My HOME-24-

2015年10月20日14:08  My HOME/スキビ!《完結》

とりあえず、キョーコちゃん視点にしてまいました。一箇所だけにするつもりが、中途半端に切れずにダラダラと…ダブった部分もありますがご容赦下さいー!!


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My HOME-24-


眠りについていたキョーコは朝いつも起きる時間に目が覚めた。

ぼんやりと目を開けると胸の上で何かが動く気配がした。
なんだろ?くすぐったいなって思いながら胸元を見て悲鳴を飲み込んだ。

「んっ…。」

どうやら昨夜は気を失い蓮をなけなしの胸の上に乗せたまま、そのまま寝てしまっていたようだ。

「ん~。」

頭の位置を探すように動く頭が己の胸に顔を埋める位置で停止したことで、キョーコの心拍数が一気に上がる。熱い寝息が胸元に吹きかけられる感覚にキョーコは身動きが取れず既にいっぱいいっぱいで固まったのだが、その途端強い力で抱きしめられ、蓮の頭がグリグリと動き胸に顔を擦り付けられた。

「きゃっ!!」

思わず叫んでしまったキョーコは、もうとにかく起こしてでもなんでも引き剥がす必要性を感じた。
もう心臓が持たない。そう思ったのだ。

気持ち良さそうに眠っているのに起こすのは良心が咎めるが、いかんせん頭を預けられてる位置が悪すぎる。
朝食を作りにいくという立派な理由があれば、たとえ起こしてしまったとしても蓮も怒ったりはせずに簡単に解放してくれるだろう。

そう考えたらキョーコは思い切って蓮に声を掛けた。

「つ、敦賀さんっ!!」

「んっ…」

返事はあったものの、起きる気配は全くない。
申し訳なさよりも自分の限界が勝って、キョーコは蓮の目を覚まさせる為、ゆさゆさと揺さぶった。

「おっ起きてください~!!敦賀さん~~~!!」

「ん~…?」

今度はちゃんと反応したものの、グリンと動いた頭はキョーコの心臓をからかうばかりでキョーコの存在には気付かない。
気づいて欲しくて、肩を てしてし と必死で叩いた。
そうして蓮が漸くこちらに気付いた。
ぼうっとした目がキョーコを捉える。
目が合って蓮がどんな反応するのかとドギマギしながら声を掛けた。

「お、おはようございます!!」

「ん…。おはよう…。」

「そ、そろそろ起きないと朝ごはんとお弁当の支度がですね…」

「ん。いいよ。もう少しこのままで…」

そういった蓮はまたキョーコの胸に顔を埋めるのでキョーコは慌てた。

「だ、ダメですってば!!」

「だって…喉乾いた…頭痛い。」

そう言いながらまた元の大勢に戻ろうと頭の向きを調整する蓮に、心臓はピークを迎えドッドッドッドッという超スピードで血を送り出していた。

ーーーい、今、目…合ったわよね?!何で敦賀さんはこんなに普通なの?!

キョーコは一人パニックになりかけたが、漸く蓮も何か可笑しいと気付いたようだ。

「え…?」

そろりと顔を離し、蓮は何かを確かめるように自分が今寝ていた場所とキョーコの顔を見比べた。
何度か行き来して、蓮は漸く今の今までキョーコの胸を枕にして寝ていたことに気付いたようで、頬を赤くして驚いていた。

「ごっごめんっ!!」

「い、いえっ!!すみません…」

蓮の反応に驚いてつい条件反射で謝っていた。

「な、なんで君がここに…?」

戸惑っている蓮を見て、ホッとしたような寂しいようなそんな不思議な気持ちになる。

「えっと…や、やっぱり覚えてないですよね?珍しく酔ってらっしゃったみたいで…」

キョーコは蓮の腕に囲われた中で、両腕で胸を庇うように縮こまりながら、どういえば良いのかわからないというように困ったように眉を下げた。

「ごめん…覚えてな…」

蓮が言いかけて、一点を見つめて驚いたように固まったのを見て、キョーコは首を傾げる。
蓮は唇を震わせて小さな声で問いかけた。

「それ…は?」

「え?あ…。」

キョーコも指摘され一瞬わからなかったが、急に思い出したことがあって真っ赤な顔になった。自分では確認してないが、蓮が凝視しているのが昨日蓮に吸われた場所だと気付いたからだ。
起き上がって逃げたいところだが、蓮の身体は今だキョーコの上にあり、身動きを取ることが出来ない。

「こっこれは…えっとその…ちょっとしたトラブルといいますか…敦賀さんには関係ないことなのでお気になさらず…」

蓮に付けられたなんて恥ずかしすぎて言えず、覚えてないなら忘れさせたままにしようとキョーコはその場所を手で隠して誤魔化そうとしたのだが、その瞬間、蓮の空気がガラリと変わった。
急速に温度が氷点下まで下がった感じがしてキョーコがピキンと固まる。

