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My HOME-オマケinだるま屋-

My HOME-オマケinだるま屋-


「おやおやまぁまぁ」

だるま屋の女将が、入り口から入ってきた人物を見て、驚きで目を見開いていた。

「女将さん、ご無沙汰しております。」

キョーコがいつものように綺麗なお辞儀をして挨拶をすると、女将も微笑み返した。

「あぁ、キョーコちゃん、久しぶりだね。元気にしてたかい?」

「はい。とても。女将さんも元気そうで…」

「元気だけが取り柄だからね。それにしても…随分と珍しいお客様を連れてきたねぇ…。」

女将の視線はキョーコの後ろから現れた大きな男に釘付けだった。

「あ、えっと…いつもお世話になってる事務所の先輩の敦賀さんです。」

「はじめまして。敦賀蓮です。お忙しいところお邪魔してしまい申し訳ありません。」

頬を染めて恥じらいながら可愛らしい笑みを浮かべて隣の男を紹介するキョーコを見て、女将は全てを察することができた。

「まぁまぁ、ご丁寧にどうもありがとうございます。キョーコちゃんが会わせたい人がいるって言うから…どんな方が来るかと思えば…まぁぁぁぁ…」

テレビでも見ない日はないというような人気絶頂の男が目の前に立っていて、驚かないはずがない。
キョーコの部屋にも顔写真が貼られていたことから察して相当なファンなのだろうと思っていたら、まさか、店を閉めてた間にこのようなことになっていたとはと、驚きすぎて言葉にならない。
キョーコと蓮の顔を何度も見比べてしまっていた。

「あの…これ、つまらないものですが…」

居た堪れなくなって困った蓮が持っていた紙袋の中身をおずおずと差し出せば、漸く、女将はハッと我を取り戻した。

「あらあら、ごめんなさいね。わざわざありがとうございます。まぁどうしましょ。とにかくこんな所ではなんですから、上がって下さいな。キョーコちゃん、お茶の間にお通しして。」

「あ、はい!敦賀さん、どうぞ。」

「お邪魔します。」

大慌てで女将が奥に引っ込み、キョーコが先導し、蓮も後に続いた。



そして、お茶の間では上座にドドンと腕を組んで胡座をかいて座る強面のだるま屋の大将と、その隣に女将、女将の正面にキョーコ、そして大将の正面に蓮という配置で座っていた。

4人の間にピンと糸が張ったような緊迫した空気が流れる。

「…………。」

「はじめまして。キョーコさんと同じLMEの敦賀蓮と申します。」

1番に口を開いたのは蓮だった。
大将は眉間に皺を寄せ、ジッと蓮を品定めするように見つめていた。

「先日からキョーコさんと真剣にお付き合いをさせて頂いてるので、ご挨拶に参りました。挨拶が遅れまして申し訳ありません。」

「…………。」

相変わらず、無言の大将に変わって女将がおずおずと口を開く。

「キョーコちゃん、あんた今…どうしてるんだい?事務所の先輩の家でお世話になってるって聞いてたけど、もしかしてその先輩ってのは…」

女将の目がチラッと蓮を見る。

「はい。あの、今は敦賀さんの家に…置いて頂いてます。」

「やっぱりそうなのかい?」

女将が驚いて目を見開いた。

「私らが口出しすることじゃないかもしれないが、年若い男女が…一つ屋根の下ってのは…キョーコちゃんもまだ高校生だろう?少し早いんじゃないのかい?」

女将さんが心底心配そうに口を開く。
蓮は女将の真意を受け止めてしっかりと女将の目を見て答えた。

「彼女には、今鍵付きの個室を使ってもらってますので寝室は分けてあります。それに彼女は俺にとって唯一無二の特別な存在なので、無理強いをするつもりはありません。彼女のペースを尊重するつもりです。そして勿論、結婚もしっかり視野に入れて付き合ってます。」

「え?!」

キョーコは驚いて蓮を見つめた。
今、結婚という言葉が蓮から聞こえなかっただろうか?
キョーコの驚きの声に、蓮もキョーコを見つめて首を傾げた。

「…嫌?」

蓮がそっと囁くように問いかけると、キョーコは頬を染めてフルフルと首を振って、小さな小さな声で「イヤじゃないです。」と答えて、蓮の服の袖をチョミッと掴んだ。
その答えに蓮がホッとしたように嬉しそうに頬を緩めると、そんな二人を見ていた大将が目を見開き、フッと一度目を伏せると、再び顔を上げて二人を見て、漸く重い口を開いた。

「敦賀さん…と言ったか…。」

今まで一言も喋ろうとしなかった大将の口が開いて、蓮は驚いて背筋をピンと伸ばした。

「っ!はい!」

「俺はこいつの親じゃねぇ。…だけど、本当の娘みたいに思ってる。」

「はい。お二人のことは良くキョーコさんから聞いてます。だからこそ、ご挨拶に伺いました。」

「…遊びじゃねぇだろうな?」

「遊びだなんてとんでもない。俺は真剣です。真剣にキョーコさんとの将来を考えてます。」

蓮が言い切ると、大将と蓮の間に沈黙が落ちた。
大将の視線が蓮の目の奥の真意を探るように突き刺さる。
蓮は臆することなく、大将のその強い視線を受け止めて、大将を見つめ返していた。
視線をそらすことなく、ずっと。
バチバチッと二人の間に火花が飛んでいるようだった。

