なくした記憶《リクエスト番外編☆1》

2015年12月20日09:38  なくした記憶/スキビ!《完結》

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ブログ一ヶ月記念 リクエスト第五弾。

☆朱烙さんよりリクエスト☆
『なくした記憶設定で、蓮が久遠の姿でキョーコは昔の黒髪にツインテールは無理そうなので、2つくくり?の姿でオフ日にデート』

※なくした記憶シリーズでは、23話の前後くらいに当て嵌まるお話にしております。そのつもりでお読み下さいませ。
それではレッツチャレンジ!!
お楽しみ下さいませ。


*****


なくした記憶《番外編☆1》


「ど、どどどうしよう!!緊張し過ぎて、言われた時間よりも早く着いてしまったわ!!」

春の日差しが暖かい平日の朝、キョーコは蓮から指定された待ち合わせの駅に来ていた。

ぽかぽかと暖かい陽射しを浴びて、いつもなら心も体もリラックスしそうなところだが、キョーコの心臓は落ち着きなく動いている。

ーーーこ、こんな人通りの多いところで待ち合わせなんて!!コーンは、なに考えてるの?!朝起きたら既にいないし、携帯も通じないからここで待つしかないじゃない!!

何日か前にデートしよう!と蓮に誘われ、そんなの無理!と逃げ回っていると、社から『このままだと、敦賀蓮の仮面が外れかねないからデートしてくれ』と頼み込まれてしまったのだ。

どうやら記憶をなくしたままの蓮は、温厚紳士な大人の雰囲気の敦賀蓮を演じるのに、相当なストレスが溜まっているらしい。それにプラスして、キョーコにシークレットゲストとのデート企画の番組依頼がきているのを知って、蓮の機嫌はここ数日すこぶる悪かった。

何処かで思いっきり発散させないと蓮の仮面が崩れると思った社は、泣く泣くスケジュール調整をして、キョーコに協力を仰いだのだ。

キョーコは、敦賀蓮の仮面の危機を聞いて、そういうことなら…と引き受けたのだが、記憶をなくしている蓮とのデートはかなり不安がある。

家の中ではカップルも真っ青なスキンシップを行ってくるのだ。
それを敦賀蓮の姿で公衆の面前でやられた日には…!!

キョーコは恐ろしさのあまり顔を青ざめさせ、身震いした。

ーーー恐ろし過ぎるっ!!

