」

「あれ?火付けっぱなしなんじゃなかった?」

「はっ!!そ、そうでした!!いっけない!」

慌ててパタパタと駆け込むキョーコを見送って、蓮は己の冷たくなった手を握りしめ、その場に座り込んだ。

「はぁぁー…」

雪の塊を持っていなかったら、危うく抱きしめてしまっていただろう。

「あの顔は、反則だろう…」

赤くなった頬を隠すように片手で覆う。

蓮を呼ぶキョーコの声に顔を引き決めると、立ち上がってキョーコのいるリビングに向かった。


先ほどまで雪の塊を持っていたので手は冷たいはずなのに、心はなんだかぽかぽか幸せ。


END

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*****

何じゃこりゃ!なお話ですみません。
この後楽しく雪遊びする二人に何だか楽しいことが起こればいいなー♪

なんてね☆

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拍手お礼〈19〉

いつも沢山の拍手ありがとうございます!

拍手コメントへのお返事です((*´∀`*))

【拍手お礼〈2〉〈7〉〈14〉〈18〉】
ち◯ぞ◆様→見つけて下さりありがとうございます♪
小さい蓮様の奮闘記です(笑)
キョーコちゃんの好きって告白を完全スルーしてしまう残念ぶりですが、楽しんで頂けて嬉しいです♪
これからもお楽しみくださいませ☆


【甘くて苦い恋の味*前編】
ゆ◯ー◆☆様→ふふ♪一番乗り報告ありがとうございます☆後編もでしたね?
派手彼女とお別れのところも納得して頂けて良かったです。
もう頭の中は最上先輩に占拠されちゃってますからね。彼女は眼中になかったようです。
後編もお楽しみ頂けてれば幸いです☆


【甘くて苦い恋の味*後編】
へなへなっち様→断然良いと言って頂けてありがとうございます♪一安心です☆
この後の桃と、ショーの地団駄ですか!!
浮かんだらチャレンジしてみますね♪
ホワイトデーにつなげられたら1番良いかな?と思ってますけど。どーなるか…。
期待せずにお待ちください。
そしてコメントにも身体を気遣うものをありがとうございます!
こちらでまとめてお返事させていただきました。



さてさて、お返事遅くて申し訳ありません。
この間、FC2ランキング覗いたら二次小説のところで30位にまでなってました♪
皆さん、ありがとうございますー!
これからも楽しんでのんびり書いていきますので、よろしくお願いします♪


甘くて苦い恋の味*後編

注意事項※必ずお読みください。
①完全パラレルです。キョーコちゃんも蓮様も職業も違えば、年齢も逆転してます。
②前半、まだピュアなキョーコちゃんなので若干キョ→尚が強いです。
③最後蓮様がぶっ壊れ怒涛の展開が待ってます。
④若干ギャグに走ってしまった感があります。(特に後半)

それでもいいよ!って方はお楽しみください☆
でもこれだけは言えます!超楽しんで書けました!!

それでは、どうぞ!


*****


甘くて苦い恋の味*後編


ーーバレンタイン当日

「キョーコお前、今日は昼間出かけんだろ?」

ソファに横になったショーが雑誌を見ながら何やらパタパタと駆け回ってるキョーコに問いかけた。

「うん!ふふ。モー子さんとね、ショッピングいく約束してるんだ〜!ショーちゃんも予定入ってるって言ってたけど、夜には帰ってくるよね?」

「ん?あぁ、その予定…」

「良かった!今日はディナー腕によりかけるから楽しみにしててね!」

「あ?折角滅多に会えねぇお前の数少ない友人に会いに行くんだろ?ゆっくりしてこいよ。ってか、晩飯とか適当でいいし。なんなら、二人で食べてくれば?」

「やだ!ショーちゃんってば気を遣ってくれてるの?やっさしぃ〜!でも今日はバレンタインだもん。だからやっぱりーー」

「あ、電話…」

ショーちゃんと過ごしたいんだぁ〜とホワホワした笑顔で言うキョーコの言葉を右から左に聞き流しながら、ショーはスマートフォンを通話モードにして耳に当てた。

「俺。あぁ、うん、どうせそんなこったろうと思った。じゃあ一時間後な。わーってるって。じゃあな。」

「…友達?」

「あぁ、一時間後に来るって。」

「え?出掛けるんじゃないの?」

「あ?」

ギンっと睨みつけられて、キョーコはビクッと身を潜めた。

「え、あ、ごめん…」

「なんで俺がお前に俺の行動を逐一報告しなきゃなんねーんだよ。詮索してんじゃねーよ。」

「ご、ごめんなさい。」

「それよりいいのかよ。時間。」

「え?!あ!いっけない!!もうこんな時間!!じゃあショーちゃん行ってくるね!!」

「へいへい。いってらー。」

慌てて靴を履いて出て行くキョーコを横目で見送って、ショーはやれやれと胸をなでおろした。

*

「ショーちゃんが喜んでくれますよぅ〜に。」

「相変わらずあんたの頭の中ってショーちゃんショーちゃんね。」

親友のモー子こと奏江とショッピングというのは、口実で、実は奏江の家で一緒にバレンタイのチョコ作りが今日会うメインの目的だった。
勿論チョコ作りが順調に終わればショッピングにも行く予定なので嘘ではないのだが…。

奏江からチョコの作り方を教えて!というメールが一週間前に来て急遽奏江と一緒に作ることになったのだ。
大学時代に出来た唯一の親友。
大学生の時、スカウトされ現在モデルとして活動している奏江は自慢の親友だが、忙しくらしく最近中々会えなかった。
チョコ作りが当日になったのも、他に奏江の時間が取れなかったからだ。

「モー子さんは誰にあげるの?」

「だ、誰でも良いでしょ?!」

「えー!教えてくれたって良いじゃなーい!私たち親友でしょう〜!!」

「もー!鬱陶しい!!今真剣に作ってるんだから纏わり付かないで!!」

ねーねーとしつこく付きまとうキョーコに折れて、奏江はキョーコを睨みつけながらも顔を赤らめて話した。

「お世話になってる先輩よ!食事に誘われたから、今晩会うのよ!礼儀として一応用意してなきゃダメでしょ!一応よ!」

「先輩〜?…って、もしかしてあの飛鷹さん?!」

「な?!」

カァッと真っ赤になった奏江に、キョーコはニマニマ顏だ。

「やぁーぱりぃ!絶対お似合いだと思ってたのよぉ!モー子さんとトップモデルの飛鷹さん!」

「ちょ、やめてよ!何よ!お似合いって!」

「食事に誘われて満更でもないくせにぃ〜!!」

「うるさいわねぇ!馬鹿なこと言ってないであんたもさっさと作りなさいよ!」

そんなやり取りをしてチョコ作りもなんとか終わり、ランチをとっていると、奏江に仕事の呼び出しが入った。

「もー!今日はオフのはずだったのに!ごめんね。キョーコ。」

「ううん。いいのよ!いいの。ショッピングはまた今度にしましょう!」

バタバタと準備をする奏江の代わりに自分の分と奏江の分のラッピングを済ませて、奏江に忘れないように持たせて二人で家を出た。

*

「うーん。予定より早く帰ることになっちゃったな〜。ま、その分今夜の食事の準備も万端に出来るからいっか!」

ウキウキと心を弾ませて、キョーコはスーパーに入った。

*

「ただーいま…あら?」

玄関にはショーの男物の靴の他に女性もののパンプスがあった。

「今日会う予定のショーちゃんのお友達って女の子だったんだ。」

キョーコは特に気にもとめずに、靴を脱いで室内に入った。

ショーの部屋の前を通り過ぎる時、女性の苦し気な悩ましい声が聞こえてきて、キョーコは驚いて、慌ててその扉を開いてしまった。

「大丈夫ですか?!」

「キャァァ!」

「ハァ…キョー…コ?!おまっ!なんで…」

そこにはショーのベッドの上で汗を滴らせ裸で絡み合う男女の姿があった。

「ご、ごめんなさっ…!」

慌ててドアを閉めて、キョーコはドッドッドッドッと暴れだした心臓を抑えてその場にしゃがみ込んだ。

ーーーえ?!え?!どういうこと?!なんでショーちゃんがあんなこと…

ショーのあんな姿は今まで見たことない。
色気の滴る美人の彼女とショーの絡み合う先ほどの光景がクッキリと目に焼き付けられてしまった。

何が起こっているのか、何を見てしまったのか、思考が追いつくまでにかなりの時間を要したが、頭ではわかっていなくても心が痛んだのか涙がじわりと溢れ始めていた。

「ちょっと!今の子誰よ?!」

キョーコは中の女性の声が聞こえてハッと意識を引き戻された。

「あー。アイツはただの家政婦だよ。」

キョーコは目を見開いた。キョーコの代わりに中の女性がキョーコの口に出しそうになった言葉を発した。

「家政婦?」

「あぁ、つっまんねぇ家政婦。」

「あんなに若い子雇ってるの?」

「ばーか。雇ってんじゃねぇよ。飼ってやってんの。」

「は?!」

「あいつは幼馴染なんだよ。だけど、昔っからあいつって俺の言いなりだし、便利だからそばに置いてやってんの。」

「なにそれ!置いてやってるってこの家に?!それって同棲?!あの子のこと好きなの?!」

「ちげーよ!好きなわけねーじゃん!あんなまな板みたいな身体の地味で色気のない女。俺に似合うかよ?!俺はお前みたいな奴がタイプなんだよ。フェロモン系〜!」

「きゃ!もう、ちょっとショー…やん。」

キョーコはスーパーで買ったものを片付けもせずに放り出して、チョコが入った鞄だけを胸に抱えてその場から逃げ出した。

じわりと目に涙が次々と浮かび流れていく…。
滲んだ視界の先がボヤけて、それ以上歩けなくなったキョーコは、そのまま道の真ん中にぺたんと座り込んで、ポロポロと涙を流し始めた。

信じていたのに、ずっとずっと信じてたのに…。
東京の大学行くから付いてきてくれないか?と言われた日から、ショーのお嫁さんになることをずっとずっと夢見て、ショーの為に高いマンション背伸びして借りて、尽くしてきたのに…!
キスしてこないのも手を出してこないのも大事にされてるからだって思ってたのに!

