敦賀蓮の噂と本性《リクエスト》

2015年12月21日21:00  短編(原作寄り)/スキビ!

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こっそり募集したリクエスト!
少し間が空きましたが、漸く出来ました!
SAILEE様!こんなので如何でしょうか?!


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敦賀蓮の噂と本性


『俺から逃げられると思った?』

マントを翻し、女性をベッドに押し倒したマントの男は、そっと顔につけていた仮面を半分だけずらすと艶のある怪しい笑みをその顔に浮かべた。
男の手がそっと女性の頬を撫でる。

『今宵は俺がキミを蕩けさせる。』

男の唇がアップになり、女性のそれに重なりそうになったところで、テロップが流れた。

ーー新発売。大人の微糖チョコレートRen。ーー




交通量の多い交差点側に設置された大画面では、今話題の蓮がメインのCMが流れていた。

女子高生、OL、その場にいた女性たちは画面を食い入るように見ており、CMが別のものに変わった瞬間、今のCMの話題で盛り上がっていた。

そしてそのCMに釘付けになっていた女性たちの中には、最上キョーコもいた。

真っ赤な顔で口をパクパクさせている。

「な、何あれ…」

男の人のくせにあのダダ漏れの色気はズルいと常々思っているキョーコは朝っぱらから物凄い色気に当てられてしまい、心臓がバクバクと音を立てていた。

CMのカットはちゃんと女性が感情移入できるような構成になっており、自分達があたかも蓮に迫られてるようなそんな印象を受けるので、チョコレートの売れ行きも他に例を見ないほどの馬鹿売れだと巷で話題をさらっているとは聞いていたが、キョーコはまだ目にしたことがなかったのだ。

何とか落ち着いて歩き出そうとした時に、ふと、先ほどのCMを見ていたであろう女子高生たちの会話が聞こえてきた。

「やっぱり蓮カッコいいよねー!!」

「本当本当!あんな風に一度でいいから迫られたーい!」

実際に何度か蓮に迫られたことある経験者としてキョーコは心の中で、『やめといた方がいいわ。とてつもなく心臓に悪いから。』なんて思ってしまう。

「でもさー。蓮って女性関係とか全然騒がれないよね〜。」

その一言にキョーコの歩き出そうとしていた足が止まってしまった。

「確かに。でも蓮には彼女とか作って欲しくないな〜!」

歩きながら話し出した彼女たちに歩調を合わせてついうっかり聞き耳を立ててしまう。

「だけどさ、あんなにかっこいいんだよ?周りの女達だって放ってないでしょ?全く騒がれないのっておかしくない?」

「だよねー。あんな風に迫られたらイチコロだもんね。」

「あ、わかった!蓮ってさ実はあぁ見えて草食系だったりして!」

「狼の皮を被った羊…みたいな?!あり得るー!!!!」

ーーーいいえ、あり得ないわ!あんな色気だだ漏れな羊がいてたまるもんですか!

「蓮ってばああ見えて、超奥手とか?!」

「えぇ〜やっだー!それはそれで…なんか素敵かも…」

ーーーああああ!声を大にして叫びたい!!貴女達は知らないでしょうけどねー!敦賀さんの本性は、本当の本当は…!!





「プレイボーイのいじめっ子な似非紳士で、花魁も裸足で逃げ出すような色気だだ漏れな夜の帝王で大魔王なのよぉぉぉ!!!!」

駆け込みでラブミー部室に入り扉を閉め鍵を掛けるや否や、キョーコは思いっきり叫んだ。

「はー。スッキリした。」

キョーコはここに来るまで堪えに堪えた分、物凄くスッキリとした表情になって、ルンルン気分でクルリと部室に体を向けると、スキップしそうな足取りで己のロッカーに向かった。

ガチャっとロッカーからラブミーツナギを取り出しながらブツブツと独り言を呟く。

「大体ねー!敦賀さんが草食系男子で狼の皮を被った羊だなんて、馬鹿にするにも程があるわ!敦賀さんは立派な狼よ!肉食系よ!!いいえ!敦賀さんに比べたら狼の方が可愛いかもしれない。一度迫られてご覧なさいな。逃げなきゃ!っていう思考すらあの人は壮絶な色気で封じ込めてしまうんだから。頬へのキスだけであの思考の破壊力!!どんな鉄壁のバリアでも粉々に砕け散るのよ!あれを唇にされた日には…なんてうっかり考えるだけで、もうっ!!とってもとっても破廉恥な気持ちにされちゃうんだから!敦賀さんはあの色気でどんな女性の心臓もハートも根こそぎ奪っていくのよ!私の頑丈にかけた鍵さえ破壊して凍りついた心を内側から溶かしちゃうんだから!まさしく夜の帝王!!帝王の前ではどんな女性も腰が砕けてその身を捧げてしまわずにはいられなくな…」

