拍手お礼〈24〉*

こんにちは。
風月です。
拍手とコメントにいつもエネルギーを沢山貰っています☆
いつも応援頂きありがとうございます!

拍手コメントへのお返事です。


【なくした記憶 50】
ち◯ぞ◆様→愛しのキョーコさんが鶏の中に蓮様さぁ大変!という感じですね。
ラストスパート楽しんでもらえるよう頑張ります☆


【なくした記憶 51】
かばぷー様→楽しんでいただけて嬉しいですー!!犯人はもうあの人以外にはありえないでしょうね♪御察しの通りです。
ラストスパート頑張ります!


【さよならは言わないで。】
ち◯ぞ◆様→モー子さんに背中押してもらえなかったら、確かにキョーコちゃんカラ元気で働き過ぎて倒れてたかもですね。
コーンと呼ばれてからイヤイヤと首を振る蓮様に社さんは心底びっくりしちゃいましたよね!!
その辺も楽しんでいただけて嬉しいです☆
コミックス派です!でも、本誌のネタバレも大歓迎な奴です(笑)
だってやっぱり待ちきれなくて展開が気になるんですものー!!
そして内容を知ったとしても、スキビの場合は斜め上の描写が多く凄く新鮮に読むことができるのでネタバレも安心して読めます(笑)
むしろ、ネタバレ読んでた方が二度美味しく感じることもあります(笑)
冴菜さんの若い時はとっても可愛いかったです!
流石キョーコちゃんの母親!!
これから目がますます離せなくなりますねぇ♪


ち☆ぞ様→わー!コメントありがとうございます!!確かに、社さん見せ付けられてたまったものじゃないですよね!!熱烈キッスはもうコーンバレしちゃったから勢いだったでしょうね☆(グアムでもう既に唇奪っちゃってますからね!)
続き…は、考えてなかったですが、そんなドキドキワクワクの目で見られてしまっては…!!思いつくか考えてみますね☆



****

さてさて、そして拍手総数も4000突破しました。本当にありがとうございます!
ということで、サプライズ小話の続きですー!

敦賀さんの不思議体験*12*


蓮の今ここにあるはずのない心臓がまだバクバクと激しい音を立てている…気がする。

『今の…この敦賀さん人形が…?』

蓮はドギマギしながら、固まっていた。

ーーーや、ヤバイ!俺が最上さんの胸に顔を擦りつけた何てことがバレたら…最上さんに嫌われるかもっ!!

『いやいや、まさかね。だって人形が動くはずないもの〜!やーね!私ったら、何言っちゃってるのかしら…』

ペシンと可愛い音を響かせてキョーコが己の額を叩く。
それと同時に蓮の頭が再びキョーコの胸に押し付けられた。

ーーーあ、しまっ…!!

男の悲しいサガなのか、思わずグリンとキョーコの胸を求めて、蓮は再び頭の向きを変えてしまった。

キョーコが驚愕の表情で人形の蓮に視線を落とす。

『え…嘘でしょ…今…』

ーーーあ…。

そして、人形のはずの蓮とキョーコの視線がバチッと確かに重なった。



(続く)

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***


続きは拍手総数4500あたりでと考えてます☆
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さよならは言わないで。

超王道路線なので、どなたかと被ったらすみません。

別れの季節だからかなぁ?何となく浮かんじゃいました。


*****


さよならは言わないで。


「…ねぇ、いいの?」

「んー?何が?あ、モー子さんそこ貼り方違うわよ。」

「……まぁ、あんたがいいんなら良いんだけど…だけど、あんたには文句の一つくらい言える権利あるんじゃないの?」

「…別に。私はただの後輩だもの。」

キョーコはそれだけポツリと呟くとまた黙々と作業を始めた。
奏江はその姿を見ながらイライラと呟いた。

「少なくともアンタは、ただの後輩なんてものじゃないと思うわ!」

「モー子さん…早くしないと終わんないよ。」

「あーもー!!ちょっと!あんたね!良い加減にしなさいよ!!呑気にラブミー部の雑用してる暇ないでしょう?!さっさと敦賀さんのとこ行ってきなさいよ!!」

「モー子さん何怒ってるの?」

「何怒ってるの?じゃないわよ!!あんたね!いつまで逃げてるつもり?!」

「逃げてなんて…」

「逃げてるじゃない!!今も…こっそりため息なんてついてる癖に、気にしてないふりして!」

「モー子さん…」

「そうこうしてる間に、敦賀さん行っちゃうわよ!良いの?!」

「………」

グッとキョーコは下唇を噛み締め、拳を握った。
奏江もワナワナと拳を震わせていた。

「渡米するって、敦賀さんの口から直接聞いたのは、アンタだけなのよ?!しかもメディアで発表する一ヶ月も前!!その意味がわからないの?!」

「意味なんて…そんなの少し仲良くしてたからで…」

「そんなわけないでしょう?!」

ビクッとキョーコは肩を震わせた。

「それから半年間も逃げ続けて…!いいの?!何も言えないままで…敦賀さん今日の17時の便で渡米しちゃうのよ!!あと1時間もないわ!!」

「…今から向かったところで間に合わないわよ。」

「そんなの分かんないじゃない!行きなさいよ!さもないと絶交よ!」

「ええ?!そんなモー子さん!!」

「挨拶の一つでもしてきなさいよ!仮にもお世話になった大先輩でしょう?」

「…だ、だけど…」

「ほら!本当に間に合わなくなるわよ!この仕事はあとは私がやっとくから!ほら!!さよならぐらい言っとけばいいじゃない!じゃないとアンタ絶対後悔するわよ!!」

「さよならなんて…そんなの嫌なの…。」

「だったらまた帰ってきて!でも、また会いたい!でも何でも良いじゃない!」

「そんな敦賀さんの足かせになりそうなこと…」

「あーもー!面倒くさい!!本当に絶交するわよ!!このまま会えなくなっても良いの?!行きなさいよ!!」

「…わかった。ごめんね。モー子さん…行ってくる!」

「えぇ。早く行きなさい。」

飛び出していったキョーコにやれやれと首を振ると「全く世話が焼けるんだから。」と呟き、奏江は椅子に座り直して仕事を再開したのだった。


「ほら、蓮…そろそろ出発ロビー行かないと入れなくなるぞ。」

「えぇ…。わかってますよ。」

社が蓮から正体を明かされたのは三ヶ月前。
渡米は本来の姿で出国するため、今は金髪碧目の蓮を見送りに来ていた。

「結局、キョーコちゃんには何も話せないままか?」

「えぇ。渡米の話をした日から何も…」

「そっか…」

「社さんにも色々お世話になりました。本当にありがとうございました。」

深々と頭をさげるその姿は、外国人に見える今の蓮の姿には不釣り合いだった。
社は苦笑しながらも頭を上げさせる。

「俺こそ、お前と仕事ができて誇りに思うよ。今までありがとうな、蓮。向こうに行っても…あ…」

そうして、別れの挨拶を終えようとした社は、頭を下げる蓮の向こう側に、見覚えのある栗毛色の髪型を見つけて目を見開いた。

「?社さん?」

社が固まっていたので、不思議そうに見上げた蓮も、つられて視線を追う。

するとそこにはキョロキョロと誰かを探しているらしいラブミーユニフォームに身を包んだキョーコがいて、蓮も目を見開いた。


二人の視線に気付いたキョーコが、アッと大きく息を呑んで固まったが、その口をグッと閉じて、ズンズンと蓮の元まで進んで来た。
そして近くまで来てキョーコは蓮の姿に違和感を覚えた。
遠くから見たときは光が反射しているだけだと思っていたのに、近づいて見えたキラキラと輝く金髪と不思議な色彩の目…。
あの日、グアムで再開した妖精の姿だったのだ。


