なくした記憶 13

2015年12月02日20:01  なくした記憶/スキビ!《完結》

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なくした記憶 13


昨夜はあの後、何時の間にか二人揃って寝てしまっていたらしい。

翌朝、目が覚めたキョーコはキングサイズのベッドの上で蓮の下敷きになっていた。
胸に重みを感じて目を覚ますと、ちょうど胸の位置に蓮の横顔があったのだ。
蓮の方はどうやら熟睡しているらしい。

覗き込んで見ても、昨夜の顔の青白さは残っておらず、キョーコはホッとして蓮の寝顔をみつめた。

すよすよと眠る寝顔はまさに宝石のような美しさ。
手を伸ばしてサラサラの髪に触れる。

ーーーふふふ、やっぱりなんだか可愛い感触なのよね。敦賀さんの髪って…。

そこで、ハタとキョーコは今の体制に気付いた。

ーーーささやかなわたくしめの胸に、敦賀さんのお顔が乗っかっていらっしゃるーーー!!!!

ひぃーー!!と青ざめたらいいのか、真っ赤になったらいいのかそれすら分からずにキョーコは混乱する。

意識して一気に激しく動き出した心臓に、蓮が僅かに反応して身じろぎした。

背中に回した蓮の腕に少しだけ力が入り、胸にすり寄ってくる。

「…ん…。」

ーーーいぃやぁー!!うごかさないで!動かないでぇ!!頬ずりしないでぇ!!ヤバイ!ヤバイわ!この激しい鼓動をなんとかしなきゃ、敦賀さんの安眠を妨げることに!!何とかここから抜け出さなきゃ!!

キョーコは蓮を起こさないように細心の注意を払いつつも、ジタバタと藻掻いてみるが、この大きな身体に力で叶うはずもなく、無駄な抵抗となってしまった。

ーーー何だか、捉えられた虫ケラの気分…。…ん??この格好昔どこかで…。

キョーコは、同じような体制になったことがある気がして、記憶を辿った。

そして、思い出したのが蓮と出会ったばかりの頃、代マネをした時のあの出来事だった。
蓮が珍しく風邪を引いてしまい、熱が高いまま臨んだ雨の撮影が長引いて、控え室に戻った瞬間に蓮が倒れたのだ。
その時支え切れずに、二人一緒に床に倒れこんでしまい、今と同じように身動きを取れない状態になってしまったということがあった。

ーーーそういえば、そんなこともあったかも…。あの時は本当に大変だったなぁ。…今と違って、敦賀さんのことを全く意識していなかったし、同じ体制でも何も感じなかったけど、今は…かなり…恥ずかしすぎる!!

うひーと思わず真っ赤な顔を両手で隠し、必死に耐えるキョーコ。

「ん…キョーコちゃ…」

ドキンとキョーコの心臓が跳ねた。

ーーー私の夢…みてくれてるのかな?

ドキドキしながら蓮の寝顔を見つめる。

ーーーあの時は、この人が意地悪でとっても苦手で、こんなに愛おしくて大切な存在になるなんて思わなかったな…。

さらさらと再び蓮の髪に触れるキョーコ。

スピーと寝息を立てる蓮が何だか可愛くて、くすくすと笑いが漏れてしまう。

ーーーコーンと敦賀さんって本当に全然別人みたいだわ。

「可愛いなぁー。」

思わず漏れてしまった声。

ーーーそういえば、何度か敦賀さん見て可愛いって思ったことあったかも…あれは、敦賀さんじゃなくて、コーンだったのかな…?

敦賀さんがもしかしたら自分にだけは、本来の姿を見せてくれていたのかもしれないとしたら、ちょっと嬉しいかも。そう考えて、キョーコはまた僅かに頬を染めた。



ー20分経過ー


ーーーえぇーとぉ…。今日は昼から収録だから、午前中だけ学校行く予定にしてるんだけど…。そろそろ、朝食作りたいな…。起こしちゃうのは気が引けるけど、離してもらうには起こさないと…!

キョーコは意を決して、蓮の肩を軽く叩く。

「コーン?コーン。起きて?朝だよ。」

「んー…??」

まだ夢の中なのか、中々顔を上げない蓮。

「あ、さ、だよ!起きて!」

「んー。…もうちょっと…。」

蓮の腕に力が篭る。

仕方ないなぁと呟いて、優しく宥めるキョーコ。

「じゃあ、朝ごはん作りたいから、離して?」

「……イヤダ。」

ーーーか、可愛いぃぃいー!

蓮の甘えた様子に、ついうっかりトキメキスイッチを押されてしまい、身悶えそうになってしまう。

ーーーここは!気を引きしめていかないと!!

「イヤダ!じゃありません!!」

「…んー。…側にいるって言ったぁ…。」

気怠げな唸り声に、未だに夢の中にいるような呂律の回らない蓮の声。
無意識なのか、キョーコに更にぎゅうと抱きついてくる。

「うっ!!」

ーーーか、可愛い!!かわいすぎる!!それは反則よぉー!!

「も、もう!あとちょっとだけですからね!!」

蓮は満足そうに微笑むと、再び夢の世界へと旅立って行った。


暖かいものに包まれて、ふわふわと幸せを感じながら夢の世界を旅していた蓮。さらさらと髪を弄ばれる感覚は、風にくすぐられてるようで、気持ちがいい。
風に乗って甘い香りが鼻をくすぐる。

ーーきゅるきゅるきゅるきゅきゅ~~~。

幸せいっぱいの夢の世界を旅していた蓮の耳に、突然響いた大きな謎の音。

驚いた蓮はガバッと身を起こして辺りを伺った。

「何だ?」

キョロキョロと辺りを見回していたら、再び近くから音が鳴り響いた。

ーーきゅるきゅるきゅるきゅるるるる~~~。

「え?」

「ひぃやぁぁぁぁあ!!」

音を確かめるように下を見た蓮と恥ずかしさで真っ赤になったキョーコの目が、ばちんと合った瞬間、ガバッと起き上がって叫びながらお腹を抑えるキョーコ。

「キョーコ…ちゃん?…え?何…してるの?こんなとこで…」

昨夜のことを全く覚えていないのか、蓮がキョトンとした顔でキョーコに尋ねた。


(続く)

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きゃー!蓮君で遊びすぎ?!遊び過ぎですか?!
許して下さーい!(土下座)
何故か、こんなことにっ!(恥)


※Amebaで2011/11/23に公開した話を若干訂正したものです。
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