キョーコは独り言の途中でピシリと固まった。
何故ならラブミー部の部室には自分だけのはずなのに、キョーコの背後に人の気配が近付いたかと思えば、ロッカーに自分より大きな人物の影が落ちたからだ。

大きな手が背後から伸び、キョーコの顔の横を通り過ぎる。
その手の位置から考えると背後から壁ドンをされてるのがわかった。

それもかなり近い距離から。

ーーーこの手の大きさと指のバランス…まさか…

目の前にあるのは見覚えのありすぎる手の骨格と肌質だった。

キョーコの背中に冷や汗が伝う。

「ふーん?どんな女性も腰が砕けてその身を捧げてくれるんだ?」

頭のすぐ後ろから低く聞き覚えのありすぎる魅惑的な声がかった。

「その女性の中に、勿論、最上さんも入ってるって考えて良いんだよね?」

ギギギギギギギ…

キョーコは恐怖映画のヒロインのように恐る恐る振り返った。

「夜の帝王か…中々面白いネーミングだね。気に入ったよ。」

「ひぃっ」

「おや…帝王に向かって、悲鳴?君も中々面白い反応するよね?」

夜の帝王になりながらも似非紳士スマイルで蓮がにっこりと微笑む。

「つ、敦賀さ…い、いつから、こちらに…」

鍵は掛けたはずと思って真っ青な顔をしたキョーコが問えば、蓮は首をかしげてキョーコの目を覗き込むと妖しく微笑んで答えた。

「ん?君がラブミー部室に駆け込んでくる5分くらい前からかな?」

「…!!!!」

ーーーウソ…!!

キョーコはショックで声も出ない。
ビキリとガラスにヒビが入ってしまったように顔と身体が見事に固まる。
蓮はその肘を曲げ、キョーコにさらに顔を近付けた。

「面白いことを沢山言ってたよね?プレイボーイでいじめっ子な似非紳士っていうのも、花魁も裸足で逃げ出すような夜の帝王で大魔王っていうのも全部、俺のことだよね?」

キョーコは蓮の顔が迫ってもショックが大きすぎたのか、固まったまま何の反応も反論も出来ず、ただただ蓮を凝視していた。

「それに…」

蓮のもう片方の手の親指がツイッとキョーコの唇を優しく撫でた。

「キス…うっかりどんな感じなのか想像してくれてたんだ?」

ーーカァァ

キョーコの頬が瞬時に赤く染まった。
それに蓮は一瞬驚いたように目を見開いて、そしてすぐにその目を細めた。
キョーコの目はウロウロと彷徨うが、いつの間にか顎は蓮にしっかり固定されており、動かすことが出来ない。
蓮はフッと口元を緩めると壮絶な色気を放ちながら、キョーコに囁いた。

「して…あげようか…?」

「なぁ?!」

キョーコが真っ赤な顔のまま素っ頓狂な声を上げる。
蓮の顔がグッと寄せられ、キョーコは慌てた。

「け、けけけけけけけけけけけけっこうです!!」

「遠慮しないで…ね?最上さー」

「はい!そこまでな!!!!」

パシンという手を叩く音と同時に割り込んできた突然の第三者の介入に、キョーコはビクッと肩を揺らし再び固まった。
蓮はふうっと少しだけ残念そうに溜息をつくと、恨めしげに背後を振り返った。