「…え?!敦賀さ…でも、え?コーン?!」

「キョーコちゃん!蓮の見送りに来てくれたんだねぇぇ!!」

社はキョーコが現れたことに感激していて、驚いてる姿を見てもうんうん。この姿驚いちゃうよね!とコーンという聞きなれない単語はスルーしてしまった。

「最上さん…」

蓮はもう会えないと思っていたキョーコが現れたことに目を見開き固まっていた。

「…ど、して…?敦賀さんが…コーン?」

キョーコにそう問いかけられて蓮は今の自分の風貌を思い出しハッとした。

「キョーコちゃん、コーンって??蓮??」

社は蓮とキョーコの顔を交互に見比べていた。

「最上さん…いや、キョーコちゃん。ずっと黙っててごめんね?」

蓮が申し訳なさそうに困ったようにフワッと笑うと、キョーコの目からボロボロと涙が流れた。

「コオオオオオン!!」

キョーコが蓮にガバリと抱き付いたので、社は驚いた。蓮も一瞬驚きはしたが、すぐにキョーコを抱きしめ返した。

「ゴメン…。」

「ひっく…いや、コーン…また…置いていくの…?」

「ゴメン、ずっと黙ってて。ゴメンね。また置いていくことになっちゃって…でも今度はきっとまた会えるから…。」

「…ぐす…。また、会える…?」

「うん。会えるよ。君のお陰で俺は大きな翼を手に入れたから…。君にまた会いに来る。だから今度はさよならは言わない。」

「コーン…。」

「グアムでも騙しちゃう形になってゴメンね。」

「ずっとずっと私がコーンに会いたがってたの知ってたくせに。」

「うん。ごめん。君に話したいことは沢山あるんだ。いつになるかわからないけど、近いうちにまた君に会いに戻ってくるよ。その時は話聞いてくれる?」

「わかりました。待ってます。敦賀さん。待ってるからね、コーン…。」

「ん…。ありがとう…キョーコちゃん。じゃ、約束。」

「え…?」

そっと頬に手を添えられ、顎をぐいっと上向きにされて、キョーコが不思議そうに見上げたのと同時に、蓮の唇が降ってきて、キョーコのソレに重なった。

「っっっっ!!!!!れ?!」

「ッ?!?!?!」

社は驚いて真っ赤になり、キョーコも真っ赤な顔で固まった。

「んん……」

頭を固定され侵入してきた舌に絡め取られて、キョーコが蓮の袖を縋るように握り締め、目をギュッと強く閉じた。

ちゅと音を響かせて、蓮の唇が離れていく。
真っ赤になったキョーコを隠すように抱きしめて、蓮はキョーコにだけ聞こえるように呟いた。

「今はこれだけ言わせて。君を愛してる。ずっと…今までもこれからも…」

「敦賀さんっ…!」

「また絶対に会いに来る。もうキョーコちゃんを一人にはしない。俺が絶対守るから…」

ポロっとキョーコの目から涙が溢れた。
蓮はキョーコを離して、キョーコの頬をそっと包み込み、ふんわりと微笑んだ。

「帰ってきたら、いくらでも文句を聞くから。今はまださよならは言わないで。」

「わかりました。文句もさよならも今は言いません。だけど、これだけは言わせてください。」

「ん?」

「貴方が好き…」

蓮は大きく目を見開いた。

「…え?」

「今も、そしてこれからも…」

蓮は己の顔がみるみる内に赤くなっていくのを感じながら、嬉しくて感激してどう言葉にしたらいいかわからなかった。

ガバリと再びキョーコを抱きしめる。

「きゃ!」

「本当に…?」

「本当に本当です!」

「嘘じゃない?」

「こんな嘘ついてどうするんですか!」

「れ、蓮…取り込み中悪いが、もうそろそろ入らないと時間が…」

「…離したくない…」

「え?!」

「キョーコちゃんといる。」

ヤダヤダと駄々っ子のように首を振る蓮に、社とキョーコは一瞬ポカンとしてしまった。

「蓮…ふざけてる場合じゃ…」

「ふざけてなんていません!だってキョーコちゃんが俺を…」

なおもなにか言いかけた蓮の頰にキョーコの白く細い指がヒタッと伸びた。

「キョーコ…」

「敦賀さん…私も出来ることなら貴方とこのままここにいたい。」

蓮の顔がパァァァと明るくなった。

「だったらーー」

「でも、ダメです。これは貴方の夢だったんですよね?目標だったんですよね?だったら行かないと…」

「キョーコちゃん…」

「私は大丈夫ですから。寧ろ敦賀さんを追いかけてハリウッドに行っちゃうくらい頑張りますから…だから…」

「うん…」

「行って下さい!貴方の夢のために大きな翼を広げて自由に飛ぶために…」

「うん。ありがとう…。わかった。キョーコちゃん。俺、行ってくるね。」

「はい!いってらっしゃい!コーン!」

ふわっと笑う柔らかいキョーコの笑顔に、熱い想いが込み上げる。

「待ってるから。」

「?」

「ハリウッドで待ってる。」

「っ!!!!っはい!!」

「ほら!蓮!!!!早く!搭乗手続き終わるぞ!!!!」

「電話する!メールもするからっ!」

「はい!お気をつけて!」

社に追い立てられて、蓮はキョーコと離れ飛行機へ向かった。
搭乗手続きを終え、振り返ったところで、キョーコが手を振ってくれてるのが見えた。

胸に暖かい魔法を掛けられて、蓮はしっかりと前を向き、自分の夢を叶えるため大きな一歩をふみだし歩き出した。

キョーコも口付けられた唇に手を添え思う。
アメリカの地で再会を果たす日をーー。


蓮と二人、並んで立つ日を…。

それはきっと数年後のお話。


END

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なくした記憶 51

久しぶりになくした記憶を心から楽しんで書けましたー!!
まだ終われなかったです。

もう少々お付き合いくださいませ。

ふふ♪ではでは、どうぞ!!
※関西弁…想像で書いてるので、間違ってたらごめんなさい。間違ってる時はニュアンスで読んで頂けたら嬉しいです。


*****

なくした記憶 51


撮影は順調に進んだ。
蓮の所作一つ一つに観客からは甘い溜息が漏れ、時々黄色い声援が飛びかう。
それに笑顔で応えながら穏やかに番組は進行した。

クリスマスということもあって、会場とお茶の間への蓮の私物プレゼントがあったりと番組も大いに盛り上がっている。

キョーコは薄暗い舞台裏で次の進行に必要なネタタマゴを探した。

「あれ?ない…?」

いつも置いてる場所になくてキョロキョロ探していると、肩を叩かれた。
目の前にスッと差し出されたネタタマゴを受け取りお礼を言うとリーダーの光の元へ急いで向かった。

「さぁ、ではいよいよ、敦賀さんへの質問コーナー!会場やお茶の間からの厳選された質問がこの坊の持ってきてくれたネタタマゴの中に入ってるんやで〜!」

相変わらず客席からは蓮の名前が黄色い声援に混じって何度も呼ばれている。

「では、最初のネタタマゴ行ってみましょう〜!……って…あれ?」

番組のチェックが入っていればちゃんとその印がネタタマゴに入れられた用紙の隅に入ってるはずだが、その印が見当たらず、光はそれに困惑して助け舟を求めるように、カンペを持ってるADに視線を送った。

「なんや、リーダーどうしたん?」

「なんか変な質問やったんかいな?」

二人も横から覗き込み、印が入っていない紙に目を丸くした。
以前全く印の入ってない質問が紛れ込んでいて番組進行が危うくなった事件があったのだ。
すると、何か指示でもあったのかカンペには『そのまま読んでいいから続けて』と書かれていたので困惑したまま光はその紙を読み上げた。

「よ、よっし。じゃあ行くで。まず最初の質問や。『風の便りで聞いたのですが…』」

ーーーえ…?

キョーコは坊の中で何処かで聞いたことのあるフレーズに自分の耳を疑った。

「『敦賀さんの本名は、敦賀蓮じゃないそうですね。本当の名前が知りたいので、教えてください。』やて。」

ーーーえ…えええええぇ?!