世界の全てを失った。そんな気分だった。
怒りをぶつけることができたらどれだけ楽だったか…。でも、そんな気力も湧かず逃げてきてしまった。逃げ出してしまった。

家にももう帰れない。行き場もない。何もない…。何も…。

「ふぇ、ふぇぇぇぇ…」

思わず嗚咽が漏れた時ーー

「最上先輩?」

低く優しいバリトンの声が己の名を呼んだ。

「先輩、大丈夫ですか?」

「ほへ?」

思わず間抜け顔で見上げた先には、同じ職場の男前の後輩の姿があった。

「つ、敦賀くぅーん…」

知ってる顔を見つけてしまったからか、その優しい眼差しに気付いてしまったからか定かではないが、キョーコは何故かいつの間にか蓮の広い胸に縋り付いて泣き始めた。

まさかこれが、キョーコの人生と運命を大きく動かす転機になるとも気付かずに…

*


目撃してしまったキョーコの彼氏の浮気現場。
バレンタイン前日という日にたまたま見つけてしまった事実に何だか落ち着かなくて、蓮はバレンタイン当日の朝からキョーコのマンションの側でウロウロしていた。

キョーコの連絡先は実はまだ知らない。
平日は職場で毎日顔を合わせるので、特に必要性がなかったこともあるが、アドレスや電話番号を教えてくれと人から言われることはあるものの、自分から教えて欲しいなどと今までに言ったこともなければ発想さえもしたことがなかった。
己にとって無意味な電話番号ばかりのアドレス帳。
肝心の電話番号が入ってないことに今更ながら焦りを感じる。
調べようと思えば調べられるが、勝手に番号を調べてかけるなど不審に思われるかもしれないのでそれもできない。

家を訪ねるのはいいが、そこにキョーコがいなかったら?彼氏に向かって浮気してキョーコを傷付けるなと言えばいいのか?
キョーコがいたら、事実を伝えて…でもそれでキョーコがもしも傷付いてしまったら?

考えれば考えるほど、わからなくて蓮はその場でウロウロソワソワとするしかなかったのだ。
完全に不審者と思われそうなところだが、その見た目の良さに救われてるのも事実。
通り過ぎる人がいれば考え事をしながらも爽やかな笑顔で会釈をするので、見たこともないくらいのイケメンがマンションの前にいて挨拶してくれるという奥様方のトキメキ話にしかならないようだ。

そうこうしているうちに、キョーコがウキウキとしながら、マンションに入っていくのが見えた。

「あ、最上先輩…」

ちょっと離れた位置にいたために、見かけただけで捕まえることが出来なかった。
だけどあのいかにも浮かれてますというようなルンルン顏を目撃してしまっては、やはりあの顔が陰るのは見たくないと思ってしまう。
どうしようどうしようとウロウロしつつ、いつの間にかマンションのエントランスの前に立っていて、部屋番号を押して呼び出すか呼び出さないかと考えて悩む。
自分には首をつっこむ権利などないかもしれない。もう諦めて帰ろうとしたその時、キョーコが先ほどの表情から一転して暗い表情で肩を落としてマンションのエントランスを出て蓮の横をペラペラの紙のようにすうっと通り抜けた。
あまりにも変わり果てた姿に一瞬キョーコだと気付くことが出来なかったが、一拍遅れて気付いて、蓮は慌てて後を追った。

この世の悲壮感を全て背負っているような後ろ姿でハラリヒラリと今にも強い風が吹けばどこかに飛んで行ってしまいそうな儚い足取りで歩いており、蓮の胸が締め付けられた。

その場に崩れ落ちたキョーコをみて慌てて駆け寄ると、キョーコは肩を震わせポロポロと涙を流し声を上げて泣いていた。

恐る恐る近づいて、ごくんと唾を飲み込み声を掛けた。

「最上先輩?」

ピクンと大きく震えた肩に手を伸ばし、呼びかける。

「最上先輩、大丈夫ですか?」

顔を上げたキョーコの絶望を乗せた表情に、心を痛めて、安心させるように微笑んだ。
こぼれ落ちそうなほど見開かれた大きなキョーコの目から、涙の粒が次々と溢れる。

「つ、敦賀くぅーん…」

「わっ!先ぱ…」

いつもニコニコ楽しそうなキョーコ。
弱みは見せず、いつも前向き。そんな姿に好感を持っていた。
初めて見た泣いている姿、突然縋り付くように胸に飛び込んできた想像以上に華奢でか弱い震える身体。

自分が守らなければと湧き上がる強い想いを感じながら、蓮はそんなキョーコの身体を強く強く抱き締めた。

*

「とりあえず、場所移しましょうか?」

ヒソヒソと集まりだした近所の人々、心配そうなその眼差しはどうやらイケメンが女の子を泣かせてるとでも噂が広まっていたのかもしれない。
一通り泣いて落ち着いたように見えたキョーコの頭をポンポンと撫でながら言えば、キョーコはギュっと更に抱きつきながらも、コクンと小さく頷いた。

キョーコの小さな手を包み込むようにしっかり握って、蓮は人気のない公園にキョーコを導いた。暖かいココアを自販機で買い、キョーコに渡すと自分用にブラックのコーヒーのボタンを押した。

「ありがとう…」

キョーコは、漸く自分の醜態を晒してしまったことに気付いたようで、腫れた目元と同じくらい顔と耳も真っ赤にして申し訳なさそうに小さな声でぽしょりとお礼を口にした。蓮はいいえと笑う。

「なんか私、こないだから敦賀君に奢ってもらってばっかり…それにこんな恥ずかしいところ見られて…先輩失格ね。」

無理してにへらっと笑うキョーコに、蓮はそんなことありませんよ。といって、ベンチに誘った。

蓮の横に並んでキョーコがベンチに腰掛ける。
微妙に空いたその距離を詰めるべきか詰めないべきかと、蓮が心の中で葛藤している間に、キョーコがポツリポツリと自分から事の次第を話し始めた。

「ショーちゃんっていう私の同居人…一度会ったことあるわよね?」

「えぇ、先輩が酔いつぶれた時に家に送って…」

「実はね、彼、私の幼馴染なの。」

「え…。」

「ずっとね、私は彼と付き合ってるんだと思ってた。彼の為に身を粉にして働いて、彼の為に自分の人生を全て捧げて生きてきた。」

蓮はグッと己の拳を握りしめた。
あの男を前にしたキョーコのあの日の笑顔が脳裏に蘇る。
大好きだと全身で訴えかけるような笑顔だった。

「だけど、彼にとっては…ショーちゃんにとっては違ったみたい。」

蓮はキョーコの顔を見て怪訝な顔をした。

「え?」

蓮の戸惑うような声に、キョーコは明るく言った。

「今日ね、バレンタインチョコを友達の家で作ってきたの。本当はその後ショッピングに行って、夕方に帰る予定だったんだけど、友達に急遽仕事が入っちゃって…」

「うん。」

「予定より、早く帰ったら玄関に女の人のパンプスがあって、ショーちゃんの部屋の前を通った時に、見ちゃったんだ。ショーちゃんが、その、女の人と…裸で…」

言いにくそうに顔を伏せ、耳を赤くしたキョーコはまた泣きそうな顔になっていた。

「ヤッてたんだ?」

引き継いでくれた蓮の言葉にキョーコがカァッと顔を赤らめてコクンと頷いた。

「ふぅん。」

蓮の中でキョーコの初心な反応を横目で見ながら悶々としたものが湧き上がる。
一緒に暮らしている男女に身体の関係が全くないわけがない。
あの男とキョーコがと考えただけで頭に血が上りそうになるのに、先輩だって身体の関係くらいあるんでしょうなんて聞ける訳がない。
聞いてしまったら自分がどうなるかわからなくて怖かった。

「それでその時に聞いちゃったの…」

キョーコの話がそこで終わりだと思ってた蓮は、キョーコの話が終わってなかったことに驚いた。

「え?何を?」

「ショーちゃんは私のこと、今まで家政婦としか見てなかったんだって。ベッドの中にいた女の人にそう言ってた。」

「家政婦?」

蓮の眉間にシワが寄る。

「なんでも自分の言いなりになる家政婦。雇ってるんじゃなくて、飼ってるんだって。」

悔しさでキョーコが拳をプルプルと震わせ始めた。

「便利だからそばに置いてやってるんだって。ふざけんじゃないわよ!!家賃もガス代も電気代も、あんた一人じゃ1/5だって払えないくせにっ!!」

段々とムカムカとした気持ちがキョーコの中に芽生え始めたようだ。
いきなりの剣幕に、蓮は驚いて目を見開いた。

「あんたなんて!あんたなんてねぇ!!一人じゃ掃除機もかけられないし、料理だってできないし、私がいなきゃなんにもできないのよぉぉ!!」

ふんふんふんっと物凄い形相で、キョーコは地団駄を踏んだ。
その姿を蓮は呆気にとられててポカンと見守る。

「何が!好きなわけねーじゃん!よ!!何が、まな板みたいな身体よ!誰が地味で色気のない女よ!!悪かったわねぇ!まな板みたいな身体で、地味で色気がなくて!!このっこのっこのっ!」

「ぶっふ…」

怒りに任せて地面に八つ当たりしていたら急に後ろから吹き出す声が聞こえて、キョーコは驚いて振り返った。

「…え?」

「や、すみません。ちょっと…ぷっふ…くくくくくくくく…」

プルプルと肩を震わせ、蓮が思いっきり笑っていてキョーコは首を傾げた。

「敦賀君?」

「いや、失礼しました。あまりにも形容しがたい表情だったものでつい…。だけど、それだけ元気があれば大丈夫そうですね?」

ふわりと優しく微笑まれて、キョーコはえっ?と再び首を傾げた。

「最初マンションの前で先輩を見たとき今にも消えてしまいそうなくらい儚く見えたので、元気が戻って少し安心しました。」

蓮にそう言われて、マンションを出たとき、確かにこの世の終わりのような気がしていたことをキョーコは思い出した。
生きていても仕方ない、惨めで惨めで、怒りすら湧く気がしなかった。
なのにどうしてだろうと頭を捻って、そして蓮の顔を見てキョーコは、あぁと合点がいった。

「それは、敦賀君がいてくれたから…だね。」

「え?俺?」

「うん。敦賀君が私を見つけてくれたから。」

キョーコにそっと微笑まれて蓮の胸の中にフワッと風が吹き抜けた。

「そして敦賀君が私の涙を受け止めてくれたから…かな?」

蓮が目の前に現れたとき、キョーコは救われた気がした。抱き留めてくれたその腕の力強さがキョーコに生きる希望を与えてくれた。
一人ではもう立つことが出来ないと思っていた足でまた再び立ち上がることが出来た。