「関係…ない…?」

怒りが溢れたその声音にキョーコが震え上がった。

「ひっ!!」

「誰につけられたのか知らないけど、関係なくはないだろう…?」

「えぇ?!いえ、本当…ただの事故ですからっ!!」

「ただの事故でこんなにくっきり?誰に許したの?」

蓮の怒りの波動に怨キョ達もすくみ上がって動けなくなっていた。
キョーコも真っ青になって涙を浮かべて蓮に訴える。

「ゆ、許してな…」

「そう…。じゃあ俺が上書きしてあげる。いいだろ?」

「へ?!」

キョーコが言われた言葉の意味がわからなくて目をまん丸に開けた瞬間、キョーコの隠している手を強引に引き離して、蓮の熱い吐息がキョーコの首筋に吹き掛けられた。

「あ…や…」

制止する間も与えられぬまま、蓮が首筋にキツいくらいに吸い付く。
昨夜と同じ場所に昨夜と同じ人物からしつこいくらいに吸われ、熱い舌で首筋を辿らた。甘く痺れるような感覚にキョーコは襲われ、もう何が何だかわからなくなる。

「やっ…ん」

蓮はキョーコの耳を甘噛みすると、そのまま耳に息を吹き掛けながら、「痕つけられたのはここだけ?」と囁きながら、ゆっくりとキョーコのボタンを外しにかかった。

ボタンを外している蓮に気付いて、キョーコは慌てて両手で制止しようとしながら叫んでいた。

「つ、敦賀さん!!お気を確かにぃぃぃぃ!!!!」

キョーコの叫び声に漸く我を取り戻してくれた蓮の動きが止まった。
半分までボタンは外されてしまったが、何とか無事でいることができそうだ。

しかし、蓮の様子がおかしくて、キョーコは心配そうに蓮を下から覗き込んだ。
呆然としている蓮は己の思考にはまってしまったようだ。

先ほど必死で抵抗しようとした時に潤んだ瞳でそのまま蓮を見上げていると、顔を上げた蓮と目が合った。
驚愕に目を見開き、呆然と自身を見つめる蓮にキョーコが戸惑っていると、蓮が漸く言葉を発した。

「思い、出した…」

「え?!ええぇ?!」

キョーコは真っ赤になった。一体何処からどこまで思い出したというのだろうか。

「ごめん…昨夜は…暴走したみたいだ…」

「い、いえっ!」

「ここも…消毒も何も、痕付けてたの俺だったんだね。何度もごめん。痛かったろう?」

「い、いえ!!じ、事故ですから!!」

「…事故?」

「寝ぼけてたんですよね?!大丈夫です!!勘違いなんかしませんから!!」

「え…?いや、違う。さっきのあれは事故じゃなく、嫉妬だよ?」

「へ?嫉妬…?」

「自分以外の誰かが、最上さんにあんな痕を付けたのかと思ったら頭に血が上ったんだ。」

「え…何で…?」

キョーコが問えば蓮は真剣な顔でキョーコを見つめた。
キョーコの心臓がドクンと大きく跳ねる。
ドキドキドキドキと徐々にスピードを上げる心臓、目を逸らすことも、途中で口を挟んで誤魔化すことも出来なかった。
蓮がそっとキョーコの手を優しく取り指を絡めて重ね合わせる。
熱い掌がキョーコをベッドに縫い付けたまま、そんなキョーコの目を見つめて蓮は口を開いた。

「単刀直入に言う。最上さんが好きだ。いや、好きだなんてちんけな言葉に思えてしまうくらい愛してるんだ。」

「う…そ…」

キョーコの唇と心がワナワナと震えた。
とても信じられなくて、でも嘘を言っているようにも見えなくて、キョーコの目から涙が溢れた。
そんなキョーコの手を蓮はぎゅうっと握りしめる。
繋がったその場所から蓮の体温と想いを感じて、キョーコの顔が真っ赤に染まる。

「嘘じゃないよ。本当だ。自覚したのはダークムーンの撮影の時だけど、それよりもずっとずっと前から…俺は君に惹かれてた。」

蓮の懐かしむような優しい微笑みがキョーコの心を攫う。

「昨日の言葉も酔っ払ったからだけじゃない。全部本心だ。君のことが好きだから、誰にも渡したくない。だから独占欲の俺の証を刻み込んだ。」

「そんな…まさか…」

呆然と呟くキョーコを蓮は柔らかい笑みで見つめる。

「俺は君を…最上キョーコという一人の女性をこの世の中の誰よりも心から愛してる。」

力強い蓮の声がキョーコの鼓膜を揺らした。




蓮のいなくなったベッドの上で今だキョーコはぼうっと宙を見つめていた。

“愛してるんだ。”

蓮の真剣な表情が頭に浮かんでカァァッと顔が熱くなる。

“だから考えてくれないか?俺とのこと…俺との未来をーー”

結局朝ごはんも昼ごはんも用意する時間がなくて、蓮はキョーコにありったけの想いを伝えると、時間だからと今日の仕事に向かってしまった。

ーーー敦賀さんが…私を…?