キョーコはバレてはいけないはずの質問が飛び出したことに度肝を抜かれて坊の中で悲鳴を必死で噛み殺した。

「本名…ですか。どこから漏れたんでしょうね。確かに、敦賀蓮は芸名です。でも俺は、ある理由があってそれをまだ明かすつもりはありません。もっと役者として高みを目指し、いつか自分の敦賀蓮としてのこの足でハリウッドに立ち、成功したその暁には名前も公表し、自分の本名で活動したいと思ってます。」

「「きゃー!!」」

「痺れるわぁ〜!蓮〜!!」

「かっこいい!私絶対応援スルゥー!!」

客席からも拍手喝采が起こり、蓮は内心ヒヤリとした心を撫で下ろし、ありがとうございます。と客席に応えながらにっこりと微笑んだ。

「敦賀さん、ハリウッド目指してはるんやなぁ〜。いやぁ敦賀さんなら絶対行けると思うで!」

「楽しみやなぁ〜。俺も同じ事務所の後輩として心から応援してます!」

「もちろん俺も応援してます。やっぱり敦賀さんが言うとキマるなぁ〜。よっしゃ!次の質問いくで!!…あ…」

「ん…なんや…?あ…」

「どうしたん?…あ…」

次の内容を目にした三人の間に微妙な空気が広がり、蓮は首を傾げた。

「どうかしましたか?」

「あぁ、いや…」

相変わらず、スタッフからはゴーサインが出ているため、読まないわけにはいかない。

「じゃ、じゃあ、読むで!『風の便りで聞いたのですが…』」

ーーーえええぇ?!ウソォォォ?!?!?!

キョーコは内心大慌てだ。自分が過去に幼馴染への復讐のため同じ始まりで弱味をネタタマゴに忍ばせたことがあるのだ。
嫌な予感しかしなくてキョーコは背中に冷や汗を掻くのを感じた。
そして思わずプロデューサーを見ると眉間に皺を寄せた物凄い怒り顔でキョーコを睨み付けていた。キョーコは慌てて首を振り自分の無実を訴えた。

ーーー違います!違います!!私じゃありませんー!!きっと誰かが…はっ!そうよ!あの人!!!!暗くてよく顔もわからないままネタタマゴを受け取っちゃったけど、さっきの人に中身がすり替えられたんだわっ!!

キョーコは先ほどいつもの場所にネタタマゴがなかったことを思い出し、差し出された時のことを思い出そうとしたが、舞台袖は暗すぎて顔など全く思い出せない。そもそもちゃんと見えてさえいなかったのだ。

蓮も何となく違和感を感じながらも、質問の続きを待つ。

「『共演者など誰も気付かなかったようですが、敦賀さんは、この間の事故で一時期記憶喪失になってたそうですね。5年間の記憶を全く覚えてないままその後も仕事を続けられたようですが、どうやっていたのですか?』…って、ええ?!記憶喪失?!」

「えぇ?!ほんまに?!」

ーーーな、なんでぇぇーーー?!

キョーコはかなり重要なトップシークレットなネタを誰が漏らしたのかと慌てた。

ーーーえ?!何?!なんなの?!何処の誰よ!!何が起きてるの?!はっ!もしかして敦賀さんを貶めようとしてる人の仕業?!私がよく確認もしなかったせいで…ど、どうしようー!!

青ざめるキョーコと反対に、蓮はにこやかな顔で冷静に答えた。

「ええ。本当です。今はもう記憶も戻りましたが、5年間の記憶が全くないまま今の自分自身を演じるのは大変なことだっただろうと思います。記憶が戻るまでは過去の自分のバラエティ番組の立ち居振る舞いや、ドラマを見て研究していたと聞いていますが…」

「え?聞いてますってどういうことなん?!」

「えらく人事やな。」

「実は、お恥ずかしながらその5年間の記憶が戻るのと引き換えに、記憶を失ってた間の記憶を失ってしまったようで…。時々チラッと思い出したりはしてるんですが…」

「はぁー。そりゃまた…。」

「難儀やなぁ〜…。」

「いやでも、周りに全くそんなそぶり見せてなかったんやろ?流石やなぁ。」

「まぁ、支えがあったおかげですかね。」

ニコッと付け足された言葉に、キョーコはハッとしたが、リハーサルと違う内容にテンパってるブリッジロックはそれを拾う余裕はなかったようで、3つ目のネタタマゴを手に取っていた。

「んじゃ、最後のいくで!」

光のその言葉に、キョーコホッと胸をなでおろした。

ーーーよ、よかった!私のことをなにか言われるのかと…

「えーっと…『風の便りで聞いたのですが…』」

ーーーま、またぁぁぁ?!今度は何よぉぉぉぉ!!

キョーコは心の中で、何が何だかわからず混乱中だが、ブリッジロックの三人はそのフレーズに慣れてきたようだ。
蓮だけが3回続いた同じ入りはこの番組のお約束なのだろうと思っていた。

「『敦賀さんには目に入れても痛くないくらい愛しい愛しい恋人がいるそうですね?』って、え?!ええええぇ?!」

「は?!なんやそれ!これ生放送やで?!ええん?!ええんか?!」

「ちょ、え?!こ、これまずいんやないん?!」

ーーーな、なんだすとぉぉぉぉぉぉ?!

まさかそんなことにまで突っ込まれると思わずにキョーコは驚き焦った。

ーーー嘘でしょ?!なんで?!なんでなの?!

客席もどよどよとどよめいているが、スタッフもブリッジロックも大慌てだ。
だけど、カンペには続けるように指示があったので、光はゴクンと唾を飲み込み続きを読んだ。

「こ…『この会場内にその自慢の彼女がいるので30秒以内に見つけ出してどんな彼女なのか一言で紹介してください。P.S.もし出来なければ…っ』」

そこで光はまた驚きで真っ赤な顔のまま固まった。

「な、この会場内にいるやて?!」

「出来なければなんなんや?!なんやけったいなことでも書いてあるんか?!」

二人も光の言葉の続きが待てずに両側から覗き込んだ。
そして固まってるリーダーの代わりに、二人は口を揃えて続きを読み上げた。

「「『もし出来なければ、同棲を解消させ、半年間の接触を禁ずる。』」」

読み終えた瞬間、何処からともなくスタートの合図を知らせる鐘がなった。

ーーカーン。

蓮はその合図の音にピンときて、目の色を変えて素早く立ち上がった。

目を光らせ、客席を素早く見渡す。
その間にもーチッチッチッーと無情にも時を刻む音が続いていた。

「あ、いつの間にかカウントダウンが始まっとる!!」

「ってか同棲?!ええ?!敦賀さんが?!」

「こんな展開聞いてへんよ!!」

ブリッジロックも客席もあまりの展開にどうしていいのかわからず、困惑しながらもただ蓮の動きを見守るしかない。
蓮は必死だった。
ザッと舞台上手側の客席に視線を巡らせても、キョーコらしき人物はいない。
さらに反対側の下手側の客席にも素早く視線を巡らすが、やはりそれらしい人物は見当たらなかった。

ーーー客席にはいない!何処だ?!何処だ?!考えろ!スタッフか?!

蓮は素早く会場の隅に散っているスタッフを見回す。

ーーーイヤァァァァァ!!バレたくないぃぃぃ!!

一方キョーコは、蓮の恋人として公表される恐怖に心臓が縮まりそうになり、今すぐここから逃げ出したい衝動に駆られた。

その間にも蓮は必死で思考を働かせる。

ーーー違うっ!30秒以内ということはすぐに捕まる位置…つまり、このステージ上にいるはずだ!!だとしたら…

ーープキュゥゥゥゥゥゥ。

キョーコはこっそり抜き足差し足忍び足で逃げ出そうとしたのだが、足音が出る着ぐるみのせいで失敗に終わってしまった。
蓮はその音を聞いてハッとして振り返った。

バッチリと蓮と坊の目がかち合う。

ーーーいいいいいやぁぁぁぁぁ!!違う違う!僕は坊!僕は坊だよ!!

ブンブンと首を振って、思わず逃げるように後ずさってしまった。
それを見た蓮が驚いた顔をした後、ふっと心底安堵したような笑顔を浮かべる。

ーーーし、しまったぁぁぁ!私の馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

その坊の逃げ腰が、蓮の疑惑を決定付けてしまったことに気付いて、キョーコは坊の中で滂沱の涙を流した。

蓮が長いコンパスを利用してキラキラスマイルで近付いてくる。

ーーーひ、ひいいぃぃぃぃ!!ご勘弁をぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

キョーコは恐れ戦きながら慌てて逃げ出そうとした。

「キミ!待ってくれ!」

ゲストである蓮の呼び掛けをマスコットキャラクターが無視できるわけもなくピタッと立ち止まりギギギっと振り返る。

するとガシッと頭をつかまれ、そのままスポンと問答無用で頭を外され、素顔が晒された。

「見つけた。キョーコ。まさか君が彼だったなんてね…。」

鶏の体から顔を出した自分をモニターに見つけて、キョーコは漸く逃げ場がなくなってしまったことに気付いたのだった。


(続く)

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*****


ここで切っちゃったのでもう少し続きます〜☆

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なくした記憶 50

なかなか難産!!
ローリィが出しゃばって蓮さまの元からキョーコさんを誘拐しようとしたりしそうになり、慌てて軌道修正したりで時間かかりました。
誘拐しないで〜!!!!って感じなので、なんとか誘拐しない方向で書き上げることができました。
誘拐しちゃったら何もかも滅茶苦茶になるところでしたわ(笑)

とりあえず次か、その次あたり最終話になると良いなーという風月の希望的観測。
頑張ります!!!!