ほんの数十秒のことだったと思うが、緊迫した空気は何十分にも何時間にも感じた。
キョーコも女将も息を詰めて二人の顔を不安げに見つめていた。

そうして大将が先に目をそらすと、フッと顔に優しい笑みを浮かべて蓮を見た。

「幸せにしてやってくれ。」

「ありがとうございます。」

大将の言葉に、蓮が深々と頭を下げ、キョーコと女将もホッと息を吐いて女同士二人で目配せをして微笑みあったのだった。




「敦賀さん、キョーコちゃんを独り占めしないでくれよ。キョーコちゃんにたまには遊びに来てもらわないと、この人だって寂しがるからさぁ。」

同棲を認めてもらえたキョーコと蓮が帰るのを見送る大将の横で、女将がにこやかに口を開いた。
それに蓮がしっかりと微笑む。

「ええ、もちろんです。」

「キョーコちゃん、ここをもう一つの家だと思ってまたいつでも遊びに来ておくれよ?」

「はい!ありがとうございます!大将、女将さん、また遊びに来ますね!」

そして大将も口を開いた。

「敦賀さん、アンタもキョーコと一緒にいつでも来い。うめぇ飯食わしてやる。」

「はい。ありがとうございます。また伺います。」

だるま屋の大将と女将に深々とお辞儀をして、二人で仲良く並んで歩き始める。
車を止めた公園までのほんの短い距離を、手を繋いで歩く初々しいその二人の姿が見えなくなるまで大将と女将が温かい目で見守っていた。

「キョーコちゃん、幸せそうだったねぇ。」

「…あぁ。いい顔してた。」

「ふふ。寂しくなるけど、キョーコちゃん若いのに人生諦めてるみたいなところあっただろ?だからこれで良かったのかもしれないねぇ。」

「…まぁ子は親からいつかは巣立って行くもんだ。」

「それにしても実の親でもないのに、あんな風に挨拶に来てくれるとは…嬉しいねぇ。」

「あぁ…。」

女将が顔をほころばせる。大将も優しい笑みを浮かべていた。

「…それにしても敦賀さん、テレビで見るより良い男だったね。」

「テレビではいけすかねぇ笑顔浮かべやがると思ってたが、しっかりした芯がありそうだ。」

「あの子も沢山、苦労してきてるんだろうねぇ。」

二人で何気ない会話をしながら仕込みの準備に取り掛かる。
暖かい気持ちの中に若干の寂しさを感じながらも、寂しさを会話で紛らわせていた。

「結婚もあの様子じゃ早いかもしれないねぇ。」

「さぁ、どうだろうな。」

「呼んでもらえるかねぇ。」

「…どうだろうな。」

二人の会話は、お店が開店するまで続いたのだった。


END

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非公開コメント

No title

風月様

ほっこりですね~。

礼儀正しい蓮様。やっぱりカッコいいです。

だるま屋の大将と女将さんにも、認められて、順風満帆!

MY HOMEは終わりかもしれませんが、次の展開の基礎が見えた気がしました。

ありがとうございました。

かばぷー

わ~いヽ(^o^)丿

風月さん、こんにちは!

「My HOME」が完結してしまって、
寂しいなぁ~と思っていたのですが
オマケ小説を書いて下さったのですねー!

だるま屋のご夫婦とキョーコちゃんの関係が
とっても好きなので、お二人の登場嬉しいです!

最大の難関でもある大将に認めてもらって
蓮さん良かったね♪
キョーコちゃんを言い包めて、高校卒業と共に結婚しちゃうんじゃないかな(笑)

Re: No title

かばぷー様

蓮様は礼儀正しいですもんね!
きっときっちり正座していたに違いありません。
なるほど!これからの展開の基礎になってましたかぁぁー!
そうかもしれないですね。

超最大の難関(大将)を味方につけたので、キョーコちゃんを泣かせない限りはきっと大丈夫だと思います♪

Re: わ~いヽ(^o^)丿

愛華様

My HOMEをずっと応援ありがとうございます!
大将と女将さんをこんなにしっかり出したの初めてかもー!!と思いながらの挑戦でした( *´艸`)
違和感なかったでしょうか?(ドキドキ)

高校卒業と同時にって蓮様ならありえそうですよねー!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: 楽しませていただきました

h◯◆△na◉□u7▼11様
※非公開コメントのため名前伏字でお返事失礼します。

こんにちは!コメントありがとうございます♪
楽しんで頂けて嬉しいです☆
またいつでもお立ち寄りくださいませ♪
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こんにちは。風月のスキビだよりへようこそ。
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