「何で止めるんですか?社さん。」

「蓮、お前な…順番が違うだろ!いきなりそんなことするからいじめっ子呼ばわりされるんだよ。」

「やややや社さん?!な、なな何故ここに!!」

「あぁ、ごめんね。キョーコちゃん、俺も蓮と一緒にラブミー部室にいたからさ。全部聞こえちゃったよ。」

「ふぇぇ?!」

「とりあえず、蓮!キョーコちゃんと両想いなのがわかって嬉しかったからって暴走するな!まずちゃんとお前がキョーコちゃんが好きだって気持ちを伝えろよ!」

社の言葉に、キョーコは目を見開いて驚き叫んだ。

「ええぇ?!」

「ちょ!や、社さん!!何で俺より前に貴方が俺の気持ちを勝手にバラしてくれちゃってるんですか!!」

蓮は顔を赤くして慌てて社に抗議をした。

「お前がちゃんと言わないからだろう!キスより前に気持ちを伝えろ!ったく。恋愛初心者のヘタレめ!」

最後の言葉はボソッと呟いたので、幸か不幸かキョーコには届かなかったようだ。

「え?!え?!ええぇ?!敦賀さんが、私を?!そんな…まさか。何かの間違いじゃ…」

蓮はハァァァと深くため息をついた。
ついでにそのままキョーコの肩に頭を乗せる。

「ちょ?!え?!敦賀さん?!」

キョーコはそんな蓮の行動と先ほど言われた社の言葉が頭の中を引っ掻き回し、何が何だかわからず、一人テンパっていた。
そんなキョーコの肩に頭を埋めたまま、蓮は白状した。

「全部本当。」

「え?!ほ、本当って…?何がでしょう?」

「社さんが今言ったこと。全部、本当だから。」

「そ、それって…え?!ええええええ?!な、何言って…」

「さっきの君の告白…。」

「こ、こく?!あ、あれは…ちが…」

キョーコは先ほどの独り言は告白ではないと弁明しようとした。そもそも側にいることに気付いてなかったのだから、あれは告白というより事故に近い。
でもそんなキョーコの弁明より先に、蓮は蓮らしからぬことを言った。

「凄く、嬉しくて舞い上がった。」

「へ?!」

蓮は顔を上げ、少しだけ困ったような顔で、情けないよなという微笑みを浮かべた。

「嬉しくて嬉しくて、でもどうやってこの気持ちを君に伝えたらいいかわからなくて、気付いたらあんな風に迫ってた。」

「ふぇぇ?!」

ーーーえ?!なに?!なんなの?!どういうこと?!

「君が好きだ。自覚したのはダークムーンごっこをした時だけど、多分、それよりずっと前から。」

蓮は真剣な顔でキョーコを見つめながら気持ちを告げた。
キョーコが目を見開いて固まる。

「…う、そ…そんな訳な…」

「出会った頃から、君は俺の特別だった。君の行動は目が離せなくて、放っておけなくて、こんな過酷な世界で君みたいな子がやってけるはずないって…。だけど、君が演技で自分自身を作りたいって言った時に俺は君の本質をちゃんと見てなかったことに気付いた。君が誰よりも真っ直ぐで嫌いなことにすら負けず嫌いで挑んでいくことを俺は知ってたはずなのに…」

蓮はそっとキョーコの頬を手で包んで、過去のキョーコに想いを馳せ、目を瞑った。

「…?敦賀さん?」

そんな蓮を見上げながらキョーコは首を傾げる。
心臓はドキドキと激しく脈打っていた。

本当、なのだろうか…?信じてもいいんだろうか…。だとしたら、この今、胸の中に燻ってる蓮への秘めた気持ちは…

キョーコはそっと胸の前で拳を握った。

ーーー解放してもいいの?

もう一度ゆっくり蓮を見上げると、蓮もキョーコを見ていた。

ーードクン

キョーコの心臓がまた大きく跳ね、二人の視線が引き合うように強く絡む。

頬に添えられた蓮の手が物凄く熱く感じた。

「ぁ…」

「好きだ。最上さんが…ずっとずっと…君だけが俺にとっての大切な女の子だった。君の言動に一喜一憂して、振り回されて…でもそんな時間も君との時間は愛しくて…大切で…。」