あ、冒頭部分は若干限定?って感じの話になってますので、苦手な方はご注意ください。
そしてシーズン終わったくせにクリスマスですみません。


では、お楽しみくださいませ。


*****


なくした記憶 50


熱く溶けるような吐息を交わしているところで、枕元にあった蓮の携帯が音を立てた。

ーーヴーヴーヴー

濃密な空気に響いた振動音。
キョーコはその音に驚いてビクッと大きく肩を揺らし、蓮はその携帯を手に取り、振動を消した。

「久遠…?」

電話じゃないのかと問いかける目に安心させるよう微笑んで答える。

「ん…アラーム。25日になったんだ。」

言いながら蓮の唇がキョーコの肌にチュッチュと甘い音を立てる。
敏感になった身体はその刺激にも身動ぎをした。

「ふぁ…ん…」

そして蓮はキョーコを抱き締めると、耳元に魅惑ボイスで囁いた。

「18歳、お誕生日おめでとう。キョーコ…」

キョーコはこんな体勢で言われたその言葉の響きに羞恥が駆け巡って全身を真っ赤に染めた。

「くっ…ぁ」

キョーコの中に身を沈めていた蓮もそのキョーコの反応に一気に締め上げられ、汗が噴き出る。

「キョーコ…はぁ…」

「ん…ふぁ…久遠…」

キョーコは蓮の首に縋り付きキスを求めた。
蓮はそれに応えながら、キョーコの目を見て言う。

「愛してる。誰よりも君を…。君の誕生日に、こうして君の一番近くで一番におめでとうと言うことができて嬉しいよ。…くっ」

近くも何も、これ以上ないくらい近く…いや、一つになった状態の蓮に言われて、恥ずかしさで益々キョーコの中がきつく締まった。

「も…久遠のバカ…ッ」

「ぅあ、キョーコ…もう…くぅ」

二人で同時に限界を迎え、パタリと力尽きたように重なり合った。



運命の朝はいつも通りの顔をしてやってきた。
キョーコの作る朝食に舌鼓を打ち、弁当を受け取り、行ってきますのキスを愛しい恋人のキョーコへ送って本日一番の現場へ出かける。

今夜はキョーコの為にホテルのディナーも予約しているので、19時から21時の生放送を終えたあとは、わざわざテレビ局の駐車場まで来てくれるというキョーコと落ち合い予約しているレストランへ向かう予定だ。
浮き足立つ気分で次々と仕事をこなし、蓮はその日最後の仕事が待ち構えているTBMへ意気揚々と向かった。

*

「え?!今日のゲスト…く…つ、敦賀さん…なんですか?!」

「あぁ、だから、例の如く絶対に問題を起こすな!粗相もないようになっ!」

キョーコの前で眉間にシワを寄せふんぞり返って言うのは、いかにも俺は偉いと言うような態度のプロデューサーだ。

キョーコは坊の頭を抱きしめながら直前まで明かされなかったゲストの正体を知って目を見開いた。

ーーーそんな…きまぐれに出るなんて一言も…。あ、そっか!シークレットゲストだったからだわっ!

この業界、番組が公開するまで親兄弟にすら話せない誓約書を書かされることもザラにある。
シークレットゲストは番組開始まで知らされないのだが、キョーコは坊としてのエスコートがある為、直前に知らされたのだろう。

ーーーそういえば私…久遠に私が坊の正体って言ってないかも…?

そう思った途端、何故か社長のニヤリ笑が脳裏をよぎり、嫌な予感を感じた。

ーーーまさか…ここで仕掛けてきたりとか…いえ。まさかね。だって生放送だし…。

慌てて己の思考を否定して首を振る。

「おい!聞いてるのか?!」

プロデューサーが何か言ってるが右耳から左耳へ抜けていく。

「坊!エスコート!スタンバイお願いします!!」

「っ!は、はい!!」

呼びに来たスタッフのスタンバイの一言にピッとスイッチを切り替えて、キョーコは坊の頭を被った。

実はゲストの楽屋から舞台裏までのエスコートの間カメラが回るのだ。
面白い時は時々オンエアで流れることもある。
私用の話は一切出来ない。
キョーコにとってはここからがもう本番。
気を引き締めていかなくてはいけない。

ーーーそーよ!何か起こるって決まったわけじゃないんだし、考えるだけ無駄無駄!とにかくこれは仕事なんだから、坊としてやりきるだけ!

坊の足音を響かせて、キョーコは蓮の楽屋の前に立った。

ーーーここにいるのは敦賀蓮。僕(坊)の親友!

スタッフが坊の変わりに部屋をノックし、その扉が開かれたーー。


「あれ…?君は…」

『やぁ、敦賀君!久しぶり!』

手に持ったホワイトボードにサラサラと字を書いて会話をする。
すると、蓮はすぐに喋れない設定だと察してくれ、くすりと柔らかく笑った。

「あぁ、なるほど…。久しぶりだね。まさか君がこの番組のマスコットキャラクターだったとは…」

『あれ?もしかしてこの番組見たことなかった?』

「いや。あるよ。…っていっても予習がてら先ほどね。だから君を見つけて驚いたところだったんだ。」

『なるほどね。まぁ、何はともあれ、歓迎するよ!今日もキマってるね!』

「くす。ありがとう。君もキマってるよ。」

『当然だろう。敦賀君がゲストだと知ってビシッとキメてきたからな。』

「二人は知り合いなの?」

スタッフに尋ねられて、二人は顔を見合わせた。

『ちょっとね。』

「まぁ。彼には前に助けられたことがありまして…。」

「え?敦賀君が…?」

『その辺の面白エピソード使ってもいいかい?』

坊がニヤリと意地悪く問いかけた。
すると、蓮はピタッと立ち止まって、にこりと綺麗な笑顔を浮かべる。

「…いや、ご遠慮するよ。もし、そんなことしたら…わかってるよね?」

蓮の笑顔が最上級に輝いて、坊の中のキョーコは久しぶりの毒吐きスマイルに、ヒッと後ずさった。

『も、モチロン!!秘密は守るよ!俺たち親友だろ?!』

「親友…」

蓮は坊の言葉に、目を見開いた後、フッと柔らかく笑った。
先ほどの嘘毒吐きスマイルと一転して優しい笑顔にキョーコの胸がキュンと痺れた。

「敦賀さん、こちらへ。スタンバイお願いしまーす!」

「あ…はい。じゃ、行ってくるよ。」

会場に着いた途端呼ばれて、蓮はそっちへ向かった。

背中を向けてスタッフの方へ歩きかけた蓮が、小さく「あっ」と声を上げて、坊に振り返って戻ってきたかと思えば、小さな声で坊にだけ聞こえるように言った。

「そうだ。ありがとう。」

ーーーえ?

突然のお礼の意味がわからず、坊が首を傾げると、蓮ははにかみながら照れ臭そうに、それでいて幸せそうに笑った。

「ずっと君に会ったら言いたかったんだ。君、言ってくれただろ?」

ーーーん?何?何のこと?

「『おとせ!』って…」

ーーー?!?!?!

「今、その彼女と付き合ってる。」

ーーーあ、あの時のっ!!

キョーコは坊の中で蓮におとせと脅したあの日のやり取りを思い出してブワッと真っ赤になった。

ーーー自分のことだとは思わなかったのよぉぉぉ!!

