なくした記憶 53〈完結〉

2016年04月10日13:34  なくした記憶/スキビ!《完結》

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※今回、「」は日本語、『』は英語だと思って下さい。
※関西弁は間違ってても大目にみて頂けたら幸いです。


長かったですが、ようやくラストです!!


*****


なくした記憶 53


「Ladies and gentlemen!!さぁ!これから、ここにいる皆さんの時間を頂戴して、敦賀蓮、京子の婚約緊急会見を行う!!」

スポットライトが集まり明るく照らされた天井付近には、何故かアラビアン国王風の格好をした男がロープに捕まった状態で喋っていた。


「「「しゃ、社長〜〜?!」」」

ブリッジロックのメンバーはその人物、ローリィを見て驚いていた。

「え?!あれ?敦賀さんは?!」

「京子ちゃんもおらへん!」

ザワザワと客席も混乱する中、いつの間にか蓮とキョーコの姿がなくなってることに気づいたブリッジロックだったが、すぐにローリィの仕業だと気付く。
目眩しなのか、派手にしたいだけなのかダンサーズ数人がまだ素晴らしい腰の振りを披露しながらスタジオの真ん中で踊っていた。

「ちょっと社長!どういうつもりですか!!」

「とにかく、そんなところ危ないですから降りてきてください〜!!」

ローリィはスタジオの天井近くでぶら下がっているため、5メートルほど高い場所にいるのだ。

ハーハッハッハッと上機嫌で笑っているローリィにとりあえず何を言っても無駄だと思いながらもとりあえず声をかけていた。

「蓮と京子は今、ダンサーズに導かれて衣装チェンジに行っている。なぁに、すぐに戻ってくるから心配することはない!!」

「はぁ…」

「それはそうと、これ、俺たちの番組なんですけど…。」

「細かいことはいいじゃねぇか。そこはお前、同じ事務所のよしみってやつで。勿論、お前たちの番組だから婚約会見の司会進行はお前たちに任せる。」

「え?!任せるって社長?」

「あれ?そう言えば付き合いだしたのって先月だって敦賀さんさっき言ってへんかった?!」

「せや!スピード結婚やんっ!」

「でも京子ちゃんってまだ…」

「はっ!高校生やないか!」

ブリッジロックがそんな会話を交わしていると、客席から悲鳴が上がった。
慌ててその視線の先に目を向ければ、ローリィがものすごい速さで落下していた。

「「「しゃ、しゃちょーーーー!!!!」」」

青い顔でローリィの身を案じて叫んだ三人だが、ローリィの身体の下に一頭の動物が走り込んできて、ローリィを上手い具合に背中で受け止めた。
どうやらこれもいつもの傍迷惑な演出の一つだったようだ。
しかもそこに現れた動物は…

「「「ラクダー?!?!」」


ーーーあのおじさん…一体何者?!?!

その時の唖然とする観客の顔にはそう書いてあったという。

「さぁ、準備は整ったようだっ!それでは、頼んだぞぉっお前たちっ!さらばだっ!」

しっかりとラクダの手綱を引いたローリィがラクダを巧みに操り回れ右をさせるのと同時に、セットが回転して、着物を着せられ緊張気味のキョーコと、その隣に袴を着た蓮が椅子に座った状態で現れ、その隙にローリィは姿を消した。
蓮の袴姿にキャーっと黄色い歓声が飛ぶ。

「敦賀さんかっこええー!」

「うわぁ!京子ちゃんも着物姿綺麗やなぁ。」

リーダーの光が思わずそう感嘆の感想を正直に述べれば、キョーコは真っ赤になりながらも、「あ、ありがとうございます!」とはにかんで見せるので、その可愛さに思わず光は心臓を撃ち抜かれてしまった。

「うっ!」

「リーダー!しっかりせい!」

「リーダー!!大丈夫か?!」

雄生と慎一がすかさず両側から支える。

「だ、大丈夫や!俺も男や。」

「なんかようわからんけど、大丈夫なんやな?」

「あぁ。大丈夫や!」

「よし。じゃあ行くで!」

蓮とキョーコの向かい側には三人分の椅子が並べられている。

そこに腰掛けながら、三人は突然企画に盛り込まれた婚約会見コーナーにアドリブで対応した。
流石に長年レギュラーで司会を勤めてるチームだけあって、チームワーク力は抜群だった。

