なくした記憶 32

2016年01月14日22:00  なくした記憶/スキビ!《完結》

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なくした記憶 32


悪夢に取り付かれそうになったところで、暖かい温もりに抱き締められた。
目を開くと目の前にいるのは、真っ白なドレスを身に纏った天使の姿…。

抱きついて来た天使が、ニッコリと微笑んだのを見てわかった。
あぁ、この天使は不破のプロモに出ていた最上さんだと。

ーーー君と子供の頃に初めて出会ったこの森で、天使の君は俺を抱き締めて包み込んでくれるのか?

ーーー俺を、許してくれるのだろうか?あんなに酷いことをして傷付けてしまったと言うのに…

罪深い自分が真っ白な天使を抱きしめることに戸惑い、抱きしめ返すことが出来なかった。

そんな蓮に、天使の囁きが降ってくる。

『お願い。一人で苦しまないで…。ずっと私が側にいますから。』

その声に、その温もりに、愛しさが溢れ出す。

抱きしめ返そうと、腕に力を入れると、天使はあっという間に目の前から消えてしまった。

呆然と立ち尽くしている蓮に、また天使の囁きが聞こえて来た。

『側にいますから。貴方の側にいますから。お願い。戻って来て。』

天使の姿は消えても、胸に天使の温もりは残ってる。

蓮はその天使の温もりを確かめるように、瞳を閉じて抱き締めた。
胸に広がる愛しさを伝えるように。

すると、フワッと香る彼女の香りに、蓮の意識が急速に浮上して行く。

ーーーまだ、目覚めたくないのに…。最上さんと一緒にいることが出来るなら、たとえ夢の中だけでもー…。

蓮はそう思いながら、ベッドの中で目を開けた。



「あ…れ?俺…」

蓮が目を醒ますと室内は真っ暗闇に覆われていた。それでも横たわっているのは、自分の部屋のベッドルームだということだけはわかった。

ーーー随分、長いこと眠っていた気がするな…。

呆然と暗闇を見つめ、蓮は考える。

ーーー今、何時だろ?

蓮がデジタル時計に目を移すと、時刻は23時半になろうとしていた。

ーーーじゃあ、まだ眠ることが出来るか…。さっきの夢の続き見れるかな?

蓮はぼんやりとそんなことを考えながら目を閉じ、無意識に胸にある温もりを抱き寄せた。

柔らかい温もりと、優しい香りに蓮は一瞬顔を緩めるのだが、一気に覚醒する。

ーーーんな?!誰だ?!!!誰かと一緒に寝てる?!!!

蓮が慌てて布団を捲ると、そこには蓮に抱き付いて眠るキョーコの姿があった。
その顔には幾つもの涙の跡がある。

ーーーも、がみさん?!?!え?!何で?!ーー………。夢??かな…?夢…だよな?そうだよな?こんなに都合のいいことある訳ないもんな。それにしても、妙にリアルな夢だな…。

蓮は柔らかい目でキョーコを見つめた。

ーーー本当に、夢の中でも君は俺を煽ってくれるんだな。

蓮はキョーコの柔らかい髪をさらさらと撫でると、そこにキスを落とした。

柔らかくてスベスベなほっぺたを軽くなで、柔らかな唇にキスを落とそうと顔を近付けると、蓮はピタリとスレスレの所で思い留まった。

「う…ん…」

蓮の腕の中でキョーコが身をよじり、気持ち良さそうな顔を蓮に向ける。

ーーーちょっと待て!!本当に…夢なのか?!こんなにリアルなのに?!

すやすやと眠るキョーコの姿を眺める。

もう一度布団を捲ると、お互いに服を着ていることを確認して、蓮は混乱した。

ーーーえ?!何で最上さんがここに?!ほ、本物?!

蓮の心臓が飛び出さんばかりに激しく脈打ち出し、その身体を恐る恐る抱き締める。

胸に乗る柔らかな感触と、甘い香りに蓮の頭はクラクラとしてしまう。

ドキドキとキョーコの寝顔を見つめていると、玄関のチャイムの音が鳴った。

蓮が起きようかどうしようか迷っていると、玄関を誰かが開ける気配がした。

ーーー他にも…誰か来てるのか?誰だ?