「先輩…俺…」

「あーあ。なんかいっぱい泣いたらお腹すいちゃったな〜。」

そう言ってキョーコはショーのために用意したバレンタインチョコを鞄から取り出した。

「先輩、それってもしかして…」

「これ?ショーちゃんにあげるために作ったガトーショコラ。」

「それって先輩の手作りってことですか?!」

「そ。」

そう言ってキョーコはおもむろにラッピングをバリッと破いた。パコッと開けた蓋の中から現れた綺麗なハート型のガトーショコラ。
キョーコの手作りのバレンタインチョコ(=キョーコの本命チョコ)に蓮が期待に胸を高鳴らせて目を輝かせたそのとき、そのハート型はひょいっとキョーコの指に摘み上げられた。

「あ…」

蓮が何も言えぬ隙に、あっという間に、パクッとキョーコが己の口に運んでしまった。
呆然とその姿を蓮は見送ってしまった。

しかし、一口では入りきらないサイズだったので、まだ二口分ほどキョーコの手に残ってる。

モグモグと食べるキョーコに、蓮がごくんと唾を飲み、勇気を振り絞り慌てて口を開いた。

「先輩、あの俺にも一口…」

「え…?」

言いかけた蓮の言葉を最後まで聞かぬ間に、キョーコは残りをあっという間に食べ終えてしまった。


ズーンとこの世の終わりのように落ち込む蓮にキョーコは慌てて謝罪する。

「ご、ごめん!敦賀君もお腹すいてるとは思わなくて…」

チラッとキョーコを蓮が恨めしげに見る。

「お腹すいてるんじゃないですよ。」

「…え?」

「最上先輩の手作りチョコが食べたかったんです。」

ブスッと不貞腐れた蓮の言葉にキョーコは、え?と驚いた。

「チョコを?そんなのいつでも作れるよ?」

「〜〜そうじゃなくて…!」

「敦賀君?」

キョーコは心底不思議そうに蓮を見ていた。
そして蓮は直球じゃないと伝わらないことを悟って、フゥ〜と息を吐き出してはっきりと言った。

「バレンタインの今日!先輩の本命チョコが食べたかったんです。」

「ふぇ?!」

「最上先輩のことが好きだから、先輩の本命チョコが食べたかったんです!!」

「え…ええええええ?!」

キョーコは驚いて大きな声を上げてしまった。
まさか、失恋したその日に、社内で1番イケメンだと言われている男の子から告白されるなんて微塵にもおもってなかったのだ。

「ずっと先輩のこと好きだったのに、先輩は男と同棲してるし…」

恨めしげに見つめられて、キョーコがうっと怯んだ。
顔がみるみるうちに赤くなるのがわかる。

「…一口。」

「え?」

蓮が真剣な顔でずいっとキョーコに顔を近づけた。

「一口もらってもいいですか?」

「一口って…でも、もう残ってな…」

そうキョーコがタジタジに応える隙に、蓮はキョーコの唇を奪った。
キョーコが目を見開いてギシッと固まる。

チュッと離れた唇に何も言葉を返せないでいると、蓮が満足そうにペロリと己の唇を舐めとった。

「ん…甘い…。」

「な、な…」

真っ赤な顔でパクパクしてるキョーコの手を引きその身体を抱き締めて、蓮はキョーコの耳元に囁いた。

「もう一口…。」

「ふぇ?!な…ん…んん…」

先ほどよりも深く重なった唇。
キョーコの顎を引き、舌を差し込み、キョーコの口内を味わいながらチョコの味を探す。

突き飛ばされないのをいいことに、逃げ回る舌も追いかけて捕まえて絡め取ってを繰り返した。

「ふ…ん…」

夢中で貪っていたところで、苦しげなキョーコの声に意識を引き戻されて、蓮は漸くキョーコを解放した。
はぁはぁと肩で息するキョーコの色っぽい姿に目を細めて、極上の笑顔で微笑みながら、キョーコの頬をそっと撫でた。

「ご馳走様です。」

蓮の言葉に、ピキョンと固まったかと思ったら物凄い勢いで5メートルほどの距離をとられ、思いつく限りのキョーコ流の悪口で罵られた。

「つ、敦賀君の破廉恥〜〜!!!!女ったらし!遊び人!!プレイボーイ!!女の敵〜!!!!」

「先輩がチョコを一人で全部食べちゃうからですよ。」

「そ、そんなの!!また作ればいいじゃない!!な、なにも、キキキキキキキキキスなんてしなくてもっ!!」

そしてキョーコはカァァァと真っ赤に顔を赤らめたかと思えば、ハッと何かを思い出して、顔を真っ青に染めた。

「そ、そういえば、私ったらさっき敦賀君の胸に縋り付いて…キャァァァ!なんって破廉恥なのぉぉぉ!!私ったらおとっおとっ!男の人の身体に自分から抱きついてしまうだなんてぇぇぇ!!フシダラ…フシダラよぉぉぉぉ!!」

青くなったり赤くなったりを繰り返すキョーコを見て、蓮は目をパチクリと瞬いた。

ーーーえ?あれ?キス一つでなんだ?この反応…。え?もしかして…

蓮は少しの期待を抱いてキョーコにそっと近づいた。

「最上先輩…」

「キャァァァ!!」

突然、蓮が目の前に現れて、キョーコの心臓がわかりやすいほど飛び出した。

「あの、先輩、もしかして…なんですけど…」

「な、な、何?」

「今のが…ファーストキスだったり…?」

キョーコの顔が真っ赤に染まり、それは答えをわざわざ聞かなくても雄弁に事実を語っていた。
蓮もキョーコの照れが移ったのか真っ赤になって、その場にしゃがみ込み赤くなった顔を片手で覆った。

「嘘だろ…じゃあ本当にあいつとはただの幼馴染?」

「だ、だからそう言ったじゃない!」

「男女の関係は…一切無し?」

「だ、男女の関係って…?!」

「抱き合ったり、SEXしたり…」

「キャァァァ!!ないわよ!ないわよ!ないわよ!!なんてこと言うの?!結婚もしてないのにそんなフシダラなこと…やっぱり敦賀君の破廉恥ぃぃ!!!!」

公園の大きな木に抱きついて真っ赤な顔で全面否定をしてキャーキャーと騒ぐキョーコを見て、蓮は心底ほーっと安堵した。

「そっか…なんだ…よかった…はぁー」

キョーコのファーストキスの相手になれたこととキョーコの身体がまだ綺麗なままであることを知って、蓮の喜びは思いの外大きく、ついつい舞い上がってしまった。
舞い上がりすぎた頭は、もう歯止めが効かなくなっていた。

「じゃあ先輩、俺と結婚を前提に付き合ってください!」

「ふぇ?!」

「あ、結婚するまではSEX出来ないんでしたっけ?でも結婚は時期をみてちゃんと決めたいし…じゃあ先に籍だけでも入れちゃうのはどうでしょう?」

「え、ちょっと敦賀君?!」

「安心してください!うちの家系、社訓にもあるように愛する人は全身全霊をかけて愛し尽くすことがモットーですから。」

「な、何?…社訓?」

「とりあえず今日籍だけ入れて、結婚式は今年の先輩の誕生日でどうですか?あー。でも6月っていうのも捨てがたいですよね!」

「つ、敦賀君?!なんの話をしてるのか…」

「あ、ちなみに俺の本名、久遠ヒズリなんで。」

「は?!」

「これは暫く内緒にしてて欲しいんですが、俺たちの会社、ヒズリコーポレーションの現社長のクー・ヒズリは俺の父で、俺は一人息子で跡取りだから…」

「は、はいいいいぃぃぃぃ?!」

「最上先輩には次期社長夫人として迷惑をかけることもあるかもしれませんが…」

「ちょ、とま…」

「先輩には俺が付いてますから!!何かあったら俺、全力で支えますし、絶対幸せにするんで、これから末永いお付き合いをよろしくお願いします!!」

あまりにも大きな話にキョーコの思考はプシューと音を立て緊急停止してしまった。
そのままその場で気を失ったキョーコに、蓮は驚いて、慌てて車を呼び己の実家に連れ帰った。

両親にも事情を説明し、キョーコが目が覚めたところで再び目を回して倒れてしまう前に、二人から認めてもらうと蓮は婚約届けと指輪を至急用意させ、届けを役所に出すと、己のマンションにグッタリとしたキョーコを連れて帰った。

「超高級マンションの最上階ワンフロア一室だなんて…もういろんなことがありすぎてちょっとやそっとのことじゃ驚けるきがしないわ…。」

「じゃあ先輩、俺、変装解いてくるんで、寛いで待っててください。」

ぼーっと待っていたところでガチャリと一人の男が入ってきた。

「お待たせしました。」

輝く金髪、グリーンの瞳。

「あ、あ、あ、あんた誰よぉぉぉぉ!!」

「やだなぁ先輩、俺ですよ。敦賀蓮もとい、久遠ヒズリです。説明したじゃないですか…」

「もー何が何だか…ゆ、夢なら醒めてぇぇ!!」

「じゃあ醒める前に、初夜を満喫しましょうか…」

「ちょ、へ?!な?!ど、何処触って…キャァァァ!敦賀君のエッチィィィー!変態ぃぃぃ!」


こうしてキョーコの怒涛のようなバレンタイは幕を閉じたのだった。

苦い恋の終わりは甘い恋の始まり…なのかもしれない。


END

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*****


いやー。すみません。

本当はキスをしたところで綺麗に終わるはずだったんですけどね!!
キョーコちゃんのファーストキスとか、ショーとはそんな関係じゃなかったこととか、蓮の裏設定とか…入れてみたらどうなるかなー?と思ったら何故かこうなりました(笑)
蓮様舞い上がって暴走しすぎー!
全てを失って絶望しちゃってたはずのキョーコちゃんが、あれよあれよと言う間に、蓮様によって全力で新しい居場所作られちゃいました。


「家もう帰れないって、どうするんですか?」

「暫くはモー子さんの所に置いてもらおうかなぁ?」

「猛虎さん?…大丈夫なんですか?それ…良かったら家に…部屋余ってるんで…」

みたいなやり取りにするつもりだったのに、途中から蓮様壊れちゃったよ!

ま。完結できたからいっかー。
なんてのほほんと考えてます。

夜中に降臨してきた話だし、こんなもんよ。と自分に言い聞かせることにしましたさ。ハハハハハ(笑)

風月は昨日38度以上の熱が出て今日病院行って仕事お休みもらっちゃいました。
インフルエンザ菌だってさ。
今年流行ってるらしいですが、インフルエンザと症状は似てるけど感染はしないみたい。
皆さんもお気をつけくださいね。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

甘くて苦い恋の味*前編

ハッピーバレンタイン♡
今年は何の予定もなくて悲しいです!