しかし、蓮とのデート。楽しみじゃない訳ではない。

蓮にとってはそういう意味ではなくても、大好きな人の一日中そばにいることが出来て、独り占めすることが出来るのだ。

キョーコは不安な気持ちと、楽しみな気持ちの狭間で考え込んでいて、後ろから近付く気配に全く気付かなかった。

一人百面相をしていたキョーコの視界が突如として真っ暗になりキョーコは小さな悲鳴を上げた。

何が起こったのかキョーコにはわからず混乱する。

「え?!な、なに?!」

キョーコは突然視界が遮られたことで恐怖を感じ暴れたが、次に後ろから聞こえて来た甘い声に今度は真っ赤になって固まってしまった。

「だぁ~れだ?」

ーーーなに?!え?!これってもしかして…。

「え?!こ、コーン?!」

後ろにいる人にだけ聞こえるように小さく答える。

「正解!!」

突然視界がクリアになると、後ろから嬉しそうな蓮の声と共に視界を遮っていた手をずらされ首元をギュッと抱き締められた。

「きゃあ!ちょ、ちょっと!」

周りの女性から黄色い悲鳴がいくつも上がった。

敦賀蓮から抱き締められるのをスクープされては大変だと、慌てて暴れるキョーコの目に、金髪の髪が見えキョーコの動きはぴたりと止まった。

「え?!コーン?!」

ニコニコと嬉しそうな蓮の姿は、あの夏の日に京都の河原で出会った妖精の男の子の姿に変わっていたのだ。

蓮はそっとキョーコを離すと向かい合わせに立った。
金髪に碧目。その姿が嬉しそうにキョーコを見つめていた。

「うん。ごめんね。キョーコちゃん、待った?」

「え?!いや…そんなには…。って、どーしたの?その格好!」

「テンさんにやってもらったんだ!変かな?」

「いや、あの!その、凄く…カッコイイ…よ?」

恥ずかしそうにモジモジと言うキョーコが可愛くて、蓮は破顔した。

「良かった!キョーコちゃんも凄く可愛いよ!そのワンピースも凄く似合ってる!あと、このイヤリングも。普段してないから新鮮だね。」

蓮が軽くイヤリングに触れながら言うので、キョーコのドキドキと鳴る心臓がうるさいくらいに動き出す。
しばらく耐えていると、蓮がジッと見つめていることに気付いた。

不思議に思ってキョーコが蓮を見上げると、蓮が何かを考えているようだった。

「んー。そうだ!いいこと思い付いた!!ちょっと待ってて!」

そう言うが早いか、蓮は携帯を取り出すと何処かに電話を掛け始めた。

「あ!俺です!どうせどっか側で見てるんですよね?折角なので、キョーコちゃんの髪型を少しいじって欲しいんですけど…実はーーー……。はい。……はい、それでお願いします。」

蓮が何やら話をして電話を切ると、近くに止まっていたワゴン車からローリィとミスジェリーウッズが現れた。
キョーコが呆気に取られてる間にワゴン車に連れ込まれ、あっという間に髪型をいじられると、ワゴン車の外に放り出されて、蓮に受け止められた。