「正直、最初言われた時は、鶏のくせにわかったようなことをと思ったけど…」

「ひどいな君も…」

思わずムッとしてうっかり声に出して慌てるが、もうカメラは近くになかった。
蓮はハハッと笑って続ける。

「だけど、彼女と会うたび見惚れてる自分に気付いて、君の言葉が深く刺さった。そして俺は自分の恋心を自覚して、役をやりきり、今は彼女と付き合ってる。一ヶ月前からね。」

「そ、そうか。おめでとう。良かったじゃないか。」

「だから、お礼が言いたかった。本当にありがとう。」

「い、いや、僕は何も…敦賀君の実力サ。」

「いいや、もし君がいなければ俺はもしかしたらあの役を下ろされてたかもしれない。だから本当に感謝してる。」

「おーい!敦賀くーん!」

「じゃあ、また。」

「う、うん。」

「坊もスタンバイしてー。」

スタッフに呼ばれ、蓮の後ろ姿を見送っていたキョーコも慌ててそっちへ向かう。
ドキドキと胸は激しく脈打っていた。

ーーー敦賀さんに坊として接するの…いつもと違う顔が見れてなんだか新鮮…。

蓮の心底嬉しそうなあの顔。
キョーコとの交際を心の底から喜んでることがわかって、くすぐったかった。

坊には恋人としての自分としてじゃない、他の色んな顔も見せてくれる。
今まではタイミングがなくて言えなかったが、もしかしたら、言わない方が良いかもしれない。
自分が坊だとバレたら嫌われちゃうかも。
そんな風に思ってキョーコはステージに板付でスタンバイした。

ーーーダメダメ!今は番組に集中するのよ!キョーコ!!私は…いいえ。僕は坊!!鶏よ!

監督が間もなくスタートの合図を出す。

軽やかなオープニングソングが流れ、カメラはブリッジロックをとらえた。

「やっぱ気まぐれロック!クリスマス特番!!今日のゲストは凄いで〜!」

「俺らの事務所の大先輩!俺らもさっき知ってビックリしたで!」

「芸能界抱かれたい男ランキング第一位!!」

会場から興奮したようなどよめきが起こった。

「「「敦・賀・蓮・さん・だぁぁぁぁ!!」」」

「「「「キャァァァ!!!!レ〜ン〜!!!!」」」」

黄色い歓声と共にスモークが噴き上がり長身のシルエットが浮かんだ。



(続く)

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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

甘くて苦い恋の味*その後

甘くて苦い恋の味*その後


『ちょっとどういうことよぉぉぉ?!』

携帯の向こう側から、唯一無二の親友から怒号が飛んできて、キョーコは驚いた。

「え?モー子さん何かあったの?」

『何かあったの?…じゃないわよ!!結婚ってなに?!ってか相手の男誰よ!!ショーちゃんはどうしたのよ!!』

「お、落ち着いて!モー子さん。」

『これで落ち着いてられるかっての!この招待状はなんなのよ!!アンタこの一週間で一体何があったのよ!!つい一週間前のバレンタインまでショーちゃんショーちゃん言ってたくせにっ!』

「私も何が何だか…急展開すぎて色々あって頭がついていけなくて…」

キョーコがワタワタと答えてる間に玄関のチャイムがなった。

「あ、ごめん!モー子さん誰か来たみたい!!また後で詳しい話は連絡するね!」

『は?!ちょ、待ちなさいよキョ…ーーーー」

「はーーーい!!」

キョーコは奏江からの電話を切ると、インターフォンをとった。

怒涛のバレンタインから一週間。
キョーコの周りはその怒涛のような日々が未だに続いていた。
忙しすぎて目が回り、オチオチ考え事をする間も見つけられない。
そうなった原因はそのバレンタイン当日の夜に遡る。


**

ーーバレンタインの夜。

いつの間にか籍を入れられ、事実上の夫婦になったその日に、初夜とばかりに寝室に連れ込まれ、アレヨアレヨと言う間にベッドの上に押し倒されて、肌蹴られ、キョーコは怯えて涙を溜めつつも意思の強い目でハッキリと宣言したのだ。

「わ、私!バージンロードはバージンのまま歩くって決めてるの!!」

その言葉に、蓮は雷に打たれたようなショックを受けた。

「ーーーッ!!?!!バージンロードを………バージンで…?!」

信じられないと有り有りと顔に書いている蓮の前で、キョーコは恥ずかしそうにプイッと顔を背けた。

「だ、だから…その…」

可愛らしいキョーコのもじもじとしたその反応に益々どうにかしてやりたいという欲が湧き上がるが、キョーコが大好きで大好きで堪らない蓮は、そんなことを言うキョーコを無理やり押し切って嫌われる未来だけは避けたかった。
つまり、キョーコの希望を叶えることが唯一の道なのだ。
己の欲をグッとこらえて、蓮は答えを導き出した。

「…わかりました。結婚式まで、バージンは守るって約束します。」

キョーコがホッとしたような笑顔を浮かべた次の瞬間、目の前の可愛かったはずの後輩は夜の帝王の雰囲気を身に纏った。
初めて見る妖しい微笑みにキョーコが目を見開いて、何かに取り憑かれたようにカチンコチンに固まる。

「結婚式までバージンは守るから…それ以外は、いいですよね?」

「へ?!な、何を…え?!ちょ、やん…つ、敦賀君?!何処触って…」

蓮の大きな手が肌蹴られた服の隙間から滑り込み、胸の膨らみを優しく包み込んだ。
キョーコがカァァッと真っ赤になって身を捩る。

「やだ…あ、んん…」

「最後まではしませんから。先輩を下さい。」

そう言いながらチュウと肌に吸い付く蓮に甘い吐息を零しながら翻弄されてる間に、キョーコはショーツ以外の身包みを全て取り除かれ、その体を撫で回され吸い付かれて堪能されてしまったのだった。


そして次の日の朝、蓮は言った。

「式の日取り、来月の14日に決まりましたから。」

天気の話をするかのようにあまりにもサラッと言われた言葉をキョーコは一瞬聞き逃しそうになった。

「…え?」

「だから俺たちの式ですよ。打ち合わせとか色々休みの日や仕事終わりの時間を使って大忙しだとはおもいますけど…」

「ちょ、ちょっと待って!何の話?!」

「え?だから俺と先輩の結婚式の話ですよ。日取りは来月の3月14日のホワイトデー。」

「?!」

「会場もディヅニーランドのブライダル抑えましたのでご安心ください。」

「えぇぇ?!ディヅニーランド?!」

「はい。あそこのシンデレラ城で結婚式です。」

「シンデレラ城で結婚式?!嘘でしょう?!」

「嘘じゃないですよ。ちゃんと手配済みです。」

「やだっ!!ウソ!夢の国で結婚式挙げられるの?!ええぇ?!夢見たい!!」

「やっぱり。先輩なら絶対喜んでくれると思ってました。」

ディヅニーランドで結婚式のインパクトがあまりにも強く、キョーコがメルヘンの世界に旅立って結婚式が来月ということに考えが戻らぬうちに、結婚式の日取りが確定してしまったのだった。

**

それからずっと怒涛のような日々が続いてるのだ。
昼は仕事、終わってからは式の打ち合わせ、夜はベッドに連れ込まれ身体を撫で回される日々に、キョーコはクタクタだった。

「こんにちはー!出張サロンのテンちゃんで〜す!」

休日の今日も打ち合わせに大忙しの中、蓮が用意してくれた出張サロン。
小柄で明るくて可愛らしいテンと名乗った女性は、これから式まで週に二回、式の直前の一週間は毎日出張に来てくれるという。
服を全て脱がされベッドに横にさせられ、マッサージエステを受けると、キョーコは今までの疲れに飲み込まれるように眠りについていた。

