My HOME-4-

2015年10月20日13:57  My HOME/スキビ!《完結》

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My HOME-4-


蓮と一緒に生活するようになって、キョーコには驚いたことが幾つかあったのだが、洗濯物もその中の一つだ。
どうやら今まで蓮は洗濯をほとんどしたことがないらしい。あるとしても下着くらいで、それ以外は洗濯専用の袋に入れておけば、勝手に洗濯をして部屋まで持ってきてくれるというサービスがあるというのだ。
まぁ確かに、敦賀蓮が洗濯というのは全くイメージにないので、当然といえば当然なのかもしれないと思ってしまうのだが、一体月にいくらするんだと思ってしまうマンションを間借りさせてもらって、家賃代が食事だけというのも何と無く納得がいかない。

食事だけでなく、家事全般もやらせて欲しいと願い出たキョーコに、掃除はハウスキーパーの人が週に一回来てくれて、その人が洗濯物を持ち帰り、次の日には綺麗に畳まれた状態で戻ってくるというのだからキョーコは空いた口が塞がらない。

今度からそれは全部私がやります!と蓮を説得して、キョーコは見事家事全般を任せられるようになった。

しかし、洗濯物は外に出すことが出来ない。ベランダに干そうと思ったのだが、高層階の為か、風が凄くて洗濯物がすぐ飛ばされそうになってしまうのだ。
そこでキョーコは使われてないゲストルームを洗濯物を干す部屋として使わせてもらえないかと交渉した。
蓮はあっさりと承諾してくれたので、ホッと胸をなでおろした。
自分の部屋に蓮の下着を干すこともさることながら、リビングに自分の下着を干すことも抵抗があったのだ。
それになにより、あの高級そうな家具が揃うリビングに洗濯物はそぐわない。
それならば、普段あまり使われていない空いてる部屋を使わせてもらう方がいいだろうと提案したのだ。

キョーコが蓮に洗濯部屋の交渉をした次の日、撮影の仕事を終えて帰宅したキョーコは、洗濯用に空けると蓮が言っていた部屋に入って驚いた。家具などが綺麗になくなっており、代わりに洗濯用の大きな物干し竿や業務用に見える除湿機等が運び込まれていたのだ。

翌朝、意気揚々と洗濯機を回して干し始めたのだが、蓮の洗濯物と自分の洗濯物を一緒に洗ったのかと思うと、なんとなく恥ずかしくなってしまった。

ーーーな、なんか…やっぱり、素直に預けるようにしとけば良かったかも…。

明らかに高級感のある蓮の服と、それに絡まるように洗濯機に入っていた自身の安物の服を見て、早くも後悔が押し寄せる。

もし、万が一色落ちして蓮の服に色が移ってしまったらと考えて、キョーコは真っ青になってしまった。

ーーーいやぁぁぁぁ~~!一体ワイシャツ一枚でいくらするのよぉぉぉ~!!

そんなことを考えながらもシワになる前にと、テキパキと干していたキョーコだったが、突然、その手がピタリと止まった。
手にとったものを見て、キョーコの顔がみるみるうちに真っ赤に染まる。

言わずもがな、蓮の下着だった。

幼馴染の洗濯物を洗っていた時に耐性は出来ていると思っていたが、蓮のものだと思うとやはり恥ずかしさが先に立つ。

しかし、そこである考えに思い至った。

ーーーもしも夫婦になったら、これが日常なんだわ…。

キョーコの頭の中でピンク色のラブラブモード全開の新婚妄想がぽわぽわ~んと浮かんだ。

お気に入りのエプロンで、お玉を片手に玄関に小走りで向かう。

『おかえりなさい、あ・な・た♡』

『ただいま、マイスイートハニー♡』

ちゅっとおかえりなさいのキスをして、カバンと上着を受け取る。

『早かったですね?』

『うん。早く君に会いたくって。』

『もうっアナタったら!!ご飯にする?お風呂にする?それともワ・タ・ーー「』いやぁぁぁぁ!!ないないないない!!!!」

キョーコは真っ赤になって大慌てで脳内妄想をぶった切った。

頭の上に浮かんでいた妄想をかき消す為に蓮のパンツを振り回してしまったことに気付いてまたギャッ!!とさけんでしまった。

そんなことをしつつ、楽しい洗濯タイムは終了して、お次はと、掃除機を手にとった。
たくさんある部屋をくまなく掃除して、お風呂とトイレ、シンクまで綺麗に磨き上げる。

すべてを終わらせる頃にはキョーコも汗を掻いていた。
清々しい笑顔でふうっと息を吐いて、掃除し忘れた場所がないかを見て回る。

リビングもキッチンも、バスルームもトイレも寝室もその他の部屋も埃一つ落ちてないほど完璧だと思ったキョーコは満足して、今日は昼からとなっていた仕事へと向かったのだった。




今日はスチール撮影と、雑誌の取材とCMナレーションのみだったので、割と早く終わることが出来た。

ーーー今日は少し手の込んだ料理にしようかしら?