今まで全く想像していなかった。
それこそ明日は雷が降るんじゃないかとか地球が滅亡しちゃうんじゃないだろうかと物騒な事を考えてしまうくらいだ。

蓮の気配が色濃く残る寝室で胸がきゅうっと切なくなった。
蓮のことを思い出すと、また抱きしめられたいなんて思いと、心臓に悪いので抱きしめらるなんてとんでもないという相反する思いがせめぎ合う。

ーーー敦賀さん…真剣だった。

愛を告げた蓮の目は真剣そのもので、冗談やからかいなんて気配はまるでなかった。

ーーー本当に…私…なの…?

蓮本人にそう言われたのにも関わらず、キョーコは実感が沸かず、腑に落ちない。

ーーーだって“キョーコさん”は?

代マネの時のあの蓮の優しい甘く溶けるような眼差しは、なんだったのだろうか…?
酔っ払った蓮からあれはキョーコ本人のことだと言われたが、どういうことなのだろう?

ーーーあの時は…嫌われてたはずだもの…。

キョーコちゃんだなんて、あんなに甘やかなマスクで呼ばれるなんてことありえない。どうしてもそんな風な考えが浮かんでしまう。
ベッドの中でコロンと寝返りを打つと、胸の中がキュウンと切なく締め付けられた。

「はぁぁー。本当に…どうしたらいいの?!」

考えても答えなんて出なくて、好意を向けられてることを素直に認めてしまえば、もうあとは愚か者への道へ真っしぐらな気がしてならない。

「アイツの時の10倍くらい愚か者になるのは確定よね…」

キョーコはキュウッと蓮の枕を抱き締めた。



暫く思考にはまっていたキョーコだがいつまでもゴロゴロしているわけにはいかないと気合を入れて起き上がった。
幸運なことに学校は祝日のおやすみで、撮影なども入っていない。
本来なら事務所に雑用があるかもしれないから顔を出そうと考えていたところだが、今日が一日オフでよかったなんて珍しいことを思い、足が引きずられるようにダラダラと動いてしまう。思考が今だに先ほどまでの出来事に囚われたままだからだろう。
ここ数日の間に色々なことが起こったような気がする。
特にこの二日間で蓮との二人の関係性が大きく変わってしまった。

ーーー私がキスなんかしちゃったから…?

あんなことしなければ今までのままでいれたのだろうか?
だけどあの時は止めることなんて出来なかった。
指を切ったのは不注意だったが、指を咥えられあまつさえ再び唇を重ねてしまった。蓮からのキスも甘く溶けてしまいそうでーー。
あの場面を皮切りに転がり落ちるように先輩後輩の鉄壁の距離がなくなってしまった。

ーーー裸も…見られてたし…。あんな酔った敦賀さんも初めてで…首にキスマークまで…

顔を洗おうと鏡の前に立ち、キョーコはハッとして顔を上げて、己の首元を確認した。その瞬間、顔は一瞬真っ青になり、次に茹で蛸のように真っ赤になった。

「な、ななな、何よこれぇぇぇぇぇーーーーーーー!!!!」

己の首もとにある凄まじい所有印に、キョーコは大絶叫を上げざるを得なくなったのだった。



「全く…本当にっ!信じらんない!!!!」

キョーコは真っ赤な顔のまま、プリプリと怒っていた。

「こんなに、メチャクチャな痕の付け方するなんて…!!」

あまりにもくっきりと右側に集中して至る所にあるため、絆創膏で隠すのも不自然だし、コンシーラーでも隠せないだろう。
包帯巻くのも…何だか変よね?

キョーコは恥ずかしさのあまり、自分の部屋となったゲストルームで布団に潜り込んでいた。

あの寝ている蓮への不意打ちのキスに決壊した恋心が現れていたのならばその時点でこの想いを秘め続けることがもうキョーコにとっても既に限界だったということだろう。

「どう…したらいいの?」

今日、蓮はなるべく早く帰ってくると言っていた。
返事を返さなければいけない。

ーーーだけど…私は…。まだ、怖い…。

手に入れてしまったら、どうなるのか?
いつか離れなければならない日が来るはずだ。
そんな日が来る恐怖と背中合わせて生きていくことになるのだろうか?

「貴方が…好き…だけど…。」

想いを伝える勇気なんて探しても見つかるものじゃなくて、キョーコは苦しくなる胸を抱えて、ベッドの中で丸まったのだった。


(続く)


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そろそろラストスパート!
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