「そうよ!お上手だわ!」

「…ん…?」

キョーコが微睡みから醒めると、弾むような女性の声と低い男の声がした。

「こう…ですか?」

「えぇ!!もうプロ級よぉ!!あぁん!私もダーリンにやって欲しいー!!」

両足の太ももを撫でられてる感覚に、恐る恐る低い声がした方を振り返ると、蓮が嬉しそうに右の太ももをマッサージをしているところだった。

「ひぃっ!」

「あ、キョーコさん起きたんですね?」

「な、何で…蓮君が…」

「ん。キョーコさんにいつでもマッサージ出来るようにこの機会に勉強しとこうと思いまして…」

「だ、だけど…ちょ…や、やだ…」

「じゃあお次はお尻のマッサージ方法を…」

「はい!是非!」

「だ、駄目だってばぁぁぁ!!」

キョーコの絶叫を物ともせず、蓮はテンに丁寧に教えを乞うのだった。


枕を涙で濡らしてうつ伏せで啜り泣いてるキョーコに寄り添って、蓮はそのすべすべさを増した背中を大きな手で宥めるように撫でた。

「ごめんね?キョーコさん、そんなに嫌だった?」

「もう、知らないっ!!」

「キョーコさん、機嫌直して?ね?」

ちゅっちゅっと甘やかすようなキスがこめかみに落とされて、キョーコは真っ赤な顔でチラッと蓮に視線を移してすぐにプイッとそらした。

「パンツ履いてなかったのに…。」

「ん…ごめんね?」

ちゅっちゅっと蓮の甘やかなキスが続く。

「電気もついてた…」

「ん…ごめん。」

「あんなに堂々と人の前で…」

途中から蓮がうっかりキョーコの柔肌にキスしてしまい、それで歯止めが効かなくなって沢山の所有印を刻んで、後からテンにコッテリ絞られてしまったのだ。

「ん…だってキョーコさんが裸でベッドの上にいたら我慢できるはずないじゃないですか。」

「もうっ…バカ!」

「可愛いキョーコさんが悪いんですよ?」

そう言って、蓮はキョーコの唇を捕まえた。

「ん…」

怒っていたはずのキョーコも、蓮のキスに段々と飲み込まれ、寝室に濃密な空気が漂い始めた。

そんなこんなで結婚式までの日々は飛ぶように過ぎていったのだった。



ーーそして迎えたホワイトデー。

結婚式当日はどこまでも澄み切った青空に恵まれた。

招待された人たちはキョーコと蓮が付き合っていたとは知らない人々ばかり。
それもそうだろう交際僅か0日で入籍、それから1ヶ月で結婚式という超々スピード結婚なのだ。
仕事場以外は全てこの結婚式の準備に追われていた為、職場以外の知り合いには寝耳に水だったに違いない。
そして職場の人間にも蓮はまだ正体を明かしていない為、今日は会社の社長の御子息久遠ヒズリと平社員のキョーコが結婚というように思ってる招待客が殆どだった。

新郎の蓮は本来の姿の金髪碧目で、白いタキシードに豪華な装飾が施されたまさしく王子様というような格好をして会場の祭壇前で花嫁を待っていた。

やがて、バンドの演奏が近づいてきて花嫁の到着を告げた。


蓮は常にないほど緊張しながらジッと花嫁が入場するためのカーテンが開くのを待った。
ドクドクと脈を刻む心臓の音が耳に直接届き、1秒が5分にも10分にも感じていた。

やがて左右にフサァと開いたカーテンから、天使や女神にも見間違うほどの女性がブーケを持ち純白のドレスに包まれて立っていて、蓮はその姿に見惚れ固まった。
客席からもほうっというため息が溢れ、誰もがキョーコに釘付けだった。

そんなキョーコが恐る恐る一歩を踏み出し、そしてまた一歩、また一歩を丁寧に進んで近付いて来て、蓮は漸く自分の思考回路が全て止まっていたことに気付いて慌てて背筋を伸ばして花嫁の到着を高揚する気持ちを隠しきれずに待った。

やがて手を伸ばせば触れられる位置に来たキョーコを間近で見た時、蓮は確かに自分の胸が震えているのを感じ取った。
気付かれないよう小さく深呼吸をして、手を差し出す。
キョーコがその手に己の手を掛けた瞬間、蓮は絶対にどんなことがあってもキョーコを自分の手で幸せにしてみせると固く己自身に誓った。

式は滞りなく執り行われ、誓いの言葉を交わし、ガラスの靴に乗せられたリングを受け取り、キョーコの左手を取った。

「キョーコさん…。」

「え…?」

式の途中に話しかけられるとは思ってなかったキョーコは驚いて目を見開いた。

「バレンタインチョコのお返しに…俺自身を、そして俺の人生を受け取ってください。」

そう言って、蓮はキョーコの左手の薬指にキラキラと輝くリングを嵌めた。
キョーコの頰がぽうっと赤らみ、ふにゃっと笑うと、蓮は今すぐ抱き締めたい衝動になりながらも、何とか宥めてヴェールを上げると、情熱的なキスをした。

途端に湧き上がる拍手の音に、キョーコが驚いて蓮の腕をギュッと強く握ったので、蓮は渋々キョーコの唇から己の唇を引き剥がした。

その後も式は滞りなく進められ、ブーケトスもモー子さんこと奏江の手に渡った。
記念撮影などを終えた後はシンデレラ城の前をヴィークル(車)に乗って華やかなパレードに加わる。
車に乗り込もうとした蓮はふと視線を感じてそちらを向いた。
建物の陰からこちらをみてキョーコの姿に見とれているキョーコの幼馴染ショーの姿を見つけて、蓮は勝ち誇ったように口角を上げると、キョーコを振り向かせ、見せつけるようにキスをした。
再び湧き上がった拍手に答えるときにショーの姿はなかったが、あの様子では隠れて地団駄を踏んでるに違いない。

キョーコに手を出したことはなかったとはいえ、キョーコを傷付けた罪は重いのだ。
存分に悔しがればいいと心の中で思いながら、披露宴が始まる前から既に笑顔の下で今日の初夜に思いを馳せる蓮がいたのだった。

披露宴で新郎の正体が敦賀蓮だと明かされたときには、会場中がどよめいた。
蓮を狙っていた女性社員はショックに打ちひしがれ、キョーコを狙っていた男性社員は、蓮なら仕方がないと何となく思ったという。

夢のような結婚式と披露宴でお姫様気分を存分に味わうことができたキョーコは、ディヅニーランドのスィートのホテルのベッドへ最愛の王子様押し倒された。

「久遠…あの…」

「ん?何、キョーコさん…悪いけど、やっぱりダメとか…」

ーー言わせないよ?

「私の全てをもらって下さい。」

「……え?」

「久遠に…貴方に…もらって欲しいの…」

紅潮した頬で、不安と期待が入り混じり、縋るように見つめてくるその潤んだ瞳で言われた言葉に、蓮は目を見開いた。
歓喜に震える手を伸ばして、キョーコの頬を撫でる。

「…うん。うん…。全部、貰うね…キョーコさん…」

「ん…」

擽ったそうに、恥ずかしそうに身をよじるキョーコに唇を重ねて、蓮は漸く愛しい彼女の全てを手に入れることが出来たのだった。

「愛してる…これからも、ずっと…ずっと…」

マシュマロに包まれるような幸せを感じながら二人はホワイトデーの夜を過ごしたのだった。


END

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*****


…ということで、ハッピーホワイトデー♪
蓮様も早く幸せなホワイトデーが過ごせればいいですね♪

続きが読みたい〜の声にお応えして、続きはホワイトデーにしようと考えてたのはいいのですが、うーむ。どうだったでしょうか??
楽しめたらいいのですが…何だか結婚式のところとか説明書きっぽいのが多すぎたかもー?!って思いながらアップしてます。
中々スムーズに書けなくて苦戦しました。
芸能人の蓮だとちょっと違和感あるけど、大手の会社の社長御曹司だったら某夢の国での挙式が有な気がする…と思って、普段書けない方向から攻めてみました。
名前も一字変換しました。決して間違いではないですよ。

書き終えて…
何だか、せっかく続きの要望頂いたのに、こんな仕上がりですみません。
期待に添えてないような気がしないでもないですが、これで精一杯でした。
お粗末様でした(>_<)

皆様も素敵なホワイトデーをお過ごし下さい。

拍手お礼〈23〉

こんにちは。
風月です。

いつも拍手やランキングポチッとをありがとうございます♪

なくした記憶…一気に終わらせたいとか言いながら中々書けず…ローリィさん出ちゃうとやっぱり引っ掻き回されちゃうからやりたい方向になかなか持っていけないのです(>_<)
お待ちの方暫しお待ちくださいませ。
風月個人の希望としては次がラストか、その次がラストで考えてますです。

さてさて、頂いた拍手コメントへのお返事です。
【ラブミー幼稚園〜おパンツ編〜】
ち◯ぞ◆様→おぉ!なんと!!保育所で働いてたことがあるんですね!!そんな方にツボってもらえて嬉しいです。やっぱり遠慮なく触ってきますか!!勝手にあだ名決めたりとかってもう幼稚園からしちゃうんですね!!
そうなのです。このお話は、くおん君の方がレン先生より一枚上手なのです(無邪気で遠慮なんて知らない故に…笑)
そして温泉付きの保育所ってなんですか!それ!!凄すぎですね!!それは思いっきり汚しても後でさっぱりできるからいいですね〜♪
そんな贅沢な保育所があったなんて驚きです!