買い物カゴを手にとって、食材をウキウキと選ぶ。
蓮に毎日料理をつくるようになってから料理が益々楽しいものに思えて来ていた。

本当に料理が出来て良かったと心から思えるのだ。

食の細い蓮でも食べれる量を心掛けてはいるが、それでも少し作りすぎちゃったかな?という時だってある、そんな時でも蓮は、“美味しい、美味しい”と言葉にして残さず食べてくれるのだ。
自分の作った料理が蓮の体の血となり肉となり、あの美しい体を支える為の基礎となる。

『ご馳走様、最上さん。今日も美味しかったよ。』

綺麗になくなったお弁当箱を差し出されて、とろけるような笑みを向けてくれる。

今まで沢山の人に料理を作ってきたが、あんなに幸せそうにとろけるような笑顔でお礼を言われるのは初めてで、何ともくすぐったい。

笑顔なら沢山の人に見せてもらった。女将さん、モー子さん、天宮さん、百瀬さん、大原さん、社さん、緒方監督、貴島さん、光さん、慎一さん、雄生さん…などなど。
大将は無表情だが、あれで喜んでるんだよ。と女将さんが教えてくれた。

だけど、蓮の笑顔はそれらの笑顔とは別次元のものだと思ってしまうほど、キョーコの心を鷲掴みにするのだ。

ーーーまぁ、あの馬鹿は作ってもらえるのが当然だって感じでお礼なんか言われたことがなかったけど…。

好きな人に食べてもらえて、幸せそうな笑顔でお礼を言われることがこんなに嬉しいことだと初めて知ったキョーコは、蓮の喜ぶ顔を見る為にどんどん手の込んだことをしたくなるのだ。

ーーーだって、敦賀さんに食べてもらいたいんだもん。

ほわほわと、また蓮の笑顔を思い出して、トリップしていたが、漸くまだ買い物中だったことを思い出した。

「はっ!!いっけない!!早く買い物して作らなきゃ!!帰ってきちゃうわ!!」

冷蔵庫の中身を思い浮かべて、慌てて足りない食材をカゴに放り込む。

ちょっと買いすぎたかも?なんて思いながら両手に袋をぶら下げて、家の鍵を取り出し、パスワードを入力する。

まるで本当の自分の家のように押すことが慣れてしまったパスワード。
それがなんともくすぐったい。

敦賀さんのお家だと何度も思おうとするのだが、今自分が帰る家であることに代わりはない。

何だか自分が蓮の特別になれたようなそんな気分にさえなってしまうのだ。



ーーーえへへ。エプロン…買っちゃった。

帰り道で見つけたエプロン。一目惚れで購入してしまった。家事をする時に身につけておけばテンションも上がるだろう。

勝手に新婚さんになった気分だ。

買ってきた食材を冷蔵庫に収めて、エプロンをつけて、鼻歌交じりに料理を始める。

頭の中は、蓮が喜んでくれるだろうかということでいっぱいだ。

そうこうしている内にメールが届いた。

今日の帰宅が早まって21時にはマンションに着きそうという蓮からのメールだった。

「今日、敦賀さん早いんだぁ~。」

それだけ、この家で一緒に過ごす時間が増えるということに幸せを感じる。

ーーーエプロン…気付いてくれるかな?

ほんのりと頬を染めながら、トリップしそうになる思考を慌てて止めて、テキパキと料理を進めた。



「ただいま。」

ガチャリと玄関の開く音の後にすぐに聞こえた低い声に、キョーコはパタパタとスリッパの音を響かせながら、帰ってきた蓮を出迎える為、玄関へ向かった。

「おかえりなさい!早かったですね。」

嬉しくって声が弾んでしまう。

「うん。今日はスムーズにいってね。」

蓮も眩しいものでも見るように目を細めて微笑んだ。そして、ピタリと固まってキョーコの姿をマジマジと見つめて、顔を綻ばせた。

「そのエプロン、似合うね。かわいいよ。」

「え?!あ!あ、ありがとうございますっ!!」

さらりと褒められて、一気に顔中に熱が集まる。

「料理、もうすぐで出来るんです!お先にお風呂にされますか?」

「うん。そうだね。そうするよ。ありがとう。」

蓮の持っていたカバンと上着を受け取るとすかさず、お礼の言葉を紡がれる。
そんなところにもいちいちときめいてしまうのだ。

ーーーやっぱり優しいなぁ。敦賀さん…。奥さんや彼女がいたら絶対に大事にするんだろうなぁ。

まだいないであろう彼女や奥さんのことを思って、少しだけ胸に棘が刺さり、苦い思いを抱える。

「最上さん?どうかした?」

不意に顔を覗き込まれて、キョーコは飛び上がらんばかりに驚いた。

「ひゃ!!つ、敦賀さん、近いです!!なんでもありません!!」

慌てていえば、蓮はクスクスとおかしそうに笑って、大きな手でキョーコの頭をぐしゃりと撫ぜた。

「お風呂、入ってくるよ。」

「はい…。」

蓮がお風呂場に入るのをポーッと見送って、キョーコは触られた頭にそっと手を伸ばした。

「不意打ちなんて…ズルい…」

何処まで、人の心をかっ攫う気なんですかと思わず言いたくなってしまう。
一緒に暮らし始めて益々蓮の魅力に引き込まれて、もうどうしようもないのだ。

ーーー二度と恋なんてしないって思ってたくせに…ね。

そう思いながらも、想うだけなら悪くないんじゃないかしら。とキョーコは結論づけたのだった。


(続く)


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