「まずはご婚約おめでとうございます。」

「「ありがとうございます。」」

「でも、まだ京子ちゃんは高校生やったって記憶してるんやけど…」

「勿論、結婚を急いでるわけではないので、彼女が高校卒業したあと、時期を見てから結婚するつもりです。」

「え?じゃあ何で今の時点でプロポーズしたん?指輪まで用意してはったよね?」

雄生の質問に、蓮は少しだけ考えるそぶりを見せた。

「宣言…ですかね?彼女は他の誰にも渡さないっていう…一応、指輪は付き合いだした時から用意してました。時期を見て渡そうと…。それに、漸く念願叶ってお付き合いができたので、テレビで公開プロポーズしちゃえば、彼女が逃げたりできなくなるからちょうどいい機会かな?って。」

「な?!に、逃げたりなんてしませんよ!」

「そうかな?さっきだって逃げようとしてただろう?」

「あ、アレはだって…」

確かに逃げようとしていたのは事実なので、キョーコは赤い顔で答えに詰まって俯いた。

「強引にゴメンね。でも、30秒以内に見つけ出さないと社長から君と本気で引き離されそうだったから、慌てて探してたんだ。」

「あぁ、せや!同棲してるって…」

「ええ。ですが、同棲というと語弊があります。正確にはルームシェアですね。記憶をなくしてる間、社長から彼女が俺の世話係に任命されまして、住み込みで食事の世話などをしてくれてまして、記憶を取り戻してから漸く付き合うことになったのでそのまま…。みなさんのおっしゃる通り彼女はまだ高校生なので、さすがに寝室は別々ですし。健全なお付き合いをさせて頂いてますよ。」

ニッコリと似非紳士な笑顔で微笑む蓮に、キョーコ以外は皆が騙され見惚れてしまう。

ーーー嘘!確かに部屋は別にあるけど、最近は殆ど一緒に寝てるじゃない!!お風呂だって乱入してくるくせにっ!

