恋心の涙・オマケ

2016年05月29日11:57  短編(原作寄り)/スキビ!

続きの声も多かったので背中を押されて、オマケを書いてみました!!

お楽しみいただけたら幸いです。



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恋心の涙・オマケ


ーーーピンポーン

「んん…」

心地のいい微睡みの中、夢の世界から現実に引き戻すようにチャイムの音が部屋に響いた。

腕の中に収めた温もりがもぞもぞと動く気配を感じて抱き締め直す。

「きゃっ!!つ、敦賀さ…」

「ん…。」

朝からこんな風に愛しい彼女の可愛らしい声が聞けるなんて本当に夢のようだ。
昨夜初めて触れることが許された柔らかな肉の塊を確かめるように優しく揉み込めば、慌てふためく彼女の気配。

「ちょっ、やん。だ、駄目。」

「ん。駄目じゃない。だって俺のだもん。」

「な?!お、俺のだもんって…」

寝ぼけた頭のまま、何となく甘えて縋りつけば、目を閉じててもわかるくらい真っ赤に狼狽えた彼女の声が耳に届く。
この世のすべての幸せを手に入れたようなそんな気がしてしまう。

ーーー夢じゃないよな?だってこんなに肌が柔らかくてプニプニでスベスベで気持ちいいなんて…

「キョーコ…可愛い…」

ベッドの中で起き抜けの頭で幸せいっぱいな気持ちでイチャイチャと仲睦まじく、キョーコとじゃれ合う。

「可愛い…」

キョーコを仰向けに変えて、ちゅっちゅっと真っ赤なキョーコの唇と色付いた頰と首筋、鎖骨と順々にキスを落とし下がっていく。

「や、だめ…あんっ。」

ーーーピンポーン、ピポピポピンポーン

キョーコの熱が再び沸き上りそうになったところへ割り込むようにチャイムが響いた。

キョーコがビクッと驚き、蓮もそう言えばチャイムが鳴ってたなということに今更ながらに気づいた。
蓮は時計をちらりと見て、邪魔されたことに心底残念そうな顔をしつつも、仕方なくむくりと起き上がり、緩慢な動作でパンツを履き、シャツを一枚手に取った。
ドアへ行く前に一度キョーコの元へ戻り、キョーコの額に優しく口付け、ポンポンと頭を撫でる。

「まだゆっくりしてて。すぐ戻ってくるから。」

シーツに赤くなった顔を半分ほど埋め、目から上だけを出してるキョーコに安心させるよう微笑んで、蓮は破壊的なキョーコの可愛さに破顔しつつシャツを羽織りながらドアを閉めて出て行った。


「れーん?お〜い、大丈夫か〜?」

チャイムを鳴らしても姿を見せない担当俳優に心配になったのか控えめにドンドンとノックする社に少し声を大きくして答える。

「社さん、大丈夫です。すみません。今開けます。…おはようございます。」

「なんだいたのか…よかった。おはよう。…ん?まだ起きたばっかりか?珍しいな…」

社は蓮のシャツのボタンが全開な様子に驚きながらも、招かれるまま中に入り、玄関にちょこんと置かれた女性もののハイヒールに気づき固まった。

「社さん?」

呼ばれた声にハッとして蓮を見れば、一見、平静を装ってはいるが、「俺は今幸せです!」という言葉を隠しきれずに思いっきり顔に書いた百戦錬磨に見えて実は恋愛音痴の担当俳優。
玄関の女性ものの見覚えのある靴と蓮の顔を交互に見つめ、昨夜のキョーコの取り乱した様子を思い出し、ピーンと社の中ですべてが繋がった。

「おまっ?!まさか…!!」

社が今日少し早めに来たのだって実は、昨夜のキョーコの様子が気になってのことだったのだ。
あの後どうなったのか仕事に行く前に聞こうと訪れれば、まさかの展開に、嬉しいような複雑なようなそんな気分だ。
…というのも、昨夜のキョーコの取り乱した様子から、蓮がキョーコの弱みに付け込んでしまったのではないかという思いがあるからだ。