なくした記憶が終わるまでは出来るだけ他の話を書かないようにしたいけど、イベントはやっぱり別っぽい!
逃しちゃったら来年まで温存しなきゃいけなくなっちゃうので浮かんだら書かなきゃだよね?!ってことで書いてみました。

とは言え、元々バレンタイン話を書く予定はなかったのですが、今朝方の真夜中に不意にネタの神様が降ってきて、睡魔さんの活動を全力で阻止されてしまったので、これは書かねばとなったのでございます!


あ、キョーコちゃんOL、蓮様サラリーマンの完全にパラレルです。
しかも年齢逆転してキョーコちゃんが先輩です。

苦手な方はお引き返し下さい。


どんな話でも歓迎!って方はどうぞお楽しみ下さいませませ!


*****


甘くて苦い恋の味*前編



10月下旬ーー

「ーーーぱい、最上先輩。」

「んー。もーちょっと…」

「おい、敦賀君ほっとけ。そうなった最上君は、周りの声なんて聞こえんから。敦賀君ももう気にせず帰ったら?」

「え?あ、あぁ。はい…」

「んじゃ、お先に〜また月曜な。」

「はい…お疲れ様です。」

ひらひらと手を振りながら退社していく椹部長を見送って、蓮はパソコンに必死の形相で噛り付いているキョーコをチラリと見ると、そのまま自分の席に腰を落とした。

*

「はぁぁぁー!やぁっと終わったぁぁぁ!!」

キョーコが仕事を終わらせて、その場で思いっきり伸びをする。

「あ、やだ!もうこんな時間…!またやっちゃった…」

もう誰もいないシンとしたオフィス。

キョーコのデスクの辺りだけ残ってる照明。
集中するあまり、終電まで逃してしまった。

「んー。でも今日は確か…」

物思いに耽ってると、誰もいないと思っていたオフィスに背の高い男が入ってきた。

「え…?敦賀君?」

「あれ?最上先輩仕事、終わったんですか?」

「えぇ。どうしたの?こんな時間まで…」

「それはこっちのセリフですよ。はい、これ…。」

「…え?」

蓮が二つ手に持っていた缶コーヒーの片方をキョーコに手渡した。

「お疲れ様です。」

ぽかんという顔をしていたキョーコだが、すぐにクスッと笑顔になって受け取った。

「ありがとう。敦賀君。」

「それより先輩、お腹空きませんか?これからどっかへ飲みに行きません?」

「え?飲みにって…こんな時間から?空いてる店なんて…」

「この時間でも空いてる店、俺結構知ってるんで、行きましょう。」

「え、あ、で、でも、私…今手持ち無くて、帰ーーー」

ーーグルルルルルルルル…キュイキュイキュイキュイ…

「…え?な、何だ?!」

蓮が何の音だ?と周りを見回すと、キョーコが真っ赤な顔で顔を俯せていた。

「ごめん。私の、お腹の音…」

真っ赤な顔でポツリと言われた言葉に、蓮は漸く先ほどの音の正体がわかって、プッと少しだけ笑ってしまった。

*

「最上先輩、酔ってます?」

「んーん、酔ってらい。酔ってらいよ。」

結局、蓮に丸め込まれてキョーコは後輩の蓮からご馳走してもらうことになった。

「呂律回ってませんし、完全に酔ってますよね?」

「らから、酔ってらいってばぁ。」

そう言いながらキョーコは机に突っ伏した。

「あぁ、先輩!服にタレが…」

そう言って腰を上げた蓮は、キョーコの気持ちよさそうな顔を見て、ドキンと大きく心臓を跳ねさせた。
思わず周りを見回し、そっとキョーコの顔がよく見える隣の席に移動する。

「先輩、大丈夫ですか?」

袖に着きそうだった焼き鳥の皿を遠ざけて、キョーコの肩を揺らす。
ボヤンと開いた目が蓮を捉えて、のそりと身を起こす。

「ん…?あれ?敦賀君?」

不思議そうにトロンと見つめられ、蓮の心臓はバクバクと激しく音を立てた。

「最上先輩、お酒弱いんですね?」

「ん…眠い…」

そう言って、コテンと頭を蓮の肩に預けてきて、蓮は驚いた。
アルコールの匂いに混じってキョーコの匂いと温もりが驚くほど近くにあり、蓮の手がキョーコに伸びそうになった時、対するキョーコの顔色がみるみる悪くなった。

「う…」

「え?先輩?!」

「敦賀君、ギモヂ悪い…」

「わっ!あ、と、トイレ!トイレ行きましょう!!」

「うぷっ!」

必死で吐き気をこらえようとするキョーコを抱えて、蓮はトイレに駆け込んだ。

背中をさすり、キョーコの体調を気遣う。

「大丈夫ですか?先輩…」

「ん…ごめ…変なとこ見せちゃ…って…」

ズルッと壁に背を預けそうになったキョーコを慌てて支える。

「先輩っ!お水です、口すすげますか?」

「ん…ありがと…」

受け取った水で口をすすぎ、ヨタヨタと覚束ない足で、蓮に支えられながら席に戻る。

お金を支払おうとするキョーコを制して、蓮が全額払うと、自分で歩くというキョーコを強引に抱っこして抱き上げた。

「タクシーで帰りましょう。先輩家どの辺ですか?」

キョーコを先に乗せて、続いて蓮もタクシーに乗り込む。

キョーコのいう場所にタクシーを走らせて、ウトウトと船を漕ぎ始めたキョーコをおぶって、蓮はタクシーを降りた。

「ここ…か?随分と大きなマンションだな…実家なのかな?」

自分のマンションに比べたら見劣りするものの、一人暮らしとは思えない造りのマンションに蓮は驚いていた。

「えーっと部屋番号は…。」

悪いと思いながらもキョーコのカバンの中にあった手帳を開いて、部屋番号を確かめていると、ひらりと一枚の写真が落ちた。
蓮が慌てて拾うと、そこにはキョーコが知らない男の隣で幸せそうに微笑んでる写真だった。

「え…?」

ーーーまさか、恋、人?

蓮の中でザワッとしたモヤモヤした気持ちが生まれるが、それを見なかったふりをして慌てて、手帳に挟み直した。

念のため、家族がいるかもしれないので、チャイムを押した。
暫くしても返事がないので、キョーコのカバンから見つけていた鍵でロックを解除する。

エレベーターが上昇するたびに、少しだけ気分が高揚していた。
背中にある愛しい温もりが、蓮の首に回された細腕が、蓮の心を幸せで満たす。

蓮の教育係だったキョーコに憧れ、仕事に対する一生懸命な姿に恋をして早数ヶ月。
見た目で誤解されることは多いのだが、蓮にとってキョーコへの思いは初恋と言ってもいいくらいだ。
今までに付き合った女性は沢山いるが、キョーコに抱くような気持ちは今まで味わったことがない。
ドキドキしたり、笑顔を見れて心が浮き足だったり、目でいつの間にか姿を追ってみたり…。

4月に入社して半年。やっと周りからも認められるくらいの働き手にはなれてきたつもりだ。
まだまだもしかしたら自分なんて釣り合わないかもしれないけど、キョーコにとってはお荷物かもしれないけど、頼りになる同僚だと少しでも思われてたら嬉しい。

どんな部屋に住んでるのか、どんな家族がいるのか…それが垣間見えたらまた少し、キョーコとの距離も近くかもしれない。

そんなことを思いながら、キョーコの部屋のある階に着いた。

「えっと、最上先輩の部屋は…」

探しながら進んでいると、キョーコの部屋と思しき部屋の前でタバコを吸ってる男がいた。
その男が蓮の方を向いた時、先ほど見たキョーコの写真の男だと気付いて思わず目を見開いて立ち止まってしまった。

「あ?んだよ。」

蓮にじっと見つめられて、流石に不審に思ったのだろう。しゃがんでいた男が立ち上がって、威嚇するようにポケットに手を突っ込み、胸を張って問いかけた。
しかし、蓮の身長は190センチ。
顔立ちも自分より整っている気がして、男の眉間に皺が寄った。

そしてすぐにその蓮が背負ってるキョーコに気付いて、目の前の男が驚いた顔をした。

「それ…」

「え?」

「それ、ウチんだよ。あ、キョーコのカバン貸せ!」

「あっ。」

強引にカバンを取り上げられ、男がカバンを漁る。
それを見て蓮は慌てて声をかける。

「ちょっと…」

「くっそ。鍵は?ねぇのか?」

「いや、鍵はここに…」

蓮が手に握っていた鍵を見せる。

「んだよ。なんであんたが持ってんだよ。貸せっ!」

奪おうとされた鍵をヒョイっと守った。
その蓮の行動がお気に召さなかったようで、苛立った声が聞こえた。

「てめぇ、なんのつもりだよ?」

「そっちこそ、なんのつもりですか?これは先輩の家の鍵で…」

「てめぇには関係ねぇだろうが!いいんだよ。俺とこいつは一緒に住んでんだからよ!」

男の告白に、蓮は目を見開いた。

「え…?一緒に…住んでる?」

「そうだよ。だから、それは俺ん家の鍵。返せ!」

「いや、おかしいじゃないか…。君の家の鍵なら、なんで君が鍵持ってないんだ?」

「だーかーらー、忘れたんだよ!家出る時!キョーコがそのうち帰ってくんだろうと思って待ってたのになかなか帰ってきやがらねぇし…お陰で体冷えたじゃねぇか。風邪でもひいたらどうしてくれんだ。おい、キョーコ!」

男の呼びかけで、背中のキョーコがピクンと反応した。

「ん〜。ショーちゃん?」

今まで聞いたことがないくらい嬉しそうな甘ったるい声が背中から聞こえた。

「お前トロいんだよ!昔っから!さっさと起きて鍵開けろ!!」

「ん…ごめんね〜ショーちゃん。」

ギュッと抱きしめられて、頬ずりをされて、蓮は今キョーコが自分と目の前の男を間違えていることがわかってしまい、足元から何かがガラガラと崩れていく音を聞いた気がした。

