甘くて苦い恋の味*その後

2016年03月14日08:42  短編(パラレル)/スキビ!

甘くて苦い恋の味*その後


『ちょっとどういうことよぉぉぉ?!』

携帯の向こう側から、唯一無二の親友から怒号が飛んできて、キョーコは驚いた。

「え?モー子さん何かあったの?」

『何かあったの?…じゃないわよ!!結婚ってなに?!ってか相手の男誰よ!!ショーちゃんはどうしたのよ!!』

「お、落ち着いて!モー子さん。」

『これで落ち着いてられるかっての!この招待状はなんなのよ!!アンタこの一週間で一体何があったのよ!!つい一週間前のバレンタインまでショーちゃんショーちゃん言ってたくせにっ!』

「私も何が何だか…急展開すぎて色々あって頭がついていけなくて…」

キョーコがワタワタと答えてる間に玄関のチャイムがなった。

「あ、ごめん!モー子さん誰か来たみたい!!また後で詳しい話は連絡するね!」

『は?!ちょ、待ちなさいよキョ…ーーーー」

「はーーーい!!」

キョーコは奏江からの電話を切ると、インターフォンをとった。

怒涛のバレンタインから一週間。
キョーコの周りはその怒涛のような日々が未だに続いていた。
忙しすぎて目が回り、オチオチ考え事をする間も見つけられない。
そうなった原因はそのバレンタイン当日の夜に遡る。


**

ーーバレンタインの夜。

いつの間にか籍を入れられ、事実上の夫婦になったその日に、初夜とばかりに寝室に連れ込まれ、アレヨアレヨと言う間にベッドの上に押し倒されて、肌蹴られ、キョーコは怯えて涙を溜めつつも意思の強い目でハッキリと宣言したのだ。

「わ、私!バージンロードはバージンのまま歩くって決めてるの!!」

その言葉に、蓮は雷に打たれたようなショックを受けた。

「ーーーッ!!?!!バージンロードを………バージンで…?!」

信じられないと有り有りと顔に書いている蓮の前で、キョーコは恥ずかしそうにプイッと顔を背けた。

「だ、だから…その…」

可愛らしいキョーコのもじもじとしたその反応に益々どうにかしてやりたいという欲が湧き上がるが、キョーコが大好きで大好きで堪らない蓮は、そんなことを言うキョーコを無理やり押し切って嫌われる未来だけは避けたかった。
つまり、キョーコの希望を叶えることが唯一の道なのだ。
己の欲をグッとこらえて、蓮は答えを導き出した。

「…わかりました。結婚式まで、バージンは守るって約束します。」

キョーコがホッとしたような笑顔を浮かべた次の瞬間、目の前の可愛かったはずの後輩は夜の帝王の雰囲気を身に纏った。
初めて見る妖しい微笑みにキョーコが目を見開いて、何かに取り憑かれたようにカチンコチンに固まる。

「結婚式までバージンは守るから…それ以外は、いいですよね?」

「へ?!な、何を…え?!ちょ、やん…つ、敦賀君?!何処触って…」

蓮の大きな手が肌蹴られた服の隙間から滑り込み、胸の膨らみを優しく包み込んだ。
キョーコがカァァッと真っ赤になって身を捩る。

「やだ…あ、んん…」

「最後まではしませんから。先輩を下さい。」

そう言いながらチュウと肌に吸い付く蓮に甘い吐息を零しながら翻弄されてる間に、キョーコはショーツ以外の身包みを全て取り除かれ、その体を撫で回され吸い付かれて堪能されてしまったのだった。


そして次の日の朝、蓮は言った。

「式の日取り、来月の14日に決まりましたから。」

天気の話をするかのようにあまりにもサラッと言われた言葉をキョーコは一瞬聞き逃しそうになった。

「…え?」

「だから俺たちの式ですよ。打ち合わせとか色々休みの日や仕事終わりの時間を使って大忙しだとはおもいますけど…」

「ちょ、ちょっと待って!何の話?!」

「え?だから俺と先輩の結婚式の話ですよ。日取りは来月の3月14日のホワイトデー。」

「?!」

「会場もディヅニーランドのブライダル抑えましたのでご安心ください。」

「えぇぇ?!ディヅニーランド?!」

「はい。あそこのシンデレラ城で結婚式です。」

「シンデレラ城で結婚式?!嘘でしょう?!」

「嘘じゃないですよ。ちゃんと手配済みです。」

「やだっ!!ウソ!夢の国で結婚式挙げられるの?!ええぇ?!夢見たい!!」

「やっぱり。先輩なら絶対喜んでくれると思ってました。」

ディヅニーランドで結婚式のインパクトがあまりにも強く、キョーコがメルヘンの世界に旅立って結婚式が来月ということに考えが戻らぬうちに、結婚式の日取りが確定してしまったのだった。