「敦賀さん…」

キョーコは蓮の想いを聞いて胸がギューっと苦しくなった。
目がだんだんと潤んでくるのがわかった。

愛しくて愛しくてたまらない。
そんな想いの洪水がキョーコからも溢れ出す。

「わたし、も…」

「最上さん?」

「私も、敦賀さんが好き。貴方が好きです!」

蓮が丸々と目を見開いた。
そして一気に破顔すると、キョーコを力一杯抱きしめた。

「きゃ!」

「本当?」

「はい。本当です。」

「ウソじゃない?」

「はい。嘘じゃありません。敦賀さんこそ、嘘じゃないんですか?」

「俺も嘘じゃないよ。本当だ。本当の本当に愛してる。」

「あ、愛?!」

キョーコは蓮の腕の中で再び真っ赤になってしまった。

「うん。愛してる。もう逃がさないから。君が逃げたら俺は地の果てまで追っていくよ。」

「くすくす。なんか…怖いです。でも私も…しつこいですよ?もし敦賀さんが裏切ったら地獄の果てまで鬼を引き連れてだって追いかけますからね。」

「はは。それは怖いね。」

二人は抱き合ったまま互いの気持ちを噛みしめていた。
キョーコもいつも以上の極上の敦賀セラピーにうっとりと瞳を閉じた。


暫くして社が咳払いをすると、漸く名残惜しげに二人は離れた。

幸せそうに微笑みあう二人を引き離すのは気が重いが、次の仕事に向かわねばならないのだ。

「蓮、そろそろ時間だ。」

「はい。わかりました。じゃあ、俺は行くから…。」

「はい。あの、お気を付けて。」

「うん。」

蓮は優しい眼差しでキョーコを見つめたまま、そっと微笑んだ。

「行ってきます。」

蓮の言葉に、キョーコは一瞬驚いたように目を見開いたが、ほにゃりと顔を緩めて笑った。

「行ってらっしゃいませ。」

そのあまりの凶悪すぎる可愛さと破壊力に蓮はその場に無表情で固まると、ギュッと腕を組んで再び抱き締めそうになる腕を押さえつけた。

「…うん。」

急に硬い顔になった蓮に、キョーコはキョトンと首を傾げる。

「敦賀さん?」

「いや、あの…あぁ、そうだ。あの、これ、鍵。家の…それで、多分、今日は10時には上がれると思うから…だから…」

キョーコはカードキーを受け取ると、しっかりと握りしめて満面の笑みを作った。

「はい!わかりました!不肖最上キョーコ。敦賀さんのお食事作ってお待ちしてますね。」

あっさりと鍵を受け取り、パァァと花が咲くように輝いたキョーコの笑顔に、蓮は、次の仕事がなければ…!!と本気で思った。

「…うん。お願いします。」

なんとかその一言を絞り出して、後ろ髪を引かれながら社と共にラブミー部室を後にした。

「蓮?今日の仕事、てっぺん超えるって…」

「社さん、終わらせましょう。いえ、終わらせてみせます。何としても10時までにっ!」

「おま…いやいや、今日のは流石に…」

キョーコの知らぬところでそんな会話があったのだが、流石無遅刻キング。
約束した時間をきっかり守って帰宅していた。

「あ、敦賀さん!おかえりなさい!」

愛しい恋人が待つ家に。

「ただいま。最上さん。」

さぁ、恋人同士の楽しい夜の時間はここから。
まずは君を抱きしめさせて?

「きゃ!つ、敦賀さん!もう。ご飯が冷えちゃいます!」

ーー多分、君が言う夜の帝王とやらになっちゃうだろうけど、いいんだよね?最上さん。

「はいはい。じゃあまずは、君の作ってくれたご飯を頂こうかな。」

蓮はクスリと微笑みながらキョーコを解放したのだった。
この後のキョーコとの楽しい時間を思い描きながらーー。


リビングでは珍しくテレビが付いていた。

「敦賀さんは、楽な格好に着替えてきてください。すぐ支度しますね。」

キョーコがキッチンへ消え、蓮も寝室へ着替えに行った。
誰もいなくなったリビングに、テレビから例のCMが流れる。

ーー『俺から逃げられると思った?』


ーー『今宵は俺がキミを蕩けさせる。』

女性に迫るカットでチョコレートの商品名が流れていた。

誰のことをイメージしながら演じたのか、蓮の気持ちに気付いていた社や社長には一目瞭然だっただろう。この気持ちが少しでもキョーコに届けばいいと願いながら望んだCM撮影はある意味成功だったと言えるのかもしれない。

今宵、蓮は蕩けさせることが出来るのか…。

そこは狼であり、夜の帝王でもある蓮の腕の見せ所なのだろう。



END

スキビ☆ランキング


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SAILEE様、如何でしたでしょうか?

一応ちょこっと最初のリクエストにあった仮面要素も入れてみました(笑)

☆SAILEEさんからのリクエスト☆
《草食男子 敦賀蓮の話題が出てるのを影で聞いてしまった京子さんがブツブツ言っているところに超肉食系(夜の帝王)で迫る蓮さんがみたいです。》
でした!!

肉食系で迫る部分が思ってたより短くなってしまいましたが、きっとこの後に蓮様は再び肉食系になってると思います!(笑)
お楽しみ頂けたら幸いです。

素敵なリクエストをありがとうございました!!
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