My HOME-19-

2015年10月20日14:03  My HOME/スキビ!《完結》

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

My HOME-19-


いつもと変わらない食事を終えて、キョーコはキッチンへ立って片づけをしていた。

ホッと息を吐き出す。
食事の時は何か言いたげな蓮に気付いていながら、聞いたら逃げ場がなくなりそうな予感がして、誤魔化して誤魔化して無駄に明るい振りして普通通りを装っていたのだ。
今は蓮をお風呂に追いやって自分は食器の片付けをしていた。

でもやはり頭の中で処理するには多すぎるデータ量のため、思考の坩堝に嵌っては手元がお留守になってしまう。
思い出すのは蓮とのキスのレッスン、そして今日の撮影と、その後の蓮へのキスーーー。

ーーポフンッ!!

自分からした癖に思い出すと沸騰してしまう。
今となってはどうしてあんな破廉恥な行為を自分からしてしまったのかもわからない。

だけど、蓮の唇は柔らかくって甘くって、暖かくて、そして…ーーー

「手伝うよ?」

「あひゃっ!!わっ!あ…あぁっ!!」

ーーパリンッ

突然後ろから声をかけられて、キョーコは心臓が口から飛び出るほど驚き、本気で狼狽え、手で掴んでいた食器を取り落としてしまった。
キョーコの尋常じゃない驚き方に声をかけたことを蓮は慌てて詫びた。

「ごめんっ!!」

「きゃっー!!す、すすすすみません!!」

キョーコは高級そうな食器を自分の不注意で割ってしまったことに気が動転して慌てて割れた食器を片付けようとした。

ーースパッ

「っ?!いっ…た!!」

「切った?!」

慌てすぎて指先に傷を作ってしまった。
朱色が膨れ上がり、白い指に鮮やかに咲く。
蓮は心臓が一気に冷える思いがして慌ててキョーコの手を掴む。

「見せてっ!!」

キョーコは庇おうとした手をグイッと掴まれて、持ち上げられると、驚く暇もなく自分の口に含む筈だった指先は蓮の口の中に導かれた。

「ひゃん!!」

キョーコの顔が真っ赤に染まる。指先の傷口を辿る己のものではない舌先に背中にゾクゾクとした熱が生まれ、蓮の熱い手のひらの感触と指先を包み込む生暖かい口内がキョーコの心を掻き乱す。

「つ、つつつつ敦賀さん?!」

手を追って見上げれば己の背後に立ったまま指を口に含んでいる蓮の姿で、キョーコは全身を真っ赤に染め上げる。

慌てて逃れようと試みるも、蓮の片手はしっかりとキョーコのお腹と腰を後ろからホールドしており、逃げられない。

ちゅうっと音を立てて血を吸い取られた瞬間、キョーコの腰が抜けてしまった。

その場にヘナヘナと崩れ落ちそうになるキョーコを慌てて支えて、蓮はゆっくりと咥えていたキョーコの指を解放した。
唾液で濡れたキョーコの指は空気を纏うと酷く冷たく感じた。
先程までの暖かさがなくなり、寂しい気持ちになる。
ジンジンと痛む指先は別の熱を持ったような気がする。

自分の足で体を支えられなくなったキョーコを蓮は抱き上げると、お姫様抱っこでソファに向かった。

また血が溢れてきたが、先程まで蓮の口の中に入れられていた自分の指を、自分の口に運び入れるのが戸惑われて、キョーコはジッと赤くなった顔で血が浮き出るのを見ることしか出来なかった。

ソファに降ろされたキョーコの指先にまた血が浮き出ているのをみた蓮は先ほど同様、今度はキョーコの目と鼻の先でその指先を口に含んだ。

丁寧に丁寧に唇と舌先を使って蓮が血を吸い取る。

キョーコはそんな蓮の姿を目を見開いて凝視していた。
胸が甘く騒いで心臓はどっどっどっどっと早鐘を打つ。
指先を咥えたままの蓮と目が合った瞬間、時が止まったような感じがして、息をすることまで忘れてしまった。