「ん…あれ?あれ?」

蓮が下ろそうとしないので、キョーコの足が宙を蹴る。
降りれないと不思議そうにするキョーコの声と動きに蓮は慌ててキョーコを下ろした。

「あ…」

フラッと倒れそうになったキョーコを慌てて、蓮が支えると、キョーコは漸く蓮の存在にも気付いたようだった。

「はれ?敦賀君?」

「誰だよ、こいつ。」

「あ!ショーちゃん!おかえりぃ〜今日は帰れないんじゃなかったの?」

「その予定だったんだけど、変更になったんだよ!って…お前、酔ってんの?」

「んーん。酔ってらいよ。」

「嘘つけ!酔ってんじゃんか。対して飲めねぇくせにアルコールくせぇよ!」

「あら?あら?」

「どーした?」

「ん…鍵がないの。」

「鍵ならそいつが持ってるよ。」

「え?」

二人のやりとりを呆然と眺めていた蓮だったが、キョーコに見つめられて、ハッと意識を取り戻し、手のひらの中の鍵を差し出した。

「あぁ、鍵、コレですよね?」

「へ?なんで敦賀君が?」

「酔っ払ったお前を連れてきてくれたんだろ。ほら、早く鍵よこせよ!」

「そうなの?ありがとう、敦賀君。はい!ショーちゃんどうぞ!」

蓮から鍵を受け取ったキョーコは、ショーちゃんと呼ぶ男に嬉しそうに鍵を渡した。

ショーと呼ばれた男はさっさと鍵を開けて、キョーコを気にもとめず1人でズカズカと中に入った。

「ごめんね。敦賀君、迷惑かけて…」

「いや…」

「お茶でも飲んでいく?」

「いえ、遠慮しておきます。」

「そう?じゃあ、気をつけて帰ってね?」

「はい…じゃあお休みなさい。」

「お休みなさぁい。」

お酒の残った赤い顔で上機嫌ににっこりと笑顔で挨拶を返されて、蓮の初恋は見事に散ってしまったのだった。

*
*
*

そして季節は巡りに巡り、2月。
先日、誕生日を迎えた蓮は25歳になっていた。

街はバレンタインに向けたチョコレートの宣伝で埋め尽くされている。

「ねぇ、蓮、どんなチョコがいい?」

「何でもいいよ。」

蓮の隣には、ロングヘアの似合う派手めの誰もが羨む美人の彼女の姿があった。

大学時代の友人が開いた飲み会で出会った彼女に猛アプローチをされたことがキッカケで今に至る。

バレンタイン前日の土曜日のこの日、蓮は彼女に連れられてショッピングに駆り出されていた。
百貨店の食品売り場で競うように並べられたチョコチョコチョコ。
その試食をしながら、彼女が蓮にべったりとくっついて人混みを縫うように歩いていた。

それでも蓮の頭の中はまだキョーコに占められていた。
時々、職場に手作りお菓子の差し入れを持ってくるキョーコ。作りすぎちゃって。皆さんのお口に合えばいいのですが。と控えめに笑いながらいう、そのお菓子は甘さも控えめで品が良く、そのどれもが美味しくて職場でも評判がいい。

きっとバレンタインも本命に手作りチョコを渡すんだろうと考えて、あの同居人の勝ち誇った顔が頭に浮かんで、胸にチクリと痛みが走った。

そんなことを考えていたからだろうか?
蓮は見たくもない人物を見つけてしまって、思わず立ち止まった。

「蓮?」

立ち止まった蓮を不審そうに見上げる彼女。
だが蓮の目はまっすぐに目の前の男に注がれていた。
女の肩を抱き、ベタベタと甘えているのはキョーコの同居人のはずの男だ。
しかし、その隣にいる女はキョーコとは似ても似つかない別人だった。

「蓮?あの人たちがどうかしたの?」

「え…あ、いや…何でもないよ?…行こうか…」

にっこりと万人向けの笑顔を作り、先を促す。

その笑顔に大抵の女性は騙されるのだが、過去に唯一騙されなかったのがキョーコだった。

『敦賀君の笑顔ってさ、嘘くさいよね?』

『え…?そうですか?』

『うん。なんか、心から笑ってないっていうか、作ってるなぁって感じ。』

そう指摘されたのがキッカケでキョーコのことが気になり始めたのが、たしか研修が始まって三週間が過ぎた頃だったと思う。

キョーコとの出会いから失恋した日のことまでが蓮の頭の中を巡り、そして、先ほどのショーちゃんと、その隣で明らかに彼女という雰囲気を出していた女のことをずっと考えていた。

「ーーーって!ねぇ、蓮!聞いてる?!」

「え…?あぁ、ごめん。」

「もー。何なのよ!さっきから心ここに在らずって顔しちゃってさぁ。」

意識を取り戻し、キョーコに嘘くさいと見破られた笑顔を彼女に向ける。
今は彼女とランチをしているところだった。

「ごめん。なんだっけ?」

また話し始めた彼女を見ながらぼんやりとキョーコと姿を比べてしまった。
彼女は美人だと思う。背も高く、すらっとした細身の身体。爪も綺麗にしてるし、ヘアスタイルも洋服もソツがない。だけどベタベタと塗りたくった化粧、髪を染めすぎて傷んだ髪、少々濃い香水の匂い。パッチリと作られたまつ毛。媚びた表情。

その一つ一つが、蓮の心に違うという信号を送る。

「ちょっと蓮?!聞いてないでしょ?!」

「あ、あぁ、ごめん。」

「もういい!帰る。」

「え?もう?まだ半分残ってるよ?」

「帰るったら帰る!もう私たち終わりね!別れましょう!」

そう言うと、プンッと彼女は怒りを隠しもせずに席を立つと一人でさっさと店を出てしまった。

蓮はその後ろ姿を見送って、その場で深いため息を吐くと、またぼんやりとキョーコとあの男のことを考えていた。

*

「信っじらんない!なんで追いかけてこないのよ!」

「あれ?帰ったんじゃ…」

蓮の椅子の横には、ふるふると拳を震わせて彼女が立っていた。
時計を見れば彼女が出て行ってから一時間近くが経っている。
そんなに長く考え込んでたのか…と驚いていたのだが、そんな場合ではないようだ。

流石に周りからの視線が痛いので、蓮は彼女を連れて店を出ると公園へ場所を移した。

「彼女が別れましょうって言いながら怒って出て行ったら普通追いかけるでしょう?!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!」

「ごめん。ごめんって…。」

内心で面倒くさいと思いつつも苦笑しながら謝罪の言葉を述べる。

「もう知らない!絶対に許さないんだから。もう本当に別れてやる!」

プンッと顔を背ける彼女を見て、蓮は深くため息をついた。

「じゃあいいよ。許してくれなくて。そんなに怒ったなら君の言う通り別れよう。」

「え…?!」

「怒らせてばかりでごめんね?今までありがとう。じゃあね。元気で。」

蓮はそう言うと、何の未練もなくくるりと彼女だった女に背を向けて歩き出した。

「ちょっと!ヤダ!蓮っ?!嘘でしょう?!」

追いかけてくる声に振り向きもせず、蓮の足は自然とキョーコのマンションに向いていた。

*

蓮の携帯には帯びただしい数の着信と留守電が元彼女から入っていた。

「自分から別れようって言い出したくせに、何なんだ?一体…」

何通も送られているメールにもクドクドと謝罪の言葉が綴られていて、読む気にならない。
きっと留守電も同じ内容だろう。
蓮は留守電を聞きもせずにそのまま内ポケットに仕舞った。

キョーコの部屋番号を押して、呼び出すかどうしようかで迷って手を止める。

会ってどうするつもりなのか、彼のことを話したら傷付けるだけじゃないのかなどと色々考えて、やはり呼び出しボタンを押さずに、その場を離れたのだった。


(続く)

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*****


今朝方夜中にパッと目が覚めて浮かんだ話…!
とりあえず考え出したら眠れなくなっちゃって必要事項メモとって、ようやく再び就寝。
バレンタイン話だったので、慌てて形にしてみましたが、思った以上に彼女がでしゃばってしまったため、長くなりそうなのでとりあえず書けたところまで!

続きは書け次第アップします!

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ジャンル : 小説・文学

拍手お礼〈18〉*

いつも訪問して拍手をくださる皆様、ありがとうございます!!
このFC2ブログでお話をアップし始めて、総拍手数が3000を超えました♪
ありがとうございます〜☆

たくさんの感想も励みにさせていただいてます!

では、遅くなりましたが拍手お礼です☆


【ハッピーハプニング】
へなへなっち様→コメントありがとうございます!!
妄想おこぼれは…どうでしょう?もしもこの続きを誰かからギフトがあれば紹介させて頂きますね!

ちびぞう様→ありがとうございます!本当に続きうまくいってほしいですね♪いえ、きっと上手くいくでしょう☆だって誕生日ですもの♪最後のやりとりも気に入って頂けて嬉しいです☆


美音様→お久しぶりです!コメントありがとうございます♪蓮様とのやりとりも楽しんで頂けて嬉しいです( *´艸`)予約投稿してたんですけど、最後のやりとりだけは予約時間になる前に思いついて慌てて投稿したんです〜♪間に合って良かった☆
脳内の大きなベッドの中で蓮様はキョーコちゃんを抱きしめて蕩けんばかりの笑顔でいることでしょう♪

◯海様→コメントありがとうございます!!ハプニング話満喫頂けて嬉しいです☆
そして、最後のやりとりも気に入って頂けて良かった♪
これからも楽しんで頂けるよう頑張ります!

【敦賀蓮の本性】
かばぷー様→こんばんはー♪キリ番教えて頂きありがとうございます!
特にキリ番リクエストなどはしてませんでしたが、折角踏んだお知らせ頂けたので、希望があれば伺いますよ((*´∀`*))
ただ、なくした記憶完結後になる可能性があるのでご了承ください。
そして、リクエスト内容によっては希望を叶えることができない場合があるのでご了承くださいませ。


…ということで、総拍手3000なりましたので、予告通りサプライズショートストーリーの続きをお届けします♪
お楽しみください☆


****


敦賀さんの不思議体験*10*


ーーーお、落ち着け!!落ち着け俺っ!!

人形なので心臓なんてないはずなのに、押し付けられた体の柔らかさに己の心臓が聞こえてしまうのではないかと焦ってしまう。

先程何か、彼女の口からとても大事なことを言われた気がしたが、こんなにぎゅうぎゅうに彼女から抱き締められる日がくるなんて…
そして口元に当たっている特別な膨らみ…

ーーーや、ヤバイ!これは…これ以上は…

蓮の中でプツンと何かが切れる音がした。

ーーーあぁぁ!好きだ!最上さん!!愛してる!!

蓮のキョーコへ対する強烈な熱い想いがとうとう爆発した。

そして、蓮の身に奇跡は起きた…!


(続く)

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*****

続きは総拍手3500でアップ予定です〜♪

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ハッピーハプニング

突然ですが、2/10!
さあ、今日は何の日?!

ーーピンコーン
「蓮様の誕生日!!」

はい!正解〜☆
蓮様好きーには朝飯前のこの問題。


今年はやめとこうと思ったですよ!
なくした記憶書き終わるまではと思ったですよ!!

でも何よりも蓮様大好きな風月としては、無視できない日でございますので、せめて!せめて!何か一つお祝い話をっ!って思ったですよ!!
なくした記憶…じゃないじゃないけども、今日だけはお許しくださいませ!