なんてキョーコは心の中で思いながらも、そんな事実恥ずかし過ぎて口に出せない。

「そうやったんか〜。」

「いやー。良かった!だって、もし敦賀さんが高校生相手に手出してたらなんか犯罪チックやもんな。」

そう言われた蓮は笑顔で固まった。
サクッと刃物が心臓に突き刺さっている。

「あー!わからんでもない!何か見た目が大人過ぎてな。」

「年齢のギャップがねー!」

盛り上がったブリッジロックに、気づかれないようにショックを受けている蓮のためにキョーコが慌ててフォローを入れた。

「でも、敦賀さんこう見えてまだ21ですし。年齢は私とも4つしか違いませんし…」

「キョーコ…こう見えてって…」

落ち込み気味の蓮に漸く気づいて、ブリッジロックのメンバーも慌ててフォローを入れた。

「せ、せや!まだ敦賀さんもまだ21なんやもんな!」

「ほら、何かドラマでも大人の男の役をすることが多いやん?やから、イメージがさ…」

「敦賀さん色気すごいから、隣にいるのは絶世の美女のイメージが…」

光のフォローの言葉に今度はキョーコがズンっと落ち込んだのを見て、光が真っ青な顔になって慌てた。

「え?!いや、違うっ!キョーコちゃんが絶世の美女やないってことやなくてやな。」

「いいえ、私は地味で色気のない女なので…」

「キョーコは綺麗だよ?地味だなんてことはないって、いつも言ってるだろ?…この子、素がいいので、メイクや衣装によって変幻自在なんですよ。」

蓮がそう言うと、光がカンペが出されてることに気付いた。

「え?あ、写真あるんや?京子ちゃん七変化の?それでは京子ちゃんの七変化があるようなので、紹介します。モニターをご覧くださいっ!」

カシャという音と共に、キョーコが初めてメイクを施された瑠里子との演技対決の時の艶やかな着物姿が映し出され、会場は騒然となった。

「わっ!ベッピンさんや!!これ、ホンマに京子ちゃん?!」

「全然わからへん!!」

「めっちゃ綺麗やなぁ〜。」

そしてまたカシャと切り替わり、そこには不破のプロモに出た時の天使の格好をしたキョーコが映し出された。

「うわっ…」

「やばっ…」

「ほんまの天使や…」

その後も次々とキョーコの変身写真が映し出され、会場は興奮に包まれていた。

「いや、ホンマに凄いわ!キョーコちゃん!!」

「全部同一人物とやなんて言われるまで…いや、言われても絶対わからへん!!」

「これみたら納得や!!敦賀さんと京子ちゃんは文句なしのお似合いカップルや!」

「地味で色気ないやなんてとんでもあらへん!寧ろそんなこと言う奴がおったら、そいつの目が節穴やわ!!」

「いや〜ホンマにビッリしたわっ!!」

「な?!みんなも二人お似合いやと思うよな?!」

慎一が会場に同意を求めると、割れんばかりの同意を示す拍手が起こった。

「ほら、みんなも納得やで!」

「ビッグカップルの誕生やなぁ〜!!これからが楽しみや!」

その後もブリッジロックにより、記憶をなくしてた間のことを掘り下げられたり、二人の馴れ初めや、過去の出会いについて様々な質問がされ、一時はどうなるかと思われた番組はブリッジロックの手腕により無事和やかな雰囲気で終了した。

その後、蓮とキョーコは高級ホテルへ連れ去られ、今度は集められた記者の前で改めて婚約記者会見が行われた。
ローリィが珍しくスーツを着てるものだから違和感しかなくてキョーコは思わずガン見してしまった。

