スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

月夜の契り*プロローグ*

完全にパラレルです!
パラレル大歓迎♪という方にお楽しみいただけたら嬉しいです。



*****


月夜の契り


闇夜に紛れ、音もなく降り立った一つの影。
月光によりその姿は闇夜にも浮き上がった。真っ黒のマントに身を包み、輝くような金髪を靡かせ深い碧色の不思議な瞳を煌めかせる。
誰もが振り返るような美丈夫は、魅せられた人の心を狂わせる。

飛び抜けた視覚と嗅覚と聴覚、抜群の運動神経と脚力、跳躍力は人間のそれより遥かに優れていた。
軽やかに音もなく屋根と屋根を飛び越えて目指す場所は毎夜決まっている。
音を立てないよう細心の注意を払い侵入した部屋。

深い寝息と規則正しく上下する胸はこの部屋の主である彼女が夢の中にいることを示していた。

「キョーコ…」

男は眠る少女の頬に手を伸ばす。
柔らかい弾力とすべすべの肌。赤く膨れた可愛らしい唇は極上の果実のようだ。
切なげに少女の名前を呼んだ男はゆっくりと身を屈め、少女の首筋に牙を突き立てた。

ーーゴクリ、コクリ…

カラカラに乾いていた喉の渇きを潤す。
碧色だった瞳には赤が混じり、妖しげな色を醸し出した。
しかし男は少しして直ぐに牙を抜いた。

傷跡を優しく舐めとり傷口を塞ぐ。
牙が刺さっていたその場所は、虫に刺されたかのように小さく赤くなっただけになった。

「ごめん。ごめんね…。」

男は毎夜謝罪を繰り返す。勝手に血を啜り喉の渇きを満たしているのだ。
あどけない寝顔で呼吸を繰り返すキョーコに気付かれていなくても、血を勝手にもらっていることは事実だ。


そう、彼は闇夜に舞い降りるヴァンパイア一族の一人なのだ。
習わしに添えば三回以上同じ人間から繰り返し血を貰い受けるならパートナーと定めなければならないと決まっている。
パートナーとなる相手には3日~10日目の晩に己の正体を伝えて審判を待つのが常識だ。
そこで受け入れられるか、逃げられるか…そこでパートナーと定められた人間の運命は決まってしまうのだ。
受け入れれば、夫や妻として番いとなり自らもヴァンパイアになることを受け入れ一生を供にする。しかし、正体を告げられた恐怖で逃げ出すなら、その場で血を全て吸い取り、その命を奪わねばならない。
ヴァンパイア一族を守る為にはいた仕方のないことだ。

過去、人間を生かしたばかりにその存在を他の人間にまで知られてしまい、一族が根絶やしになりそうになったことがあったのだ。
それからはヴァンパイアの規則も厳しいものになっている。
繰り返し何度も同じ人間に会うのはリスクになる。
それはわかっていながらも、男はこの少女の血の味を知ってから、もう他の人間の血が受け入れられなくなってしまったのだ。
パートナーとは本来そういうものだという。
そしてそのパートナーに受け入れられなかった時、その人間の血がこの世にある限りその血の味が邪魔で次のパートナーが探せないので、飲み干してしまうのだそうだ。
ヴァンパイア一族にとってパートナー選びは重要なのだ。

男は少女に逃げ出されることが怖くて言い出せぬまま、毎夜気付かれない程度の僅かな血を分けてもらうだけに止めている。
パートナーとなれば、どれだけ吸っても互いに吸い合えるので血が足りなくなることはないし、万が一相手に血が足りなくなっても己の血を分け与えることができる。
だけど人間はそうはいかない。

姿形は似ていても全く違う種族なのだ。
血を抜かれるだけで、限度を越せば脳に血が巡らなくなり何かしらの障害をおこすことだってあるし、それ以上飲んでしまえば干からびてしまうこともある。
だから慎重に分けてもらっているのだ。

「キョーコ…愛してる。」

密やかに張り裂けそうな胸の内なる愛を囁く。
愛しくて愛しくてたまらない少女。
パートナーの儀式をして全てを己のものにしてしまいたいくせに、愛してしまったが故、簡単に打ち明けることが出来ない。
もし正体を伝えてその顔が恐怖に変わったら…?
その血を一気に飲み干してしまわなければいけなくなる。そんなことは耐えられない。
それならば自分が常に飢え続けているほうがいくらかマシだ。
ヴァンパイア仲間からは呆れられて変な目で見られているが、それでもどうしてもこれだけはダメなのだ。

「また来るよ。」

小さな手を握り、ひっそりと囁いて、手の甲にキスを落とすと名残惜しげにその場を離れ闇夜に紛れた。

「ん…」

寝返りを打ったキョーコはボンヤリと目を開けてボウッと誰もいない闇を暫し見つめていたのだった。



プロローグ~完~


スキビ☆ランキング
↑↑↑
ポチッと応援よろしくお願いします♪


*****


長編終わらせてないくせに…また新しいの始めちゃってもいいですか??(笑)

それともこのままプロローグで終わっとくか…悩みどころです( ̄◇ ̄;)
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

風月のスキビだよりカウンター
プロフィール

風月

Author:風月
こんにちは。風月のスキビだよりへようこそ。
初めての方は、まずはブログ内の、「はじめまして。」からご覧ください(*^^*)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。