なくした記憶 22

2015年12月18日16:58  なくした記憶/スキビ!《完結》

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さてさて、ここからどうなるやら??
ではでは、お楽しみくださいませ。

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なくした記憶 22


大好きな香り、大好きな温もりに包まれて、安心している自分がいる。
そろそろ起きなければって思うのに、気持ちが良過ぎて起きられない。

ーーーずっとずっとこの暖かい腕の中に包まれていたい…

ーーー…ん??腕…??

キョーコはパチリと目を見開いた。
瞬きをしばらく繰り返すキョーコの目の前は真っ暗だ。

もぞもぞと動くとぎゅっと抱き締められる。その拍子に布団がずれ、光が漏れて喉仏がキョーコの目に映った。

ーーー?????

それが何か分からずに凝視して固まっていると、ゆっくりと目の前の喉仏が動き、頭上から美声が漏れた。

「…ん…ぅ…」

それと同時にまたもや強く抱き締められ、足までも絡み取られる。

キョーコはようやくこの状況を把握する事が出来て、一気に心臓が働き出した。
全身茹でダコのように真っ赤になっているのが、嫌でもわかった。

ーーーお、お、お、おおお、落ち着くのよ!落ち着くのよキョーコ!!決めたじゃないの!!子供に見られないようにするんだもん。こんなの平気じゃなきゃいけないのよ!!


ーーー…でもでも!!無理よ!!どうしたらいいの?!どんな顔して起こせば…!!

分からないー!!!頭の中で小さなキョーコがオロオロと走り回りグルグルと目を回していた。

すると、蓮が目覚めた気配がしたので、ハッとして見上げたキョーコは真っ赤な顔で蓮を見つめた。

蓮もキョーコを見つめて、一瞬なんでキョーコが腕の中にいるのか分からずに狼狽えた。
キョーコにつられたのか、蓮まで真っ赤になってしまった。

芸能界一いい男。抱かれたい男No.1。

世間からそう評されている蓮が真っ赤になって狼狽えているのだ。

それを見たキョーコは面食らってしまった。


目覚めて一番に顔を真っ赤にして見上げるキョーコの殺人的な可愛さを目にしてしまい、蓮が半ばパニックになって赤面し口をパクパクさせていると、突然腕の中のキョーコが顔を伏せて震え出した。

「…え?!キョ、キョーコちゃん?!ど、どうしたの?!」

「…も、ダメ…っ。」

キョーコは苦しそうにそう言うと、一気に吹き出して笑い転げた。

「あはははははははは!!っつ!敦賀さん…っが!!く、くくく、いや、……今は、…コーン…なんだけどっ!!ぷっくっ、あははは!!」

涙まで流し出したキョーコに、蓮がブスッと不貞腐れる。

ますます笑いに拍車がかかるキョーコに、蓮は痺れを切らし、キョーコを抱き締めたまま、キョーコの上にのしかかった。

「いつまで笑ってるのかな?…ん??」

夜の帝王で微笑まれ、凄まれたことで、今度はキョーコが真っ赤になる。

蓮の手がキョーコの頬を包み込み、指が唇をゆっくりとなぞる。

「笑うのは…この口…かな??塞がなきゃ…ね??」

壮絶な色気を醸し出す蓮に、キョーコは氷のように固まる。

ゆっくりと近付く蓮の顔に、キョーコの心臓は激しくなる一方だ。堪らずに、キョーコは大絶叫を上げていた。

「いいぃやぁーーーー!!!」

キョーコの大絶叫を聞き、蓮が弾かれた様にキョーコから離れる。

「…あ…ごめん…。俺…??」


蓮は自分の行動に困惑していた。

「ごめん。頭、冷やしてくる」

蓮はキョーコに背を向けると、頭を冷やす為にシャワーに向かった。



シャワーに向かう蓮を見つめ、キョーコは後悔していた。蓮は背中を向ける直前に物凄く傷付いた顔をしていたのだ。

ーーー子供に見られないように気を付けてたのに、キスされそうになって叫ぶなんて思いっきり子供じゃない!!

キョーコはベッドに再び沈み込む。
まだ蓮の香りと暖かさが残っていた。
それを感じるだけで切なさと愛しさがこみ上げて渦をまく。

ーーー好き…。貴方が好きなのに…。近付く事が怖い…。記憶が戻ったら…どうなっちゃうんだろう?


キョーコはギュッと蓮の枕を抱き締めていた。




シャワーを浴び終えて、リビングに蓮が戻ると、朝食が着々と用意されていた。

「あ!コーン。ちょうどよかった!今ちょうどご飯の支度が出来たよ。」

ニッコリといつも通りに微笑むキョーコに、蓮は複雑な思いを抱いた。

キョーコちゃんは、御世話係として側にいてくれるだけなんだ…。
俺に対して特別な感情を持ってる訳じゃない…。

あんな事をしたのに、いつも通りのキョーコを見て、蓮は内心ガックリと項垂れた。

ーーーシャワー浴びながら嫌われたかも…ってことは想像したけど、こうまで意識されてないのは…それはそれで、どうなんだろう??

蓮は複雑な思いを抱えながら、キョーコの作った朝食に舌鼓を打った。


ーーー毎日、キョーコちゃんの料理が食べられるのは、いつまでなんだろう…?記憶が戻ったら、もうキョーコちゃんは側にいてくれないんだろうか…?


蓮の胸が切なく締め付けられた。


(続く)

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※Amebaで2011/12/16に公開した話を若干訂正したものです。
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