とはいえ、ショートストーリーですので!!

あ、ちなみに拍手お礼話で一部掲載した話を使ったお話なので、冒頭部分は、あれ?これ読んだことある?なんて感じる方もいるでしょう!
ま、その続きですね。

誕生日とは全く関係ないですが、ただただ蓮様がハッピーになれちゃうように、蓮様への風月からのプレゼントでございます!

お楽しみくださいませ♪


*****


ハッピーハプニング


「うわっ!」

「きゃ!」

「最上さん!大丈…ぶ「ふ」…」

その瞬間、ありえないほどの超至近距離で目が合った蓮とキョーコの時が完全に停止した。



慌ただしい怒号が飛び交うスタジオの簡易セットの中で、キョーコと蓮は衣装を着て準備を万全に整えていた。
先ほどまで近くにいたスタイリストは席を外し、撮影スタートの合図を待っていた時、突然、足元に違和感が起きた。
グラッと動いた足元。セットが、崩れ落ち、蓮が尻餅をついて上を見上げた時には、キョーコも蓮に飛び込む形で倒れこんできて、その背後にはセットの壁が迫っていた。

咄嗟に抱き留めようと伸ばしかけた手に、何とか持ちこたえようとしたが無理だった華奢な身体が飛び込んできた。
だが蓮が想定していた位置より若干違う場所にキョーコの顔が降ってきた。

互いに目を見開いたまま、急速に近付く2人の距離はまるでスローモーションのように蓮の目に映る。
やがてその距離は…

ーーぶちゅう…♡

蓮の唇にはキョーコの柔らかな唇が重なりゼロになった。
突然の接触に互いに何が起こったのか察するまでに数秒を要した。
全てが無になった瞬間とはこういう時のことを言うのかもしれない。
そのまま2人で床に倒れこむ。

「はっ!ご、ごめんなさっ…(ガンッ)いぁっ…ふ…」

完全に固まってしまった蓮とは対照的に慌てて離れようとしたキョーコにハッとして、蓮も直ぐに謝ろうと口を開きかけた所に、すぐ後ろに倒れてきていたセットの壁にキョーコは頭を跳ね返されたのか、何故か再び己の唇にキョーコの柔らかい唇が押し付けられた。

ピキッと音が鳴りそうなほど互いに固まった2人の身体。
ドクン..ドクン..ドクン..ドクン..と蓮の全身が心臓になったかのように脈打ち始める。

「ご、ごめんなさっ」

「い、いや、俺こそ!ごめっ」

カァッと互いに顔を真っ赤に染めてしまった2人は慌てて顔をそらした。
しかし、倒れてきたセットがあるため、身体はしっかりと重なり合ったまま、身動きすら取れそうにない。

「け、怪我はない?」

恐る恐るキョーコの後頭部に手を伸ばして、平静を装い何とか普段通りを心掛ける。
びくんと震えたキョーコの身体もすごく熱く感じることを考えると、純情乙女なキョーコのことだ真っ赤になっているのかもしれない。
ここは大人の俺が冷静に対処しなくては…とそんな風に蓮は頭を働かせる。

「だ、大丈夫だと思います。ハッ!つ、敦賀さんは?!」

「ん…俺も平気。」

「よかった。あ、すみません。乗っかったままで…あの、重く…ないですか?」

「全然。それは大丈夫だけど…セットに挟まったりしてない?足とか…」

蓮の手がそっとキョーコの背中の無事を確かめるように擦った。

「ギリギリ…大丈夫そうです。」

「そう…。危ないから、救助を待ってこのままあんまり動かない方が良いかもね。」

「そ、そうです…ね…」

蓮が仰向け状態で、その上にキョーコがいるのだが、左右どちらを見ても、キョーコの背後を見ても動けそうなスペースが見当たらない。奇跡的にぽっかりと空いた一人分の穴にすっぽりと2人でギリギリ収まってるようなそんな状態だった。

ーーー柔らかい…軽い…髪もサラサラ…

キョーコに対する感想が次々と蓮の頭の中に浮かんではぐるぐると回る。
精神衛生上ここまで密着してる状態に耐えられず、キョーコと態勢を入れ替えようかとも思ったが、少しでもぶつかればその刺激でセットが崩れてきそうでそれもままならない。

「ごめん。助けがくるまで、この体勢で我慢…してくれるかな?」

「は、はい…す、すみません…。」

ドクンドクンドクンと2人の通常よりも大きな心音が重なる。

ーーーあ、最上さんの匂いが…

フワッとキョーコから香る匂いに蓮の頭がクラクラとなる。
柔らかい身体も密着したまま腕の中に収まり、先ほどの唇の感触までリアルに思い出してしまい、体温がますます上がる。
蓮は理性と顔の崩れを抑えるのに必死で何度もキョーコに気付かれぬよう慎重に深く息を吐いて落ち着こうとしたのだった。
脳内で何度も先ほどのキスがリピートされてる間に、その沈黙にたえられなくなったのかキョーコが慌てて口を開く。

「あ、あのっ!」

ハッと意識を取り戻して蓮が後ろめたい気持ちになりながら恐る恐るキョーコに問いかけた。

「…何…かな?」

「いえ、あの敦賀さんさっきの、アレ、は…」

ーーーアレって、キス…だよな?

「…うん…」

「い、イタチに噛まれたとでも思って忘れてください!!」

「…………」

しかし、蓮は何も答えなかった。
スルッと蓮の手が無意識にキョーコの背中を撫でる。

「つ、敦賀さん?」

キョーコが、慌てて問いかけると、蓮がハッとしたように返事を返した。

「え…あ、な、何?」

「いえ、あの、だから…さっきのは…」

「あぁ…うん…、うん…いや…ごめん…」

「つ、敦賀さんは何も悪くないです!アレは私が…」

「いや、そうじゃなくて…」

「え…?」

「ごめん…。忘れるのは…あー…無理かな。」

「へ?!え、な?え…」

「ごめん。無理…」

「ちょっ?!え?敦賀さん?!」

ーーーなんで?!何でここでギューなの?!

キョーコは混乱した。突然抱きしめられる意味がわからない。
キョーコの目が回りそうになったところで、蓮の胸元に押し当てている手から蓮の心臓の音がありえないくらい早いことに気付いてキョーコはハッとした。

「敦賀さん…?」

そろりと蓮の方を振り向けば思いの外近くにある蓮の顔。
唇が触れ合うギリギリの距離で目が合い、その目の奥に蓮の欲情が見え隠れしていた。

ーーーあ、キス、、、される…。

瞬間的にそう思った。
蓮の吐息がキョーコの唇にかかり、キョーコはその魅力的な誘惑に抗うことが出来ず、蓮の目が閉じるのにつられるように己の瞼を下ろしていた。

暑い唇が確かめるように軽く触れ合い、熱い吐息を確かめるように混じり合わせて、今、正に深く重なろうとした瞬間ーー

「蓮〜!キョーコちゃーん!!大丈夫かぁぁぁ?!」

「あぁ、原さん!そっち崩れかけてるからそっとそっと!」

「この板の下あたりじゃないか?!」

ガヤガヤと騒がしいスタッフの声が聞こえてきてハッとして慌てて顔を逸らした。
ドクンドクンとキョーコの耳元で心臓が大きな音を立てる。

ーーー今…私……!!

カァァァと真っ赤に染まる。
蓮はキョーコの頭に手を伸ばし、キョーコの頭を守るように強く抱き締めた。

抱き締められる身体…締め付けられる心…。

キョーコは蓮の胸元を握り締めて強く強く目を閉じた。
やがてスタジオの眩しい光が、暗く閉ざされた空間に差し込んできた。

「いたぞ!!ここだ!」

「敦賀くん!無事か?!」

「蓮〜!キョーコちゃーん!2人とも怪我ない?!」

「えぇ、大丈夫です。ただ、最上さんも俺も身動きが取れなくて…」

「あーあー。こりゃひでぇ…だけど2人とも無事で良かった!!」

「すぐどかしますんで!すみませんー!」

「ったく大道具!!グズグズすんな!」

「本当に本当にすんませんー!!」

ガヤガヤと外野の声が賑やかになったところで、蓮は腕の中のキョーコの耳が真っ赤なことに気付いた。
今は蓮とキョーコの周りの撤去作業が進められている。

さて、どうしたものか…と蓮はキョーコを抱きしめたまま天井を仰いで、そして先ほど自分だけでなくキョーコも目を閉じようとしていたことを思い出した。

期待で鼓動が少しだけ激しくなる。

「ねぇ、最上さん…」

ピクンとキョーコの身体が軽く跳ねて反応を返した。

「今夜…君に話したいことがあるんだ。」

ガラにもなく少し緊張していたので、自分で声が硬いのがわかった。

「話したい、こと、ですか…?」

「うん。聞いてくれる?」

「……わかりました。」

キョーコの返事にホッと胸を撫で下ろす。

「良かった…。じゃあ、今夜…23時くらいになりそうなんだけど、家でいい?」

「はい。お先に伺ってます。」

「じゃあ後でカードキー預けるから、楽屋に寄って。」

「え?!カードキー?!そ、そんな…」

「お願い。女の子を深夜に外で待たせるわけにいかないし、ね?」

「うぅ、わ、わかりました。後ほど伺います。」

「ん…。じゃあ約束ね?」

「は、はいっ!」

最後に一度だけ強く抱きしめて、離れがたかった温もりから手を離した。
起き上がる姿を眺めて、助け起こされて、さて今夜は何処から何を話そうか…。と考える。

出生の秘密はまだ明かすことは出来ないにしても、先ほどのキスをなかったことにしたくない以上、この嘘偽りのない己の気持ちはキチンと伝えたい。そしてそれを伝えた上で、ちゃんと最上さんの気持ちを知り、2人で向き合いたい。

上着を羽織らされ、女性スタッフに取り囲まれて怪我や衣装の破れなどがないかチェックされているキョーコの背中をジッと見つめる。

ーーー君が好き。

その気持ちは嘘も偽りもない本当の気持ち。
君にだけは知られても構わないトップシークレットだから…。

蓮はグッと拳を握りしめた。

ーーー今夜、俺は君を捕まえる。絶対にね。

微笑むキョーコの背中に、蓮は心の中で強く強く、そう誓ったのだった。


END

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*****


…ということで!
ハッピーバースデー!!蓮様〜♡

こんなハプニングがもしも誕生日に起こったりなんかした日には、それこそ最高の誕生日!そして最高のプレゼントだよね!(笑)


キョーコちゃんをしっかり捕まえて、今度こそ想いあったキス出来ればいいね!