「ありがとうございます」

蓮は二人に笑顔で礼を述べると、キョーコをジッと見つめて破顔した。

キョーコの髪はあの夏の日のように黒髪のウイッグを付けられ、ツインテールにされていたのだ。

「折角俺がこの姿にしたんだから、キョーコちゃんもその姿でデートしよ?」

蓮はイタズラっぽくウインクすると、キョーコの手を握った。

キョーコはその蓮の嬉しそうな無邪気な笑顔をみて、くすくすと笑うと、蓮の手をギュっと握り返した。

「うん。そうだねコーン!行きましょう。」

キョーコが蓮に微笑み返すと、蓮はキョーコの笑顔に思わず見惚れ、かたまってしまった。

「コーン??」

顔を覗き込まれ、ハッと覚醒すると、キョーコと目が合ってドキリとする。

ーートクン トクン トクン。

いつもより蓮の鼓動が早くなる。

「あ…えっと…その、その髪型…凄くいいよ。凄く、可愛い。」

改めて言われ、キョーコはまた真っ赤になる。

「も、もう!わかったから!ありがとう…早く行こう!」

キョーコが赤い顔を背けて、蓮の手をグイッと引いて歩き出した。

蓮は、蕩けるような笑顔でキョーコのその後ろ姿を見つめながら手を引かれるまま追いかけた。


「ねぇ、今日は何処にいくか決めてるの?」

キョーコが聞くと、蓮は楽しそうに微笑んだ。

「勿論。あ、キョーコちゃんは何処か行きたいところがあった?」

「え?!ううん。そういうわけじゃないよ。どこに行くのかな?って思って。今日は車じゃないんだね?」

「あぁ、うん。一応近くに停めてはいるけど、車じゃ…ね?」

蓮はそっとキョーコの手をとると、指を交互にして握り締めた。
所謂カップル繋ぎである。

「こうやってキョーコちゃんと手が繋げないでしょ??」

ニコニコと本当に嬉しそうに微笑む蓮。

キョーコは急に繋がれた手にドギマギしつつも、平気な振りを装う。


ーーー暖かくて…大きな手…。

「も、もー!コーンったら!!…でも……嬉しい。」

キョーコは言いながら頬を染め、蓮の腕に擦り寄るように、身体を近付けた。

蓮の心臓がまたドクンと跳ねる。

ドキドキと高鳴る心臓を互いに隠して歩き出す二人は互いに顔も赤くなっていて、誰がどう見ても初々しいカップルだった。

「じゃあ、まずは…映画なんてどうかな?」

蓮は咳払いを一つして、提案を切り出した。

「映画館?!映画館にいくの?!」

途端にキョーコの目が輝き出す。
蓮が首を傾げていると、キョーコが嬉しそうに照れながら言った。

「わぁー!私、映画館なんて初めてよ!!大っきい画面で観れるんでしょ?!」

きゃっきゃっとはしゃぐキョーコを見て、蓮は複雑な思いで、ニッコリと微笑む。

ーーーキョーコちゃんは、映画館にも行ったことないんだ…。もしかしたら、レジャー施設には今までほとんど行ったことがないのかも…。

蓮はキョーコが不破の家に預けられていたことも、尚のせいで友達すら出来なかったことも知っている。

小さい頃から働きづめのキョーコは、どこかに誰かと遊びに行った経験がないのだろう。
普通は親に連れられたり、友達に誘われたりという経験が少なからずあるはずなのに、それすら皆無なことに、不破とキョーコの周りにいた大人達に対する遣る瀬無い怒りが湧き上がる。