ち☆ぞ様→うふふ♪気に入っていただけて良かったです☆きっとこの後でレン先生の頭の中はレースの付いた可愛いパンツを履いたキョーコ先生で埋め尽くされてしまうことでしょう(笑)←しかも上半身裸というオプション付きだったりして( *´艸`)
綺麗なクレヨンしんちゃんですか!なるほど〜。たしかに中身は残念な感じでも見た目は美形ですからね♪
ひでひと君も遺伝子の中にナンパ精神が組み込まれてるんでしょうか?(笑)


ゆ◇っち様→たしかにこれからの季節だと水着でプールもありですね〜♪それは振りですか?!振りなんですか?(笑)たしかにレン先生の反応も気になりますねぇ♪楽しんでいただけて嬉しいです☆


拍手やコメントいつも励みにしてます!
ありがとうございます〜♪
目次更新もそろそろしなければっ!って思ってます(汗)
現在はホワイトデー用のお話作成中。
バレンタインにアップした甘くて苦い恋の味の続きの予定です〜(今の所。)
これからもよろしくお願いします♪


ラブミー幼稚園〜おパンツ編〜

意外と好評のこのシリーズ。
調子に乗ってまた書いてしまいました!


*****



ラブミー幼稚園〜おパンツ編〜


「ジャーーン!これなーんだ♪」

ラブミー幼稚園のキョーコ先生の担当するコスモス組は元気な子供達で一杯です。
今日も男の子の人垣の中心に一人の男の子が桃色の布切れを持って立っていました。

「しょうたろう君それなぁに?」

いしばしひかる君が首を傾げて不思議そうに尋ねました。

「あ!おれわかった!!」

きじまひでひと君が目を輝かせて大きな声を上げました。

「それ、パンツだろ!女の人のおパンツだ!!」

「せいかーい!」

ひでひと君の言葉にキョーコ先生が驚いて人垣の中心にいるしょうたろう君に近づきました。

「ちょっと!!しょうたろう君!なんてもの持ってるの?!」

楽しそうなしょうたろう君は、ご機嫌で桃色のショーツをブンブンと振り回してます。

「わー!見せて見せて!!」

「へっへーんいいだろ。家にあったの持ってきたんだぜ。」

「これしょうたろうくんのお母さんの?」

あっという間に興味津々の男の子たちが教室中から集まってきました。

「ちょっと、皆んな!お絵描きしよう!ね?お絵描きしましょう?」

お絵描きに気をそらせようとキョーコ先生は奮闘しますが、男の子たちの興味はパンツに向いてしまっています。
ワタワタと慌てるキョーコ先生をニヤニヤとした顔で見ていたしょうたろう君は、わざと大きな声を上げて問いかけました。

「ってゆーかさ、キョーコせんせいはどんなパンツ履いてんの?」

男の子たちの視線がザザッと怖いくらい一斉にキョーコ先生へむきなおりました。

「…ふぇ?!」

キョーコ先生は驚いて真っ赤な顔で固まってしまいました。

「キョーコせんせいは、いろけってものがないからクマさん柄のダッセーの履いてたりして〜」

ニヤニヤと言うしょうたろう君の言葉に、キョーコ先生はついうっかり答えてしまいました。

「な?!し、失礼ね!!ちゃんとレースの付いた可愛いパンツ履いてるわよ!」

「ブホッ!!」

レン先生が急に吹き出したような気配がしましたが、男の子たちと対峙しているキョーコ先生は気付きません。

「じゃー、しょうこ見せろよ!」

しょうたろう君がそう言うと、男の子たちから「そうだそうだ!」と声が上がりました。

「おれもみたい!キョーコせんせいのおパンツ〜!」

「せんせい、見せて見せて〜」

「おーパンツ!おーパンツ!!」

ワラワラと子供達がキョーコ先生の元に集まり、おパンツコールをし始めてしまいました。

「へ?!ちょ、ちょっと…みんな…」

ワタワタと慌てるキョーコ先生に助け舟を出すため、レン先生が立ち上がろうとした時です。

「ダメだよ!!みんな!!」

キョーコ先生のための正義のヒーローくおん君が立ち上がりました。

「キョーコせんせいが困ってるだろう!!」

「なんだよ!くおん君!くおん君はキョーコせんせいのパンツ見たくないのかよ?」

みんなを代表してひでひと君が問いかけると、くおん君はキョーコ先生の前に立ちはだかり、両手を広げて庇うと、キッと強い目でひでひと君を睨みつけました。

「キョーコせんせいは僕のだもん!」

「くおん君…!」

キョーコ先生には小さなくおん君がとっても頼もしく見え、身を呈して守ろうとしてくれてる姿に感動してしまいました。

「だから、だから…キョーコ先生のおパンツも、全部僕のなんだもん!!」

「へ?!」

くおん君の発言に、キョーコ先生は真っ赤になりました。

ーーメキッ

何かが後ろで壊れる音がしましたが、それどころではありません。

「く、くおん君?」

「えー。つまんないのー。」

「くおん君が言うなら仕方ないや。」

興味が失せたようにみんなバラバラと元いた場所に戻っていきます。

くおん君はキョーコ先生を振り返るとエンジェルスマイルでニコッと微笑みました。

「ね?キョーコせんせい。キョーコせんせいは、絶対に他の人におパンツ見せたらダメだからね!」

キョーコ先生は最早何と返したら良いのかわからず、真っ赤な顔で口をハクハクさせてしまいました。

ーーメキボキッ

「あーー!レンせんせいがテーブル壊したぁ!!」

ラブミー幼稚園の子供達はキョーコ先生とレン先生を無邪気に振り回しながら今日も元気いっぱいです。



おしまい。

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*****


本当はレン様に絵の具を握らせて握りつぶしたところで絵の具が物凄い距離を飛んで…ってのを考えてたのですが、いやいや、幼稚園って絵の具ってチューブに入ってるのじゃなくて水で溶かして使うタイプのだよなー。お絵かきならもっぱらクレヨンだよなー。と思って絵の具を持たせるのやめました。

絵の具を持ってたら広い部屋の端から端まで届く勢いで飛んだに違いありません(笑)

今回のネタは、頂いた某様からのコメントで、「ひでひと君やしょうたろう君も入り混じって、老若問わずキョーコ先生の争奪戦がみたい!」というお声で考えつきました。
って言っても今回の争奪戦はキョーコ先生のおパンツになっちゃいましたけどね!(笑)