「それは誤解です。」

突然、蓮の言葉が、社の脳内分析をスパンと打ち切った。

「ん?何がだ?俺はまだ何も言ってないぞ。」

訝しげな目を向ければ、蓮はサラリと答える。

「俺は、あの子の弱みに付け込んだわけではありません。ちゃんと告白して、お互いの気持ちを確かめてから抱きました。」

「お、おまっ?!」

蓮の包み隠さずストレートな「抱きました」発言に社は真っ赤になって動揺した。

「なんです?何か可笑しなことでも?」

「…い、いや。そういうデリケートなことはオブラートに隠してだな。」

社は落ち着くため、メガネの位置を戻した。

「社さんには、ちゃんと隠さず報告したほうが何かと都合がいいかと思いまして。」

「まぁな。それもそうだけど…。じゃあ、キョーコちゃんは今…?」

長い廊下を歩きながら、リビングへ向かう。

「はい。寝室のベッドの中です。」

「そっか…。それにしても、いやーー!!よかったなぁ!!蓮!!お兄さんは嬉しいよ!!」

バンバンと蓮の背中を叩く。

「ありがとうございます。今後もこのことでご迷惑をおかけすることもあるかとは思いますが、よろしくお願いします。」

「うんうん!お兄さんに任せなさい!!」

社が笑顔でそう言うと、蓮は安心したように微笑んで、そして何やらそわそわと落ち着かない様子で時計を気に始めた。

「…社さん、まだ時間ありますよね?」

「え?あ、あぁ。余裕持ってきたからな。朝食食べる時間くらいは…。後一時間後くらいに出れば大丈夫だけど…。」

「そうですよね。社さんはリビングでゆっくりしててください。俺はちょっと…キョーコの様子を見てきますので…」

社は蓮の口からさらりとキョーコという呼び捨ての単語が出たことに内心驚いた。
ドキドキと胸が高鳴る。
そしてバタンとリビングの扉が閉まったことで、社はキャーキャーと女子高生が恋話をする時のように一人盛り上がり始めた。

ーーーキョーコだって!キョーコだって!!あの蓮がキョーコちゃんのことをキョーコだってぇ〜!!いつもは最上さんって呼んでたのに、顔赤らめちゃって幸せいっぱいって感じで!もーー!!!!可愛い奴めッッ!!よかったなぁ!!よかったなぁ!!蓮!!念願叶ってぇ!!キョーコちゃんを手に入れられてー!!

一通り、はしゃいだ後は、落ち着いたのか、カシュッと買ってきていた缶コーヒーを開け、ニマニマと口元を緩ませながら、朝食用に買ってきたサンドイッチを口に含んだ。



そして時間は経過した。



「…………」




ーーーアイツ…何してんだ?あと5分しかないぞ?

余裕があるはずだった時間はとっくになくなり、蓮がリビングに戻ってくる気配すらない。
社はそわそわと落ち着きがなくなり不安になってきた。

ーーーえ?まさか、朝から?!俺がいるのに?!おいおい、勘弁してくれ!!これは俺が呼びに行かなきゃ行けないのか?そのパターンなのか?!

そして時計の針がカウントダウンを告げ始め、間も無く0というきっちり一時間後のタイミングで、ガチャとリビングの扉が開いた。

「お待たせしました。」

だだ漏れの色気を隠しもせず、春満開という言葉が似合いそうな顔して支度を終えた蓮が戻ってきた。

「…………お前、朝から…?」

ややげんなりして確認すれば、蓮はまさかと苦笑した。

「いえ、そんなわけないじゃないですか。一緒にお風呂入って、ちょっと味見しただけですよ?」

ルンルンと今にもスキップをし始めそうな蓮の様子に、社は何だか気が遠くなる気がした。

ーーーここは、俺がしっかりしなくちゃ。からかってる場合じゃないかも…。

今までは大人の余裕をかましていた蓮を相手にしていたのでからかう余裕があったが、今はからかうとデッロデロの惚気沼に引き摺り込まれそうだ。

ーーーきっとそうだ。恐ろしいことになるに違いない。

社はデロ甘地獄絵図を頭に描いて青ざめた。

触らぬ神に祟りなし。
蓮がいかに誰かに話したそうにうずうずしてようと、迂闊に聞かない。からかわないと社は心に誓った。
お花畑を至るところで咲かせ公害を撒き散らす蓮を楽屋に引き摺り込んで、お説教することも敦賀蓮の品質を守るマネージャーのつとめであり、二人の恋を応援するお兄ちゃんの大事な役目なのだ。

「全く。世話がやけるよ。」

社はそれでも、二人が結ばれてよかったと、心の中では惜しみない祝福をおくるのだった。



一方、蓮とキョーコが結ばれて数日後、そうとは知らない尚がテレビ局内を歩いていると、正面から蓮が歩いてくるのが見えた。
未だに幼馴染のキョーコは自分のものだという勘違いをしている尚は、そのキョーコが好きだと言ったあの男を前に何でもいいから一言あの男を悔しがらせる気の利いた一言を言いたくてたまらなかった。