蓮は唇を噛み締め、キョーコの手を握る手に力を込めた。
キョーコが不思議そうに蓮を見上げるが、蓮は悪戯を思い付いた少年のような無邪気な笑顔を浮かべた。

「じゃあ、今日は色んな所に連れて行ってあげる。一緒にいっぱい楽しもうね。」

「うん!!」

蓮の言葉にキョーコは満面の笑みを浮かべて、嬉しそうに頷いたのだった。


映画館について始まるまで時間があるのでぶらぶらと二人でロビーをうろつく。

「あ!」

キョーコが小さな声を上げたので、蓮はキョーコの視線を追った。
キョーコの目が示していたのはポップコーンだ。

「キョーコちゃん、ポップコーン食べたいの?」

「うん!一度映画館で食べてみたかったの!買ってくるね!!」

キョーコが笑顔で駆け出そうとするので、蓮は慌ててキョーコの腕を掴んだ。

「俺も食べたいから、俺が買ってくるよ。何味がいい?」

「え?!で、でも…」

「いいから、今日は男の俺に花を持たせてよ。」

蓮が有無を言わせない笑顔で言うので、キョーコは頷くしかなかった。

「わ、わかった!」

「うん。ありがとう。じゃあどの味がいい?」

「そうね…じゃあ、キャラメル!」

「オッケー。ドリンクは??」

「オレンジジュースでおねがいします。」

「わかった!」

二人は話しながら楽しそうにレジへと向かう。


レジに着いて蓮が注文をした。

「ポップコーンのキャラメルをMサイズで。あと、オレンジジュースと…」

蓮の注文してる中、キョーコは辺りをキョロキョロと映画館の中を見回している。

「ホットコーヒーで。」

蓮の最後の注文を聞き、キョーコがパッと蓮を見た。

「ん?何??」

「コーヒー?…飲めるの?」

キョーコのからかうような言葉に蓮がむすっとした顔を作る。

「馬鹿にしないでよ。あれから飲めるように努力したんだよ。」

そんな蓮を見て、キョーコがくすくすと笑う。
役者の敦賀蓮からはとても想像出来ない今の蓮の姿が、キョーコには可愛くて堪らなかったのだ。



キョーコが観たいと言った映画が、蓮こと、久遠の父親、クー・ヒズリの映画だったので蓮は複雑だったが、キョーコが嬉しそうにしているので、まぁ良しとした。

一番後ろの席に着きながら、大きなスクリーンに感動しているキョーコに、蓮が問いかけた。

「キョーコちゃん、クー・ヒズリのファンだったんだね?」

すると、キョーコは驚いた顔を蓮に向けて、「あ。そっか…。」と小さく呟くと、蓮に以前クー・ヒズリ来日の際に社長の指令でお世話係をしたことがあることを告げた。

蓮は心底驚いた顔をしていたので、キョーコは不思議に思ったが、それ以上に、キョーコには気になることが浮かんだ。

「そう言えば、先生とコーンってどこか似てるよね?」

その言葉に一気に蓮の顔が強張った。

「え?!あ、ごめん!!変な意味はないのよ?」

キョーコは蓮の顔を見て、何か気に障ることを言ってしまったのかと、慌てて訂正するが、蓮は大きなため息をついて、白状した。

「まぁ、親子…だからね…。」

「えぇえ?!」

今度はキョーコが驚愕の表情で固まる番だった。

「う…そ…。じゃあ、コーンは…久遠さん…??敦賀さんは、コーンで、久遠さん??」

キョーコは物凄い形相で視線を蓮から外し、下を向いてブツブツと思考を巡らす。

「キョ、キョーコちゃん?!」

蓮はそんなキョーコの姿にギョッとする。

ーーーこんな表情もするんだ…。

そんな風に新鮮に思いながらキョーコをこっちの世界に連れ戻すために頭を撫でると、いきなり涙目で睨みつけら怒鳴りつけれた。

「どーして教えて下さらなかったんですか!!」

「え?!」

「よりにもよって、本人の前で演じてたなんて、酷すぎます~!!」

「へ?!な、何が?!」

蓮が問いかけてもキョーコは自分の世界でアタフタと奇声を発している。

「ご、ごめんね??」

一体全体何に怒られて何に謝ってるのか…。
しかし、映画館でこれ以上騒ぐのはまずい。

周りの視線が突き刺さっている。
ここは穏便に沈めないと…。

「キョ、キョーコちゃん、ほら。映画始まるから、皆に見られてるよ。映画館では静かに…ね?」

蓮が声のボリュームを下げて言うと、キョーコはハッとして周りを見回した。

すると、注目を集めてしまったのがよほど恥ずかしかったのか、ボンっと音を立てたように真っ赤になると、キョーコは俯いてしまった。

蓮はキョーコの顔を他から隠すように肩を抱き寄せ、胸元に顔を埋めさせた。

「う、す、すみません。」

「いいから、落ち着いて…ね?」

キョーコは蓮の香りを胸いっぱいに吸い込むと、安心して落ち着いて来た。

「ありがとうございます。だいぶ落ち着きました。」

キョーコが顔を上げると、思いの外蓮の顔が近くにあり、心臓が大きく跳ねる。

予告が始まり、薄暗くなった館内…。人々の目はスクリーンに向いている。


しかし、二人は互いから目を反らせないでいた…。


蓮の手がキョーコの頬を捉える。

徐々に近づく顔にキョーコの思考力を奪われる。

あと少しでーーーー。


ーードーン!!

物凄い爆発音に、キョーコが飛び上がり、蓮から慌てて離れた。

スクリーンの中では大爆発が起きており、ビルが崩れるシーンの予告が流れている。

キョーコはドキドキとうるさい心臓を宥めながら、俯いて目を瞑った。

蓮は画面に目を向けつつ、キョーコを落ち着かせる為、柔らかなツインテールの黒髪をサラサラと撫でた。


その後本編が始まったのだが、キョーコは暗闇で感じる蓮の暖かさと、髪を弄ばれる感覚で映画に全く集中出来なかった。

ーーーデートで映画館に行くってこんな感じなんだわ…。


キョーコは今、正にデートしているのだが、デートという自覚がないのかそんなことを熱くなる胸を抑えて考えていた。

ーーーそれにしても、おかしいわ。家ではいつも膝に座ったりして密着するのには慣れてるはずなのに、何でこんなにドキドキするのかしら?!家以上にドキドキするのは何で?!!

キョーコは家にいる時にも、抱き締められたり膝に座ったりするのにはドキドキしているのだが、いつもと違うシチュエーションの為か、同じドキドキでも、また違うドキドキに感じていた。


(続く)


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始めて書くデートコースがなかなか決まらず、朱烙さん大変お待たせしました!!

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※Amebaで2011/12/19に公開した話を若干訂正したものです。
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