そして質問が飛び交い白熱している記者会見の会場に雪崩れ込むように一人の男が駆け付けた。

「キョォォォォーコぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「っっっ?!?!」

その人物の姿を見て、キョーコは驚いて思わず立ち上がった。

「えええええぇ?!?!せ、先生?!」

ハリウッドスターのクーの突然の登場に一同は騒然となった。

「やぁーっと来やがったか…」

ローリィがニヤニヤと笑うと、遅れてヒールを履いた背の高い女性も息を切らして走り込んできた。

『アナタッ!置いて行くなんて酷いわっ』

『す、すまんジュリ…』

女性はクーの妻のモデルのジュリエラだった。
突然の世界的に有名なビッグカップルの登場にもう何が何だかわからなくなり、集まった記者たちもパニック状態だ。

『あの子は?!あの子はどこ?!』

キョロキョロとしていたジュリエラがキョーコと蓮の姿を見た瞬間、ポロポロと涙を流し始め、崩れ落ちそうになった。

そんなジュリエラを慌ててクーが横から支える。

『ジュリ…』

『あぁ、アナタッ!私の寿命はあと10秒よ。』

『えぇ?!ジュリ!ジュリ!!しっかりしてくれぇっ!!』

ジュリエラの言葉とクーのドラマチックなやり取りに会場がドヨドヨとどよめく。

そんな二人に呆れた目をしていたローリィだったが、蓮はスッと立ち上がると、無言でキョーコの手を引き記者をかき分けて二人の元に向かった。

「ちょ、く…つ、敦賀さん?!」

そして蓮はクーとジュリエラの前に立った。

『落ち着いてください。ミセス、ミスター…』

英語で呼びかける蓮の声に、ジュリエラがハッとしたように潤んだ瞳で蓮を見上げた。

『久遠…』

小さな小さな声だったが、キョーコには確かに聞こえ、そして真近で見たジュリエラの美しさに息を飲んだ。


クーが一度気づかれないように息を吐き出して、スッと立ち上がると蓮に対峙してその目を見つめた。

「キョーコは私の娘も同然。親の承諾もなしに、婚約会見か?」

「その点については申し訳ございません。ちゃんとお二人にも挨拶に伺うべきでした。」

蓮は二人に頭を下げる。

「何分、先ほどプロポーズを受けてもらえたばかりなので。順番が逆になってしまいましたが、大切なお嬢さんを私に頂けないでしょうか?」

「えぇ?!つ、敦賀さん?!」

クーとジュリエラにとって二人の本当の子供は蓮のはずなのに、何故かお嬢さんを下さいと頭を下げている蓮に驚いてキョーコが慌てた声を上げる。

「本気なんだな?」

「勿論、本気です。」

二人は視線をぶつけ合った。
暫し、緊迫した空気がぶつかり合う。
目だけで本気度を測り、そしてクーが先にフッと笑みを作った。

「じゃあ、お前を私とジュリの息子と認めよう。」

蓮はその言葉を聞いて目を見開いた。

「私たちの娘であるキョーコと夫婦になるなら、お前は私とジュリの息子だろう?」

「あ…」

キョーコはハッとした。優しくて暖かいクーの眼差しの中に、少しだけ混じった不安に揺れる色を見つけた。

固まってる蓮を見上げ、キョーコはクイっと蓮の腕を引いた。
蓮もハッとして、長い息を吐き出して、少しだけぎこちなく笑った。

「ありがとうございます。キョーコを幸せにしてみせます。……お父さん…『お母さん…』」

蓮の言葉に、ジュリは再び感極まって涙を流し、クーの胸に縋り付いた。
クーは嬉しそうな顔で、優しくジュリの頭を撫でる。

『ありがとう。どうか娘を幸せにしてやってくれ、息子よ。』

まだここでは正体を明かさないと決めた蓮の意思を汲んで、クーもジュリエラもキョーコの婚約者として蓮を受け入れることで妥協した。

『あぁ、キョーコ…!』

ジュリエラも初めて会ったキョーコに抱き付いた。
そして小さな小さな声でキョーコだけにつぶやいた。

『ありがとう、キョーコ。久遠をありがとう…私達と久遠をまた繋いでくれてありがとう。』

『いえ、そんなっ私…っ!』

キョーコは突然、妖精界のクイーン様を彷彿とさせる美女に抱き着かれて驚き、目を回しそうになってしまった。
慌てるキョーコの背に蓮がそっと手を伸ばして支えると、キョーコも蓮の温もりを感じて、落ち着きを取り戻した。

『久遠…』

小さな声で蓮の本名を呟いたキョーコにハッとして、ジュリエラも蓮を見上げる。

『心配おかけして申し訳ありません。私はこの通り、大丈夫ですから。』

ウンウンと頷いて、ジュリエラは蓮の代わりにキョーコをギュウギュウに抱き締めたのだった。

「おい、お前ら…」

そこへローリィの呆れた声が響く。

「ボスッ!」

「記者会見の途中だぞ。邪魔するんじゃねぇよ。」

「すまん、ボスッ!可愛い娘の婚約を聞きつけて慌てていたのだ。」

クーが慌てた。

「じゃあ、キョーコを頼んだぞ!敦賀君!」

「はい!父さん。」

蓮の返事に、クーは満足そうに笑った。

「キョーコ。」

「は、はいっ!先生!!」

キョーコの返答には、クーは不満そうに眉を上げた。

「なんだ?敦賀君は、私のことをちゃんとお父さんと呼んでくれるのに、お前は私のことを父さんとは呼んでくれないのか?」

「は!い、いえ!すみません。えっと…お、おとっ、おとっ…おおとっちゃま!」

「ブックク…今度はおとっちゃまか…それもいいな…。」

自分の口から飛び出した呼び名に、キョーコは一人ああああああああと悶えていた。

『キョーコ…私のことは?!ねぇ、私のことは?!』

『ふぇ?!せ、先生のおくさま?!』

『違うでしょ!ママって呼んで!』

『ま、ママママママ…』

『キョーコ、テンパり過ぎだから…。』

くすくすと楽しげなやり取りを見ていたローリィの痺れがとうとう切れた。

「あーもー!仕方ねぇな!こうなりゃもう祭りしかねぇ!会見祭りだぁ!」

「「「えぇー?!?!」」」

「??」

皆がローリィの意味不明な発言に驚きの声を上げる中、ジュリエラだけがキョトンとした顔をしていた。

ローリィの言い出した会見祭りは混乱した会場を収拾するどころか、またさらなるパニックに包んでしまうのだった。




翌日の新聞の見出しは荒れに荒れた。

ーー敦賀蓮、京子と熱愛発覚!!