**

それからずっと怒涛のような日々が続いてるのだ。
昼は仕事、終わってからは式の打ち合わせ、夜はベッドに連れ込まれ身体を撫で回される日々に、キョーコはクタクタだった。

「こんにちはー!出張サロンのテンちゃんで〜す!」

休日の今日も打ち合わせに大忙しの中、蓮が用意してくれた出張サロン。
小柄で明るくて可愛らしいテンと名乗った女性は、これから式まで週に二回、式の直前の一週間は毎日出張に来てくれるという。
服を全て脱がされベッドに横にさせられ、マッサージエステを受けると、キョーコは今までの疲れに飲み込まれるように眠りについていた。

「そうよ!お上手だわ!」

「…ん…?」

キョーコが微睡みから醒めると、弾むような女性の声と低い男の声がした。

「こう…ですか?」

「えぇ!!もうプロ級よぉ!!あぁん!私もダーリンにやって欲しいー!!」

両足の太ももを撫でられてる感覚に、恐る恐る低い声がした方を振り返ると、蓮が嬉しそうに右の太ももをマッサージをしているところだった。

「ひぃっ!」

「あ、キョーコさん起きたんですね?」

「な、何で…蓮君が…」

「ん。キョーコさんにいつでもマッサージ出来るようにこの機会に勉強しとこうと思いまして…」

「だ、だけど…ちょ…や、やだ…」

「じゃあお次はお尻のマッサージ方法を…」

「はい!是非!」

「だ、駄目だってばぁぁぁ!!」

キョーコの絶叫を物ともせず、蓮はテンに丁寧に教えを乞うのだった。


枕を涙で濡らしてうつ伏せで啜り泣いてるキョーコに寄り添って、蓮はそのすべすべさを増した背中を大きな手で宥めるように撫でた。

「ごめんね?キョーコさん、そんなに嫌だった?」

「もう、知らないっ!!」

「キョーコさん、機嫌直して?ね?」

ちゅっちゅっと甘やかすようなキスがこめかみに落とされて、キョーコは真っ赤な顔でチラッと蓮に視線を移してすぐにプイッとそらした。

「パンツ履いてなかったのに…。」

「ん…ごめんね?」

ちゅっちゅっと蓮の甘やかなキスが続く。

「電気もついてた…」

「ん…ごめん。」

「あんなに堂々と人の前で…」

途中から蓮がうっかりキョーコの柔肌にキスしてしまい、それで歯止めが効かなくなって沢山の所有印を刻んで、後からテンにコッテリ絞られてしまったのだ。

「ん…だってキョーコさんが裸でベッドの上にいたら我慢できるはずないじゃないですか。」

「もうっ…バカ!」

「可愛いキョーコさんが悪いんですよ?」

そう言って、蓮はキョーコの唇を捕まえた。

「ん…」

怒っていたはずのキョーコも、蓮のキスに段々と飲み込まれ、寝室に濃密な空気が漂い始めた。

そんなこんなで結婚式までの日々は飛ぶように過ぎていったのだった。



ーーそして迎えたホワイトデー。

結婚式当日はどこまでも澄み切った青空に恵まれた。

招待された人たちはキョーコと蓮が付き合っていたとは知らない人々ばかり。
それもそうだろう交際僅か0日で入籍、それから1ヶ月で結婚式という超々スピード結婚なのだ。
仕事場以外は全てこの結婚式の準備に追われていた為、職場以外の知り合いには寝耳に水だったに違いない。
そして職場の人間にも蓮はまだ正体を明かしていない為、今日は会社の社長の御子息久遠ヒズリと平社員のキョーコが結婚というように思ってる招待客が殆どだった。

新郎の蓮は本来の姿の金髪碧目で、白いタキシードに豪華な装飾が施されたまさしく王子様というような格好をして会場の祭壇前で花嫁を待っていた。

やがて、バンドの演奏が近づいてきて花嫁の到着を告げた。


蓮は常にないほど緊張しながらジッと花嫁が入場するためのカーテンが開くのを待った。
ドクドクと脈を刻む心臓の音が耳に直接届き、1秒が5分にも10分にも感じていた。

やがて左右にフサァと開いたカーテンから、天使や女神にも見間違うほどの女性がブーケを持ち純白のドレスに包まれて立っていて、蓮はその姿に見惚れ固まった。
客席からもほうっというため息が溢れ、誰もがキョーコに釘付けだった。