蓮はそんな己の姿を見せつけるかのようにゆっくりとキョーコの手に処置を施す。
そうして指先を己の口の中から解放すると、その指を誘導してちょんっとキョーコの唇に触れさせた。

真っ赤になったキョーコに優しい笑顔で促せば、キョーコは戸惑い恥じらいながらもゆっくりとその指をパクリと口に含んだ。

その姿を満足気に見た蓮が嬉しそうにキョーコの頭を撫でて、リビングを後にする。

部屋から出て行く蓮の背中を視線で追いそうになる自分を一生懸命押し留めて、怪我をした指先に集中しようと吸い付いた。
傷口を舌で辿ればどうしても蓮の舌の感触を思い出してしまい、全身にどんどん熱が広がる。
悶絶してのたうちまわりたいところだが、蓮がいつ戻ってくるかわからず、大人しくするしかない。

すぐに戻ってきた蓮は救急箱を片手に持っていた。

「大丈夫?見せて。」

ドキマギしながら、口から指を引き抜いて見せれば、蓮に手を掴まれただけでビクンと体が跳ねる。
これじゃ意識してることバレバレじゃない!!と自分で自分に叱責しつつ、蓮からぷいっと顔を逸らす。

「うん。よかった。血は止まったみたいだね?」

再び顔に近付けられた指先に吐息がかかり、変な期待を持ってしまったキョーコだが、その唇に運ばれることはなかった。

テキパキとした動きでキョーコの指先に消毒の処置を施した蓮が立ち上がる。

「これで良しっと。後の片付けは俺がやるから、君はここでゆっくり休んで。」

優しい笑顔で微笑む蓮から言われた言葉に慌てて起き上がろうとする。

「そ、そんな!!片付けは私…が…あ…」

腰がぬけていたことを忘れていたキョーコはがっくりと肩を落とした。

「大丈夫だから。ね?あとで一緒にココア飲もうね。」

「すみません。よろしくお願いします。」

「うん。任せて。」

蓮はニッコリと微笑んで上機嫌で救急箱を片付けに一度部屋を出た。




救急箱の後に割れた食器と残りの食器の片付けを終えた蓮がキョーコの為に淹れたココアを持って戻ってきた。

「腰はどう?」

「な、なんとか…」

抜けていた腰の力が少し戻ってきたようで身体を起こそうとするがまだ本調子じゃなかったようだ。
苦戦しているキョーコを見兼ねて、蓮はキョーコの頭側に腰を下ろしながらキョーコを自身の身体に凭れさせて起き上がらせる。

「きゃ!つ、敦賀さんっ!!」

真っ赤になってわたわたしてるキョーコが可愛くてついこのまま抱きしめたくなる。
いや、この際抱きしめてしまってもいいんじゃないかと蓮は思った。
助け起こすため脇の下に入れていた手を前に突き出して肩とお腹に回して引き寄せるとそのまま足の上に座らせた。

「ひゃ!ちょ、つ、敦賀さっ!!」

「ん?さっきの格好じゃココアが飲めないだろう?」

「こ、この体制でも飲めましぇ~ん!!」

「大丈夫飲めるよ。」

蓮はキョーコを抱えたまま、長い腕でテーブルに置いていたココアを手に取ると、キョーコの手に運んだ。
ココアのカップを掴んだキョーコの手ごと、蓮は両手で包み込む。
ゆっくりと近づけられるココアにキョーコは何度も息を吹きかけてそっと唇をつけた。

「ん…甘い…。」

そう囁いたキョーコがこくんこくんと喉にゆっくりとココアを流し込む。
その姿を間近で見ながら、蓮はジッと無言で見つめていた。

キョーコがココアのカップから満足気に口を離すと、蓮はキョーコの手からココアを取り上げ、ココアを前屈みになってテーブルに戻す。
そして、そのままココアが残るキョーコの甘そうな唇にそっと己の唇を重ねたのだった。


(続く)


スキビ☆ランキング
↑↑↑
ポチッと応援よろしくお願いします♪
関連記事
前の記事 次の記事