なくした記憶 49

なくした記憶 49


「………不気味だわ…」

キョーコはテレビを睨みつけるようにしながらソファの上でヌンッとした顔で呟いた。

「キョーコ?どうしたの?」

蓮の不思議そうな声に慌てて意識を取り戻す。

「え?あ、久遠!」

振り返れば、お風呂から上がったのかパジャマに着替えタオルを肩に掛けガシガシと頭を拭いている蓮がすぐそばに立っていた。

「何か考え事?」

「いえ、あの、大したことではないんだけど、あの社長が何も仕掛けてこないのが不気味だなぁと思って…」

「あぁ…確かに…。あれから何もないままもう一ヶ月か…」

蓮は一ヶ月前のことを思い出した。

**

『え?社長にばれた?』

キョーコはシュンとして蓮の前に正座していた。

『それは…いつ?』

『今日の昼間、モー子さんに話してるところ聞かれちゃって…』

蓮が目を見開く。

『ご、ごめんなさいー!!』

キョーコが蓮に涙目で渾身の土下座をした。

『え?あ、ああ。キョーコ、いいから顔を上げて。』

蓮は優しい声でキョーコを諭すと顔を上げさせた。

『でも…』

『明日…』

『…え?』

『明日、俺からも社長に報告してくるよ。』

『で、でも…あの…』

忙しい蓮を気遣っているだろうキョーコは申し訳なさそうに眉尻を下げた。

『大丈夫だよ。明日は俺も現地に行くの10時からだから朝はたっぷり時間がある。』

『そう…なんですね。』

『うん。だから安心して?ほら、片付け終わったならお風呂はいっておいで。』

優しい蓮の笑みにキョーコは安心したように微笑み返すと、元気良くお風呂場に向かった。
後に残された蓮は、ふぅと深く息を吐いて、携帯を手に握りしめたのだった。

*

『やぁっと来やがったか。待ちくたびれたぞ。』

訪れたのは翌日の早朝。
社長の部屋をノックすれば「入れ。」の一言の後に、顔を見て言われた言葉がそれだった。

バスローブを羽織っていかにも社長の椅子というような革張りの立派な椅子に踏ん反り返って、ニタニタと蓮を見ている。

『社長、報告が遅くなって申し訳ありません。』

きっちりと90°の角度で頭を下げれば、ソファを示され、「まぁ座れ」と促される。

『で?いつからだ?』

何がとは聞かなくてもわかる。

『先週の金曜日、俺が記憶を取り戻した次の日です。』

『そうか…』

ふーっとローリィが葉巻の吸い込んだ煙を吐き出した。

『どうだ。蓮、そろそろ公表してみる気はねぇか?』

蓮が目を見開く。
恐らくローリィの口にした公表とはキョーコとの交際についてではなく、己の出生についてだ。

『…え?』

『本気なんだろう?最上君のことは。』

『勿論です!この先、結婚することも視野に入れてます。』

『だったらよ、どーだ?お前の両親のこともこの間の記憶のことも全て公表して、最上君への公開プロポーズに繋げるってのは…』

『え?!記憶のことは構いませんが、両親のことはまだ…。それに、プロポーズも、今は付き合い始めたばかりですよ?しかも彼女は、まだ高校生ですし…。』

『なぁーに。プロポーズしたからってすぐに結婚しなきゃいけないわけはあるめぇ。その辺はお前がうまーくフォロー入れて高校卒業したらとか、20歳になったらってことにしたら良い。』

『でも、もし断られたら…』

『なんだ?断られたらあっさり諦めるのか?その程度の想いなのか?』

『な?!そんなわけないじゃないですか!勿論断られても諦める気なんて微塵もありませんよ!だけど…そういうことじゃなくて…』

『まぁ、わかってるよ。お前にとっては急過ぎるだろうが、アッチがな…もう抑えが利かないみたいで…』

『…は?』

『俺はお前の意識も戻ったし軽傷だったから騒ぎ立ててなかったんだが、アッチがよ。知っちまったみてぇでな…お前が事故に遭っちまったってのを。』

蓮は目を見開いた。

『大事な一人息子がよ、事故に遭ったって知ってから、何度もなんども電話が来るんだ。居ても立っても居られないみたいで、いつこっちに返してくれるんだ!ってうるせぇんだよ。』

『で、でもっ…』

困惑する蓮に、ローリィは人差し指を一本だけ立てて、ズイッと蓮に近付けた。

『いいか、蓮!何処まで明らかにするかはお前に任せる。チャンスは一回だけ俺が用意してやる。それが俺からお前への激励の愛の試練だ。だが、そのチャンスを逃したら覚悟しろよ?掴めるもん掴めなかったらそれなりのペナルティも用意しとくからな。』

ローリィから決定事項として言い渡され、蓮は返す言葉も見つけられず、ただ息を呑むしかなかった。

**


回想を終え、視線をキョーコに戻した蓮は、キョーコの横に腰掛けると、そっとキョーコの肩に腕を回して、己の方へ引き寄せた。

「久遠?」

一体どんな形でローリィからそのチャンスを作られるのかわからない。
だけど、この一ヶ月で蓮自身の覚悟も出来たし、キョーコの左手の薬指に贈る為の指輪も出来た。

確実にその時は近付いてる。
そんな確信が蓮にはあった。

「大丈夫だよ。あの人の考えあってのことだと思うから。」

「そう…でしょうか?」

まだ不安そうな様子のキョーコに蓮は優しく問いかけた。

「ねぇ、キョーコ。」

「はい?」

「俺のこと好き?」

「ふぇあ?!は、はい!!それは勿論!!」

「ずっと一緒にいてくれる?」

「…久遠が、そう望んでくれるなら…。」

「ありがとう…。」

甘い空気が二人の間に満ち始めた。

「…ん…」

優しい口付けから始まり、徐々にそれを深めて、二人は燃えるような想いをその身体で重ねていく。


そして世は更け、ベッドへ移動し仲睦まじく過ごすうちに時計の針が0時を指した。

そして二人の運命の1日は、電子音とともに始まった。


(続く)

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*****


気分転換で他のお話書いたおかげでやっと書けました♪
さてさて、ここから頑張るぞー!

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

拍手お礼〈22〉*

うっかりしてる間に拍手総数3500超えてました!!
いつも皆さん、読むだけでなく暖かい拍手までありがとうございます♪

拍手に頂いたコメントへのお返事です。
ありがたやー( *´艸`)

【甘くて苦い恋の味*後編】
わかば芽々子〜様→怒涛の展開を楽しんでいただけて嬉しいです!コメントありがとうございます☆

【恋心の涙】
ち◯ぞ◆様→いつもコメント感謝感激です!そして今回コメント頂いてうっかりENDつけ忘れてたことに気付きました(汗)続きはまだ浮かんでないので、もし浮かんだらチャレンジしてみようと思います!!
動揺蓮様…楽しいですよね!!


あき様→この後の展開ですか!ううむ。実はノープランでして、どうしましょ!!取り敢えず今度はキョーコちゃんを狼狽えさせる番?(笑)


へなへなっち様→やや!意外と続きへのお声がいくつかあったので、チャレンジしようかな〜?って気にはなってきました(笑)←浮かぶかは別として。
って色々ネタ提供ありがとうございます!!
なるほどなるほど〜♪全部入れれるかはわかりませんが考えてみます〜☆

皆さんコメントありがとうございます!!




さてさて、総拍手数が3500を超えましたので、サプライズショートストーリーの続きです。
お楽しみください☆


*****


敦賀さんの不思議体験*11*


蓮のキョーコへの想いが爆発する。

ーーー好きだ!!好きだ!!最上さんが…

〈好きだぁぁぁぁ!!!!〉

『…え?今、何か聞こえた?』

キョーコはキョロキョロと辺りを見回した。

そして蓮の頭がグリグリと動いた。

『きゃっ!え?な、何?!今の…!』

キョーコは己の胸に僅かに走った違和感に目を丸くした。

『今…何かが胸に擦りつけられたような…』

ーーーう、動けた!今…動けたよな?!

蓮は目を丸くした。
確かに今、一瞬だけキョーコの胸に顔を擦りつけることが出来たのだ。

『敦賀さん…?』

キョーコが、胸に抱えた蓮人形の顔を訝しげに覗き込んだ。


(続く)

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続きは4000総拍手数あたりでアップ予定です♪

拍手お礼〈21〉

ラブミー幼稚園…意外と好評で嬉しかったです!
ありがとうございます♪時々続編的なの書いていきたいですね〜♪

さてさて、頂いた拍手コメントへのお返事です!!

【ラブミー幼稚園〜お昼ご飯〜】
ち◆◯う様→くおんくん、頑張ってニンジンさん食べました♪偉いですよね!それに引き変え、レン先生ってば大人気ない(笑)ありがとうございます!そう言って頂けると気が楽です。
楽しみながらが一番ですよね!


ち◎ぞ様→このシリーズ気に入っていただけて嬉しいです!!ふふ♪くおん君とレン先生…勝敗はどっちに上がるんでしょうね?(笑)ひでひと君やしょうたろう君まで参戦してきたらもう大変な騒ぎですね!!でもそれも面白そう〜♪
ワタワタするキョーコ先生とそれを寂しそうな目で見つめるワンコ先生…あ、間違えました!レン先生!(笑)
浮かんだらチャレンジしてみますね!!素敵なご提案ありがとうございます♪


かばぷー様→かわええと言っていただけて良かったです(笑)くおん君を頑張って可愛く描いてるのですが、何故かそれ以上のインパクトを残したがるレン先生(笑)
キョーコ先生の気をひくことに必死です。
書ける時に書ける内容で…そうですね!
そうやって自由に書いたほうが多分面白いですよね♪ありがとうございます☆


たくさんの拍手、いつも感謝感激です☆
ありがとうございますー!!
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