そして崩れ落ちるセットの中で唇が重なった2人を社さんがうっかり目撃しちゃってても面白いかも♡なんて色々妄想が付きません(笑)

蓮様に出逢えて、蓮様のキョーコちゃんへのあふれんばかりの想いに焦れ焦れ出来て私は幸せです!
生まれてきてくれて(?)本当にありがとう!!

これからも蓮様の恋を精一杯応援させていただきます♪

ん?あれ…なんだか悪寒が…

「久しぶりだね風月さん?」

ひぇ?!な、なんで蓮様がここに?!
え?!え?!どういうこと?

「それはこっちのセリフだよね?俺への誕生日のプレゼント?そんなことのために最上さんをあんな危険な目に遭わせたのかな?ん?」

ひ、ひぃぃぃぃ!ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
で、でもでもでも!キョーコちゃんからのチューだよ?!ハプニング万歳でしょう?

「そりゃあ…まぁ…」

あれ?あれあれ?照れてる!赤くなってますよ!敦賀さん♪
ね?ほら、前向きにさ!2人とも怪我もなく無事だったんだし…

「それとこれとは…俺は最上さんを危険な目に遭わせないでくれって言いたいだけで…」

だーってさ、普通にしてても蓮様もキョーコちゃんもくっつきそうにないんだもん〜。
蓮様がとっとと口説き落としてくれたらいいけど、普通に過ごしたとしたらそれもしなさそうだしさ。

「う、俺だって、少しは考えて…。とにかく。金輪際最上さんを危険な目にあわせることは…」

あれ?蓮様?唇に何かついてるよ?…あー…それ、キョーコちゃんのリップだねぇ…

「え?!な、え?!」

あはは。赤くなっちゃって♪
ほらほらさっきのハプニングの時についちゃったんだよきっと…。

ね?いい話だったでしょ?

「くっ…だけど、プレゼントの割には中途半端で結局、生殺しじゃないか…どうせならもっと…こう…」

あーはん。なーるほーどねー。それが言いたくて現れたわけだ。

「な、ち、ちがっ!」

大丈夫大丈夫!逞しい皆さんの妄想脳内できっとスンバラシイ続きになっちゃうから、蓮様にとって美味しい展開が待ってること間違いなしよ!

さあ!いざ行かん!妄想の旅へ!

ってことでまたお会いしましょう〜♪
風月でした♪

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ジャンル : 小説・文学

なくした記憶 47

なくした記憶 47


「さぁ、着いたよ。」

蓮が車を停め、サイドブレーキをかけた。

「ここは?」

キョーコがシートベルトを外しながら、キョロキョロと物珍しそうに景色を見つめる。
蓮はふわっと微笑んで答えた。

「江の島だよ。」

「江の島?」

「そう、とりあえず出ようか…」

蓮はそう言って車から降りるので、キョーコもそれに倣った。

「わ!すごい…!」

キョーコはキョロキョロと辺りを物珍しげに見ながら楽しんでいるようだったので、蓮も嬉しくなる。

水族館も少しだけ覗いた。
江の島の水族館はクラゲファンタジーホールというクラゲ専用のスペースもあるので女性に人気だというのを蓮は事前に調べていたのだ。

「記憶をなくしてる間も水族館に行ったようだけど、こういうのはなかっただろう?」

「はい!とっても神秘的で素敵ですね!」

キョーコがウットリとクラゲを見つめているので、蓮もくすりと笑みを零しながら一緒にクラゲを眺めた。
ふわふわとゆっくり海の中を漂うクラゲを見ていると何だか違う世界にいる気がしてくるから不思議だ。

キョーコは、蓮が記憶をなくしている間の久遠とのこと、蓮への想いと、久遠からの愛、そして蓮が記憶を取り戻した一昨日から蓮との関係も急激に変化したことを思い出していた。
ここ数ヶ月の思い出が一つ一つ頭の中を巡っていく。
蓮への想いも、久遠とのことがあったから抑えられなくなった。
ずっとずっと蓮といたい…。でもそんなワガママが通るのか…。
頭の中では様々な思いが交錯していた。

キョーコが魅入られたようにぼうっとクラゲを見つめていると、蓮が心配したようにヒョイっと顔を覗き込んできた。

「キョーコ、大丈夫?」

「へぁ?!あ、す、すみません!大丈夫です!あ、もう行きますか?」

「ん?いや、もう少し見たいならゆっくりしていってもいいけど…」

「い、いえ!!大丈夫です!!行きましょう!」

色々と思い出したことの中に恥ずかしいものも沢山混じっていて、キョーコは真っ赤になりながら、慌てて蓮の腕をグイッと掴んだ。

「おっと…」

引っ張られ、キョーコ側に傾いた蓮からふわっと蓮の香りが漂って、不意に恥ずかしく感じたキョーコは慌てて手を離そうとした。

「あ、す、すみませっ!」

離れようとした体は蓮の腕にギュッと後ろから捕まえられ阻まれた。

ドキンとキョーコの心臓が大きく跳ねる。

「何かあった?」

「へ?!な、何かって?」

「車の中でもボーッとしてたし、今も…心ここに在らずって感じだっただろ?」

「そ、それはっ!敦賀さんが記憶をなくしてた間のことを考えてて…」

「ほら、何か変だ。俺のことだって家出るまでは久遠って呼んでたのに…。それにいつの間にかまた敬語になってるし…。何かあったなら話して?」

背中にある優しい温もりが、キョーコを安心させた。首に回された腕に手を伸ばして、勇気をもらうようにキュッとその腕を握りしめた。
前を向き、クラゲを眺めながら、キョーコは話し始める。

「今朝、椹さんから電話があったんです。」

「何て?」

「実はーーー」

それは蓮が記憶を取り戻したって聞いた椹からの電話だった。

*

『ほら、蓮のお世話係りをするっていうのは蓮が記憶を取り戻すまでってことだっただろ?』

「はぁ…まぁそうですね。」

『一応、こっちでも幾つか最上さんのために物件抑えてるから、時間があるときにでも事務所に寄ってくれないか?』

「え、でも…」

『いつまでも蓮と一緒に住めんだろう。いや〜。まぁ相手が紳士な蓮だからそんな間違いなんて起こらないとは思うが、君も女の子何だし…。万が一ってことがあるだろう?いくら社長からの指令だったとしてもな〜。女の子の君と男である蓮を一緒に住まわせるのは心配だったんだよ。』

「………はぁ…」

『まぁだから、蓮の記憶が早々に戻ってくれて安心した。だから、最上さんも心置きなく一人暮らし出来るってもんだ。悪かったね。男女が一つ屋根の下ってのは色々と大変だっただろう?』

「いえ…大変なことなんてなにも…。」

『で?事務所にはいつ寄れそうかね?』

「…そうですね。今日だったら夕方18時以降には…」

『わかった。じゃあ待ってるから…』

*

蓮は話を聞いて驚いた顔をしていた。

「え?キョーコ出て行くの?一人暮らし始めるの?」

「元々、そう言う約束だったの。敦賀さんの記憶が戻るまで私が敦賀さんの家に住み込みでお世話係りをするって…」

「だけど…もうキョーコは俺の恋人なんだし…」

「間違い…」

「え?」

「相手は蓮だから間違いなんて起こらないとは思うが…って椹さんに言われたんです。」

「…間違い?」

蓮の眉間にシワが寄った。

「はい。それを聞いて私と敦賀さんがこんな関係になるのは間違いだったのかな?って…思っちゃって…」

尻窄みになりながら、キョーコが言う言葉に、蓮はキョーコを抱きしめる腕に力を込めた。

「違う。間違いなんかじゃない。」

「敦賀さん…」

「久遠って呼んで。そしてお願いだから、これからもずっとそばにいてくれ…」

「久遠…でも…」

「俺の愛しい人は後にも先にも君だけだ。間違いなんかじゃない。俺が君を好きになったのは、気の迷いでも何でもない。信じて、キョーコ…」

「久遠…」

「お願いだ。出て行かないで…。頼むから、俺のそばにいて…これからも一緒に暮らそう?」

「ありがとう。久遠…」

キョーコは寂しそうに微笑んだ。その答えは、出て行く決断をしているように蓮には聞こえてしまった。

「わかった。じゃあ俺も行く。」

「へ?い、行くってどこに?」

「キョーコが出て行くなら、俺もキョーコの新しい部屋に住む。」

「ちょ、なに言って…」

「六畳一間でもなんでもいいよ。キョーコがいてくれれば、俺はどこでも良い…」

蓮がチュッとキョーコの頬に口付けた。

「え?!ちょ、こ、こんな所で…みんな見て…」

キョーコが真っ赤になって逃げようとするので、そのキョーコの体を捕まえて、チュッチュっと軽いキスを繰り返す。

「もう!ダメだってば!久遠っ!」

「キョーコがずっと側にいるって約束してくれたら辞める。」

「もう!わかった!わかりましたから!ずっと久遠の側にいます!」

蓮は嬉しそうに破顔すると、キョーコの肩を抱き、その唇に口付けた。

「約束。」

真っ赤になったキョーコに怒られながら、2人はその後も手を繋いで江の島を満喫した。

2人でシラス丼を食べ、神社へ行き、恋人の名前を呼びながら鐘を鳴らすと永遠に結ばれるというジンクスがある龍恋の鐘を2人で鳴らす。
その鐘がある丘から海が見えて、その海を2人で眺めると、ちょうど夕日が沈もうとしているところだった。
くしゅと小さなクシャミをするキョーコの後ろに立ち、蓮がキョーコの体を己のコートで包みこんだ。

「あったかい?」

「ふふ。とっても暖かい。」

可愛らしい笑顔が蓮を見上げた。
それに蓮は笑みを深めて、そのおでこに軽く口付ける。

「もう。また。」

「キョーコが可愛いからいけないんだよ。もう俺は君から離れられないんだ。だって君のこの温もりを知ってしまったから。」

「そんなの…私も一緒です。」

キョーコは蓮のコートの中でもぞもぞと動いて体の向きを反転させると、蓮の身体にギュッと抱き付いた。

「私だってもう貴方から離れるなんて出来ない。」

そう言って見上げてきたキョーコに蓮は反則だと小さく呟いて再び苦しいくらい強く抱きしめた。
夕日が見守るその丘で、長い影が伸びる。
オレンジ色に照らされた2人の顔が徐々に近付き、静かに優しく唇を合わせて重なった。


(続く)

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*****

デートについてたくさんのご意見下さった皆々様、ありがとうございました!
今回はたまこさんのご意見を大幅に採用させて頂きました!!