ーーヒズリ夫妻、娘の婚約で来日?!

ーーW嘉月、まさかの親子に?!

ーー衝撃!クーに娘?!世界のクーおとっちゃま!!

ーービッグカップル誕生!!

ーー蓮、熱愛で京子と同棲?!

ーーヒズリ夫妻と涙の再会!

ーー敦賀蓮、生放送中に堂々プロポーズ!!

ーー京子溺愛!クーと蓮の男のバトル

ーー京子七変化に驚きの声

ーー敦賀蓮、記憶喪失を告白!

ーー蓮と京子、石が繋いだ運命の出逢い!


など、新聞社やテレビ局によって様々な切り取り方をされていた。



「ん…。」

「おはよう、キョーコ。」

ベッドの中でキョーコが目覚めた。
目覚めたばかりのキョーコに、蓮は神々しい笑顔を見せ、そっと優しい口づけを送った。

「くぉん…おはよ…」

朝日の光を浴びて、明るく輝く蓮の素肌に、急に同じベッドで横になってるという気恥ずかしさが生まれてキョーコはシーツを掻き集めた。
その姿に蓮はクスクスと笑い、そしてベッドのそばに備え付けられているテレビを指差した。

「テレビ…凄いことになってたよ?」

「え…あ…っ!昨日のっ!!」

キョーコも蓮の言葉を聞いて慌てて身を起こした。
付いていたテレビでは昨日の生放送の様子も取り上げられていた。

「これで、これからはキョーコが俺のものだって堂々と口に出来るね?」

ベッドの上で身を起こしたキョーコを後ろから抱き寄せて、蓮は嬉しそうに笑ってキョーコのこめかみにキスをした。

「もうっ。久遠ったら…そんなの恥ずかしいだけなのに…それに私なんて…」

困ったように笑うキョーコを抱きしめたまま、蓮は言葉を続ける。

「昨日、ちゃんと証明されただろ?君は私なんて…なんて自分を卑下しなくていいんだ。客席のファンもみんな、俺たちを暖かい拍手で認めてくれた。君は誰が見ても魅力的ってことだ。」

「久遠…」

「自信を持って、キョーコ。君のことを誰よりも愛してる俺が言うんだから間違いないだろう?」

「ふふ。ありがとう。」

怒涛の記者会見の後、ローリィによる婚約パーティがローリィ邸にて開かれ、それは深夜にまで及んだ。

当然、予約していたレストランは行けず、二人で静かに過ごす甘い誕生日の夜とはならなかったが、それでも大好きな人達に誕生日と婚約をお祝いされてキョーコは幸せだった。

キスを交わしてベッドに沈められそうになったところで、キョーコは蓮の頬を両手で挟んで、その目をじっと見つめた。

「ん?どうかした?キョーコ…」

「ううん。何でも…。」

そう言いながらも、尚もじっと見つめてくるキョーコに蓮は首を傾げた。

「何?キョーコ、言いたいことがあるなら何でも言って?」

「えっと、何だかね、変だけど、何故か久遠におかえりって言いたい気分になっちゃって。」

「え…?」

「言ってもいい?」

「え…あ、あぁ、うん。」

戸惑いながらもそう答えた蓮に、キョーコは嬉しそうに笑いかけた。

「ふふ。おかえりなさい。久遠。」

言われた瞬間、蓮の心の中で何かがフワッと軽くなった気がした。
蓮は目を見開き、そして幸せそうに無邪気な顔でふわりと笑って答えた。

「ただいま、キョーコ。そしてありがとう…。愛してるよ。」

優しいキスが降る。

朝日が差し込むベッドの中へ身を沈めて、二人は記憶をつなぎ合わせるように互いを求めあい、夢中でキスを交わすのだった。


END

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長い間、応援ありがとうございました!!

これで完結です。
後日、後書きなようなものを書こうと思います。
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