足音は複数分聞こえてくる。少なくとも二人以上はいそうなことがわかった。

念のため、キョーコを守るために、蓮はキョーコの頭から布団を掛け、庇うように抱き締めた。

寝室のドアの前でボソボソと会話をする声に聞き覚えがあり、蓮は安心してホッと息を吐き出したが、今の状況を考えて、イヤイヤと頭を振った。

キョーコと一緒に同じベッドに寝ているなんて、見つかったら何を言われるか溜まったもんじゃない。

蓮は、不本意ながら腕の中で眠っているキョーコを起こすことにした。

「最上さん…最上さん、起きて。」

ゆさゆさとキョーコを揺り動かすと、キョーコはまだ眠りたいのか、不機嫌そうに顔を歪めてギュッと更に抱き付いてくる。

そんなキョーコの行動に、蓮は照れて真っ赤になりながら声を掛けたが、キョーコは一向に起きる様子がない。

ふぅ…と溜息を付いた蓮が、キョーコに呼びかけた。

「最上さん…起きて?起きないと…キスするよ?」

蓮はキョーコの髪をピンピンと引っ張りながら言うのだが、キョーコはいい夢でも見てるのか、にへらと微笑んでいる。

「本当に、キスしちゃうよ?…いいんだね?」

蓮は、寝ているキョーコに卑怯だと思いつつ確認を取り顔を近付ける。

ドキドキと高鳴る心臓を無視して、駄目だと思いながらも止められなかった。

ーーーキョーコの唇を味わいたい。

蓮はその誘惑に負けて、キョーコに覆いかぶさると、とうとう口付けた。

嫉妬に任せてしたキスとは違う。キョーコの唇を味わうようなキスに、蓮は高揚する気分を抑えられない。

柔らかいキョーコの唇を味わっていると、キョーコが目を醒した。

「んっ…ふっ。」

目醒めても、拒絶の反応をしないキョーコに、蓮のキスはますます深くなる。
蓮が舌をキョーコに絡ませると、それにキョーコもたどたどしくも答えてくる。
蓮とキョーコはお互いの両手の指を絡ませて握り合って、キスを交わした。

幸せで満たされる果てしなく甘いキスを繰り返す。

蓮がキョーコの手から両手を離し、キョーコの身体を両手で包むと、キョーコはその手を蓮の首に回した。

蓮の手がキョーコの身体を撫でても、キョーコから抵抗はなく、むしろ気持ち良さそうな甘い吐息が漏れる。

蓮の理性が切れかけた時、強めのノックの音が部屋に響いた。

二人の身体がビクリと揺れる。

ちゅっと離れた唇に、名残惜しげな視線を互いに残して、二人は互いを見つめあった。

キョーコの潤んだ瞳と赤く染まった頬と、少しだけ荒くなった息に蓮は見惚れる。

そのまま、その身体に溺れたくなった時に、もう一度、強めのノックの音が響いて、キョーコも蓮も我に返って、互いに顔を赤らめた。

「く、久遠!!お願い、今は、は、離れて。」

「あ、ご、ごめん…」

キョーコに言われて、パッと身を離した蓮だったのだが、キョーコの発した言葉に固まった。

そんな蓮の様子に気付かずに、キョーコは蓮のベッドから飛び降りると、慌てて扉に小走りで向かった。

「はーい!!」

恥ずかしさを隠すため、キョーコが元気な声を出し、扉を開けると、そこには社、ローリィ、蓮の主治医の先生が立っていた。

「やぁ、最上君。大丈夫かね?蓮が倒れたって社から報告受けたんだが、様子はどうだ?」

「あ!今、目が覚めたようです。すみません。何時の間にか私まで眠っちゃってて、ノックにすぐに気付けませんでした。」

「いや、それはいいよ。じゃあ、入っていいかな?」

「あ、はい。どうぞ。」

キョーコが促し、三人が中に足を踏み入れる。

「あ!電気…付けますね。」

キョーコは室内が暗いのに気付いて、部屋の明かりを付けた。

「よう。蓮!倒れた割には顔色も良さそうだな。」

蓮は、キョーコに久遠と呼ばれたことに動揺していたが、ローリィから蓮と呼ばれたことで、聞き間違いだと思い込んだ。

「社長…。お陰様で…この通りピンピンしてますよ。」

「んで?何で倒れたんだ?」

「……え?何で…??」

蓮は、ローリィに尋ねられても、何故倒れたのか理由がわからなかった。
と言うよりは、倒れたと言う認識を持っていなかった。

頭を捻る蓮に、ローリィは眉間にシワを寄せ、訝しげに問いかけた。

「お前…今、いくつだ?」

「は????」

ローリーの問いかけに、蓮は意味がわからず、疑問符を浮かべた。

「お前の名前は?」

更に問い掛けるローリィに疑問符を浮かべたまま、蓮は口を開いた。

「敦賀蓮。21歳ですが?」

それが何か?と言う蓮の答えに、主治医が目を輝かせ、ローリィは目を見開いた。


(続く)
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*****


お待たせしました!!
ようやく蓮の記憶が戻りました♪

ここからどうなるのかは次回お楽しみにー♪( ´ ▽ ` )ノ


※Amebaで2012/02/04に公開した話を若干訂正したものです。
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