そしてメッセージでも水族館という案を頂いたので、前回と違う水族館だったらいいだろうと、龍恋の鐘にかこつけて、江の島水族館に行かせることに。

今回もかなり難産でございました。

何とか書けてよかったー!!
でもすみません。江の島なんて言ったことがないので、インターネットで調べまくった知識しかないから、地理も何となくしかわかってないです。

とりあえず散々引っ張った割にデート篇は短いけどこんなもので勘弁してくださいませっ(汗)
やっぱり甘々なだけのデートを書くのは苦手っぽいです。

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拍手お礼〈17〉+

いつも沢山拍手をありがとうございます!

昨日は節分でしたね!豆まきして恵方巻き食べましたか?
恵方巻き…美味しいけど、晩御飯としてアラだけだとちょっと寂しいですよね。
かと言って結構お腹いっぱいになるので、他にあまり入りませんが…(笑)

季節の変わり目!そしてインフルエンザも流行ってるようなので皆様もお気をつけくださいませ。


それでは拍手お礼です☆
【透明メガネ】
ちびぞう様
お返事遅くなっちゃってすみません!!
楽しんでいただけて良かったです♪
まさかの夢オチ?!で終わっちゃいました。
次回坊を見かけては蓮の脳内で妄想が繰り広げられるかも?


【なくした記憶 46】
ち◯◆様
応援コメントありがとうございます〜!!
お待たせしてしまっててすみません!!
そう言っていただけるととっても嬉しいです☆
ち◯◆さんも風邪にはお気をつけくださいませ!
これからも楽しんでいただけるよう頑張ります〜!


*****

たくさんの拍手がつくと気合が入ります(笑)
皆さん、いつもありがとうございます!!




昨日は職場で、たまたま物凄く嫌〜な感じの方からの電話を取ってしまって、意味不明な脅され方をされて、気分だだ下がりだったので、その鬱憤を晴らすかのように、逆にめちゃ甘な話が書きたくなったので書きなぐり。冒頭だけですけどね!浮かんじゃいました。


短いですけど、まぁオマケ的な?見てる方いたら良かったらどうぞ〜☆

*****

「うわっ!」

「きゃ!」

「最上さん!大丈…ぶ「ふ」…」

その瞬間、ありえないほどの超至近距離で目が合った蓮とキョーコの時が完全に停止した。



慌ただしい怒号が飛び交うスタジオの簡易セットの中で、キョーコと蓮は衣装を着て準備を万全に整えていた。
先ほどまで近くにいたスタイリストは席を外し、撮影のカチンコを待っていた時、突然、足元に違和感が起きた。
グラッと動いた足元。セットが、崩れ落ち、蓮が尻餅をついて上を見上げた時には、キョーコも蓮に飛び込む形で倒れこんできて、その背後にはセットの壁が迫っていた。

咄嗟に抱き留めようと伸ばしかけた手に、持ちこたえようとしたが無理だった華奢な身体が飛び込んできた。
だが想定していた位置より若干違う場所にキョーコの顔があった。

互いに目を見開いたまま、急速に近付く2人の距離はまるでスローモーションのように蓮の目に映る。
やがてその距離は…

ーーぶちゅう…♡

蓮の唇にはキョーコの柔らかな唇が重なっていた。
突然の接触に互いに何が起こったのか察するまでに数秒を要した。
全てが無になった瞬間とはこういう時のことを言うのかもしれない。



なーんてね☆

タイトルつけるなら、ハッピーハプニング…かな?
こんな風に始まるお話も有りでしょうか?
いつか形に出来ればアップしたいですね〜♪
閉じ込められた空間で2人は…みたいな☆
お互い照れちゃったりして♪

あー。スッキリ!
とりあえず昨日のモヤモヤはこれで解消かな?(笑)

それでは皆さん、素敵な1日を〜♪

なくした記憶 46

皆々様、大変お待たせしました!!
なくした記憶の続きでございます!
漸く重い腰が上がって2年越しの再スタート!
このまま一気に完結まで…持っていけるように頑張ります〜!
久遠くんな蓮様とキョーコちゃんをどうか暖かく見守ってやってくださいまし!


*****


なくした記憶 46


「な、なによこれぇぇぇ!!!!」

キョーコはゲストルームの前に
置かれた紙袋を見て驚愕した。

「くくくく久遠ー!!!!」

紙袋を抱えて蓮がいるリビングへと駆け込む。

「え?キョーコ、どうしたの?」

蓮は目を真ん丸に見開いて真っ青な顔で飛び込んできたキョーコを見た。

「こ、これ!昨日のお店の?!」

「うん。そうだよ?」

「昨日の服だけじゃなかったの?!」

「昨日の服も似合ってたけど、この服だって似合ってただろう?」

「それでも、こんな高いの…このワンピースなんて色違いで3着も!!」

「まぁまぁ、いいから着てみてよ。」

「着れないよ!今すぐ返してきて!!」

「えーーー。」

「えーーー。…じゃ、ありません!!こんな無駄使いして…」

「無駄使いなんかじゃないよ。だってその服、キョーコにすごく似合ってて、キョーコの為にあるような服じゃないか。それなのにキョーコに着てもらえないなんて、その服が可哀想だ…」

蓮の頭に耳が生え、くぅーんと仔犬が鳴くような表情で蓮が見つめる。

「うっ!!そ、その顔は反則ですってば!!」

そんな蓮の顔に弱いキョーコは真っ赤になってたじろいだが、すぐに気を取り直すと正座をして座り、蓮に言い聞かせるように強い口調で言った。

「そ、それにしたって買いすぎです!」

「買いすぎ?少ないくらいだよ。だってワンピース5着とトップスとコート合わせて6着、スカートなんてたったの2着だ。」

「たったの2着って…!」

「これでも我慢したんだよ。本当はあの店の服全部買い占めたいくらいだったんだから。」

「な?!ぜ、全?!」

「いいから着てみて。ほら、この色だって絶対キョーコに似合うし。」

むぅーと顔を顰めてまだ納得していないキョーコをみて、蓮は金額がなんだとブツブツ言っているキョーコに四つん這いになって近付くと、耳元に熱っぽく低い声で囁いた。

「なんなら、ここで着替えさせてあげようか?」

突然現れた蓮の夜の帝王の気配にキョーコの顔がボボボッと一瞬にして真っ赤になり、紙袋を抱えたまま大急ぎで退いてリビングの壁まで蓮から逃げた。

「なっ!なっ!なっ!!」

フルフルと小動物のように震えるキョーコをみて、蓮はプッと吹き出す。
それを見たキョーコは更に全身真っ赤に染め上げて、紙袋を抱えたまま立ち上がりその場から絶叫を残して立ち去った。

「久遠の、久遠の破廉恥ぃぃぃー!!」

幸せを噛み締めるような顔をして笑う蓮がリビングに1人残されたのだった。




「もうっ!久遠ったら信じられない。」

真っ赤な顔のままぷりぷりと怒りながら、キョーコは紙袋から出した服のタグを外しテキパキと畳む。

「あら…?」

キョーコが畳んでいると、携帯電話のバイブ音が聞こえてキョーコはキョロキョロと辺りを見回した。

「あった。誰かしら?え?!」

携帯の着信を見て目を見開いたキョーコは慌てて通話ボタンを押した。

「…あ、はい!もしもし!最上です!」

*
*
*

キョーコが着替えを済ませてリビングに戻ると、蓮も既に支度を済ませて、コーヒーを飲んでいた。

「お待たせしました。」

リビングに再び現れたキョーコを振り返って、蓮は一瞬驚いた顔をしたのち、甘やかに微笑んだ。

「やっぱり似合う。綺麗だ…。」

蓮の心からの賛辞を受けて、キョーコの顔が真っ赤に染まる。

「あ、ありがとう…ございます。」

もじもじと礼を述べるキョーコに近付いて、蓮はキョーコの身体を突然ギュウッと抱き締めた。
キョーコの心臓がドキドキと鳴る。

「く、久遠?」

蓮はキョーコの顔を覗き込むと、そっとキョーコの頬を撫でると、何らかの引力でも働いてるかのように引き寄せられ、優しく口付けた。

「ん…」

キョーコもそれを受け止め、おずおずと蓮の首に手を回す。
角度を変えながら何度も繰り返されるキスに溺れそうになりながら、キョーコはこのままではデートに行けなくなると思い出し、やっとの思いで蓮を引き剥がした。

「もう!久遠!デートに行くんでしょ?!」

「うん。ごめん。キョーコがあんまりにも可愛すぎて…」

「〜〜〜っ!!」

「じゃあ行こうか。あ、寒いだろうからちゃんとあったかい格好してきて。」

「わ、わかりました!」

パタパタと出て行くキョーコを見送って、蓮はその場にふーーーっと深いため息を吐いて座り込んだ。

「あーー。ヤバかった…。抑えが利かなくなるなんて…。可愛すぎて反則だ…。」

キョーコを想い、蓮は赤くなった顔を片手で覆って破顔する。
昨夜のキョーコの言葉が蓮をどんどん欲深くさせている気がする。
どんな自分も好きだと言ってくれた。自分のことを愛しいと他の誰でもないキョーコが言ってくれた。

「なんだか…益々欲が出そうだ…」

独り占めしたい。誰にも渡したくない。あんなに可愛いキョーコを誰の目にも触れさせたくない。そんな欲がムクムクと膨れ上がる。

「ふーーーー。」

一生離れられない。離れるなんて出来ない。俺にはキョーコが必要不可欠な絶対的な存在だ。蓮はそんな気がした。

なんとか気を引き締めて、コーヒーカップを手早く洗い、蓮もコートを羽織ったところで、ちょうどキョーコがコートとマフラーをして現れた。

「変…じゃないでしょうか?」

不安気に尋ねてくるキョーコを安心させるようにフワリと微笑む。

「大丈夫だよ。君は俺の中で世界で1番可愛いから。その格好も凄く可愛い。とっても似合ってるよ。」

甘やかな言葉にキョーコの頬が赤く染まる。
その姿に蓮は目を細めて、キョーコの手を取るとそのまま玄関に向かうのだった。


(続く)


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↑こちらも応援頂けたら嬉しいです!


*****


いやいやいや。早く出かけてー!!!!!(心の叫び。笑)

お待たせしました!なんとか更新しました!!!!

かなり悩んだ挙句、結局まだ出かけんのかーーーーい!な回になってしまいました(泣)

ちゃんと完結まで持っていけるかなぁ?なんて若干不安が…!

が、ガンバリマス!

拍手やコメント…あったら嬉しいです。
(↑久々のなくした記憶更新で緊張気味で超弱気モード。)


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