そんなキョーコが恐る恐る一歩を踏み出し、そしてまた一歩、また一歩を丁寧に進んで近付いて来て、蓮は漸く自分の思考回路が全て止まっていたことに気付いて慌てて背筋を伸ばして花嫁の到着を高揚する気持ちを隠しきれずに待った。

やがて手を伸ばせば触れられる位置に来たキョーコを間近で見た時、蓮は確かに自分の胸が震えているのを感じ取った。
気付かれないよう小さく深呼吸をして、手を差し出す。
キョーコがその手に己の手を掛けた瞬間、蓮は絶対にどんなことがあってもキョーコを自分の手で幸せにしてみせると固く己自身に誓った。

式は滞りなく執り行われ、誓いの言葉を交わし、ガラスの靴に乗せられたリングを受け取り、キョーコの左手を取った。

「キョーコさん…。」

「え…?」

式の途中に話しかけられるとは思ってなかったキョーコは驚いて目を見開いた。

「バレンタインチョコのお返しに…俺自身を、そして俺の人生を受け取ってください。」

そう言って、蓮はキョーコの左手の薬指にキラキラと輝くリングを嵌めた。
キョーコの頰がぽうっと赤らみ、ふにゃっと笑うと、蓮は今すぐ抱き締めたい衝動になりながらも、何とか宥めてヴェールを上げると、情熱的なキスをした。

途端に湧き上がる拍手の音に、キョーコが驚いて蓮の腕をギュッと強く握ったので、蓮は渋々キョーコの唇から己の唇を引き剥がした。

その後も式は滞りなく進められ、ブーケトスもモー子さんこと奏江の手に渡った。
記念撮影などを終えた後はシンデレラ城の前をヴィークル(車)に乗って華やかなパレードに加わる。
車に乗り込もうとした蓮はふと視線を感じてそちらを向いた。
建物の陰からこちらをみてキョーコの姿に見とれているキョーコの幼馴染ショーの姿を見つけて、蓮は勝ち誇ったように口角を上げると、キョーコを振り向かせ、見せつけるようにキスをした。
再び湧き上がった拍手に答えるときにショーの姿はなかったが、あの様子では隠れて地団駄を踏んでるに違いない。

キョーコに手を出したことはなかったとはいえ、キョーコを傷付けた罪は重いのだ。
存分に悔しがればいいと心の中で思いながら、披露宴が始まる前から既に笑顔の下で今日の初夜に思いを馳せる蓮がいたのだった。

披露宴で新郎の正体が敦賀蓮だと明かされたときには、会場中がどよめいた。
蓮を狙っていた女性社員はショックに打ちひしがれ、キョーコを狙っていた男性社員は、蓮なら仕方がないと何となく思ったという。

夢のような結婚式と披露宴でお姫様気分を存分に味わうことができたキョーコは、ディヅニーランドのスィートのホテルのベッドへ最愛の王子様押し倒された。

「久遠…あの…」

「ん?何、キョーコさん…悪いけど、やっぱりダメとか…」

ーー言わせないよ?

「私の全てをもらって下さい。」

「……え?」

「久遠に…貴方に…もらって欲しいの…」

紅潮した頬で、不安と期待が入り混じり、縋るように見つめてくるその潤んだ瞳で言われた言葉に、蓮は目を見開いた。
歓喜に震える手を伸ばして、キョーコの頬を撫でる。

「…うん。うん…。全部、貰うね…キョーコさん…」

「ん…」

擽ったそうに、恥ずかしそうに身をよじるキョーコに唇を重ねて、蓮は漸く愛しい彼女の全てを手に入れることが出来たのだった。

「愛してる…これからも、ずっと…ずっと…」

マシュマロに包まれるような幸せを感じながら二人はホワイトデーの夜を過ごしたのだった。


END

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*****


…ということで、ハッピーホワイトデー♪
蓮様も早く幸せなホワイトデーが過ごせればいいですね♪

続きが読みたい〜の声にお応えして、続きはホワイトデーにしようと考えてたのはいいのですが、うーむ。どうだったでしょうか??
楽しめたらいいのですが…何だか結婚式のところとか説明書きっぽいのが多すぎたかもー?!って思いながらアップしてます。
中々スムーズに書けなくて苦戦しました。
芸能人の蓮だとちょっと違和感あるけど、大手の会社の社長御曹司だったら某夢の国での挙式が有な気がする…と思って、普段書けない方向から攻めてみました。
名前も一字変換しました。決して間違いではないですよ。

書き終えて…
何だか、せっかく続きの要望頂いたのに、こんな仕上がりですみません。
期待に添えてないような気がしないでもないですが、これで精一杯でした。
お粗末様でした(>_<)

皆様も素敵なホワイトデーをお過ごし下さい。
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