しかし、尚が口を開く直前、尚の存在に気付いた蓮は、今まで見たこともないような花畑を頭に咲かせたような顔でムカつくくらい爽やかに声をかけてきた。

「やぁ、不破くん。久しぶり。最近、調子はどう?」

「お、おお?まぁまぁだけど…。」

「そうか。それは何よりだね。」

わざわざ足を止めて、ニコニコと嬉しそうな笑顔を向けてくる蓮は何か聞いてくれと言わんばかりで、尚はうっかり聞いてしまった。

「アンタは随分、いいことがあったようだな。」

「あぁ、そうなんだ。わかるかい?」

蓮の笑顔に何となく不吉な予感がして早々に立ち去りたくなった尚だが、蓮がそれを許すはずもなかった。

「実は、最近、自慢して回りたいくらい可愛くて魅力的な彼女が出来てね。」

「へ、へぇーー。それはよかったっスね。」

ーーー何だ。キョーコの奴、自覚した途端、結局失恋じゃんかよ。だからやめとけって言ったのに、馬鹿な奴…。

「毎日、彼女のいる家に帰るのが嬉しくて仕方がないんだ。」

「はぁ…」

ーーーいや、どーでもいいんですけど…。アンタの恋話なんてこれっぽっちも興味ねぇし…。

「肌もスベスベで柔らかくて、腕の中で素肌を重ねるともう天にも昇る心地になってーー」

どうでもいい惚気話と彼女自慢をペラペラと話す男に若干引いてしまう。
奴のマネージャーは早々に電話を掛けるふりをして離れて行ってしまった。

ーーーってかこんな状態の担当放り出してていいのかよ?キャラ違くねぇ?

そんな風にどうでもいいことを考えていると、ふと、蓮の声の調子が変わった。

「…以前、君がわざわざ駐車場で待ち伏せしてまで教えてくれた、俺だけはないって話だけど…」

「え?あ、あぁ。」

「残念だったね。わざわざ教えてくれたのに。こんなことになって。」

ニッコリと嘘くさい笑顔で微笑まれ言われた言葉に、一瞬尚の思考が止まる。

「……は?」

「あぁ、じゃあ俺はもうそろそろ時間だから…っとそうそう。大事なことを言い忘れてた。彼女、もう下宿先には住んでないから、下宿先に行っても会えないよ?」

「は?アンタ、何言って…?」

尚の頰が引き攣る。認めたくない。認めたくないがもしかして…という嫌な予感が湧き上がる。

「あそこは約1名の不審者に対しての防犯対策が心配だったからね。早々に越してきて貰ったんだ。俺の家はセキュリティー面も安心だし、寂しがりやで甘えん坊な彼女にとっては、抱き合って眠れて寂しい思いをしなくて済んで、一石二鳥だろう?」

「甘えん…?!抱き合っ?!は?はぁぁ?!」

やっぱりという嫌な予感が的中しつつも、キョーコと寂しがりやはわかっても、甘えん坊という単語や抱き合うという言葉が結びつかなくて思わず驚きの声を発する。

「本当に、君のおかげだ。彼女と出会えたのも、彼女とこうなれたのも。全部ね。だから、君には心から感謝してるよ。ありがとう。じゃあまたね、不破君。」

最後は本当に嬉しそうに、心の底からの笑顔で礼を述べ、デロデロの笑顔を残して蓮は去っていった。

その姿を見送り、ブルブル震えた尚は、火山が爆発する勢いで怒り狂った。

「ふ…ふ、ふっっっっざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

その後の尚は荒れに荒れて暫く手がつけられなかったと後に彼のマネージャーは語った。

尚がキョーコと会おうにも何故か妨害され会えぬまま時は過ぎ、半年後の婚約記者会見で、その事実を証明されたことになり、また再び手がつけられなくなったのは言うまでもないだろう。
画面の中で、蓮とキョーコは幸せいっぱいの笑顔で、終始、テーブルの下で仲良く手を繋いでいたという。



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一粒で二度美味しい…的な?
おまけ社と尚で分けようかなー?とも考えたのですが、そうなったら二人だけでは済まない気がしたので、纏めてみました。

自慢しまくる笑み崩れた敦賀蓮が何気に書いててツボです(笑)
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